確定拠出年金(企業型DC)はいくらもらえる?企業型の計算や損しない受け取り方を解説

確定拠出年金の運用において、「いかに資産を増やすか」は多くの人が意識するポイントです。しかし、それ以上に重要なのが、増やした資産を「どう受け取るか」という出口戦略です。
受け取り方の選択を誤ると、税金などの負担が増え、手元に残る金額に数十万円もの差が生じてしまうことも少なくありません。
この記事では、平均データに基づいた受取額のシミュレーションや、税制メリットを最大限に活かすための組み合わせについて詳しく見ていきます。
複雑な税制を味方につけ、大切な老後資金を賢く守るための準備を整えましょう。
確定拠出年金でいくらもらえる?平均掛金データから受取額を計算

確定拠出年金に加入していても、将来いくらもらえるのかイメージしにくく、不安を感じていませんか。
ここでは、iDeCo加入者と企業型DC加入者の平均掛金を確認したうえで、30年間運用するといくら受け取れるのかを見ていきます。
- iDeCo加入者の平均掛金は月16,632円|30年間運用で約970万円
- 企業型DC加入者の平均掛金は月10,910円|30年間運用で約640万円
平均額をもとに計算すれば、老後資金の目安が具体的になり、安心して準備を進められるでしょう。
iDeCoや企業型DC、マッチング拠出などの制度については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

iDeCo加入者の平均掛金は月16,632円|30年間運用で約970万円
iDeCo公式サイトのデータによると、企業型DCなしの加入者の月額平均掛金は16,632円です。(2022年3月時点)
年利3%で30年間運用すると、将来の受取額は約970万円になる計算です。

掛金の上限額は職業によって異なるため、平均額も以下のように属性ごとの差が見られます。
| 加入者区分 | 平均掛金(月額) |
|---|---|
| 自営業者(第1号加入者) | 28,557円 |
| 会社員など(第2号加入者) | 14,407円 |
会社員の平均額は約1.4万円ですが、自営業者は上限が高いため平均額も高い傾向です。
本記事では確定拠出年金の受け取りシミュレーターを用意しているので、自分に適した掛金額を確認してみましょう。
企業型DC加入者の平均掛金は月10,910円|30年間運用で約640万円
企業年金連合会のデータによると、企業型DC加入者の月額平均掛金は10,910円。(2023年3月時点)
年利3%で30年間運用した場合、将来の受取額は約640万円です。

2025年の年金制度改正により、2027年1月から企業型DCの掛金上限額が月額5万5,000円から月額6万2,000円に引き上げられます。
さらに、従業員が上乗せする「マッチング拠出」の制限も緩和される見込みです。
これまでは「会社が出す掛金額までしか上乗せできない」ルールでしたが、今後は会社の掛金額に関わらず、上限枠いっぱいまで自分で掛金を設定できるようになります。(参照:厚生労働省|年金制度改正法が成立しました)
この改正により、会社員でもiDeCoやマッチング拠出を使って、月額6万円以上の非課税運用が可能となり、税制メリットを最大限に活かせれば、資産形成のペースも格段に上がるでしょう。
企業型DCについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの森本直人さんが、iDeCoや小規模企業共済の加入を検討しているフリーランスの方からの質問に回答しています。
【質問(要約)】

フリーランスです。個人型確定拠出年金(iDeCo)と小規模企業共済の加入を検討中ですが、経済状況が不安定な今、始めるべきか迷っています。また、掛金の配分や、手元にある500万円の資産運用についてもアドバイスをお願いします。
【回答】

(前略)
1、確定拠出年金は、一時金での投資は出来ないので、まずはコツコツと積立て始める必要があります。
(中略)
なので、いずれ始めるのであれば、早い方がよいのではないでしょうか。
2、確定拠出年金は、原則60歳まで引き出しが出来ない点が最大のデメリットです。(中略)なお、確定拠出年金の配分は、目標リターンとの兼ね合いで決めるのが基本的な考え方です。 高いリターンを求める場合は、リスク(振れ幅)も大きくなる傾向です。
(中略)
5、(中略)詳しく状況やお考えを伺わないとわかりませんが、予算500万円なら、NISA枠なども上手く使い、投資信託でポートフォリオを組んだ方がよさそうな感じもします。
(後略)
シミュレーションで将来の受取額や節税メリットを把握できても、実際の運用商品の選び方や、NISAなど他の制度とどう組み合わせるべきかで迷うことは少なくありません。
ご自身のライフプランやリスク許容度に合わせて最適に資産形成するために、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
確定拠出年金の受取額シミュレーター
以下のシミュレーターを使って、将来的にいくら受け取れるのか計算してみましょう。
あくまで理論値に基づいた計算結果のため、目安としてお使いください。
確定拠出年金 節税効果シミュレーター
iDeCo・企業型DCの節税メリットを可視化
詳細内訳
掛金総額
¥0
運用益
¥0
最終資産額
¥0
適用税率(参考)
–
⚠️ 注意事項
- 計算された数値は、あくまでもシミュレーションであり、将来の節税効果や運用成果等を保証するものではありません。
- 本シミュレーションは給与所得控除を前提とした簡易計算を行っています。自営業・フリーランスの方は実際の税率と異なる場合があります。
- 本シミュレーションでは、社会保険料控除、各種所得控除等を簡易的に計算しています。
免責事項
本シミュレーションは投資判断の参考となる情報提供のみを目的として作成されたもので、特定の商品の購入を推奨したり、個々の投資家の特定の投資目的、または要望を考慮しているものではありません。確定拠出年金への加入や掛金額の決定は、ご自身の判断と責任でなされるようお願いします。万一、本シミュレーションに基づいてお客様が損害を被ったとしても、当方は一切その責任を負うものではありません。
シミュレーションだけでなく、利回り別の受取額がいくらなのか、職業別の上限一覧についても確認しておきましょう。
- 利回り1%・3%・5%での受取額
- 職業別の掛金上限額一覧
具体的な数字を確認すれば、老後資金の計画が立てやすくなりますよ。
利回り1%・3%・5%での受取額
運用利回りの違いは、受取額に数百万単位の差を生みます。
月額1万円を30年間積み立てた場合、年利1%と5%では最終的な受取額に約2倍もの開きが出ます。
以下は、月1万円の積立を30年間継続した場合のシミュレーション結果です。
| 利回り | 受取額 | 元本比 |
|---|---|---|
| 年利1% | 約420万円 | 約1.16倍 |
| 年利3% | 約580万円 | 約1.61倍 |
| 年利5% | 約830万円 | 約2.30倍 |
元本360万円に対し、年利1%では利益が約60万円にとどまる一方、年利5%で運用できた場合は約470万円の利益が上乗せされます。
利回りは制度の違い(iDeCoか企業型か)ではなく、選択する商品の資産配分によって決まります。
一般的に、国内外の株式を中心に積極的に運用する場合は5〜7%、債券などを組み入れたバランス型であれば3〜5%程度が現実的な目標利回りです。
定期預金だけだと資産価値が目減りする可能性も
定期預金のみの利回りは、三菱UFJ銀行であれば上限の10年を選択したとしても0.5%。インフレリスクを考慮すると資産価値が目減りする恐れもあります。

日本銀行のデータによると、日本のインフレ率は増加傾向にあり2025年は約2.5%。物価の上昇率が金利を上回るため、現金の価値が相対的に下がることになります。

確定拠出年金の想定利回りは、インフレリスクも考慮しつつ適切な資産配分へ見直すことが大切です。
職業別の掛金上限額一覧
将来の受取額を最大化するには、自身の職業や制度に応じた「拠出限度額」を把握し、可能な限り上限まで使い切ると効率よく資産を増やせます。
特に2024年12月の制度改正により、公務員や他制度(DBなど)に加入している会社員のiDeCo枠が月額2万円へと拡大されました。
主な職業別の掛金上限額は以下のとおりです。
| 職業・制度 | iDeCo上限(月額) | 企業型DC上限(月額) |
|---|---|---|
| 自営業者・フリーランス | 6.8万円※1 | - |
| 会社員(企業年金なし) | 2.3万円 | - |
| 会社員(企業型DCのみ) | 2.0万円 | 5.5万円 |
| 会社員(DB等の他制度あり) | 2.0万円 | 2.75万円 |
| 公務員 | 2.0万円 | - |
※1:国民年金基金との合算枠
※企業型DCとiDeCoを併用する場合、両制度の掛金合計などが月額5.5万円(他制度がある場合は2.75万円)を超えない範囲となる
これまでiDeCoの上限が低く抑えられていた公務員やDB加入の会社員も、月額2万円まで拠出できるようになりました。
企業型DCとiDeCoの枠をフル活用すれば、税制優遇のメリットを最大限に活かせるようになったのです。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの岩川 昌樹さんが、確定拠出年金の運用配分や市場動向への対応について回答しています。
【質問(要約)】

確定拠出年金の運用について、市場状況を踏まえて「定期預金に避難」すべきか「積極的にリスクを取る」べきか迷っています。運用期間は残り17年あり、具体的な配分変更案の是非や、市場動向に応じた売買タイミングについて専門家のアドバイスを求めています。
【回答】

FPの岩川と申します。
長期投資は、市場の動きに関係なく行うことが基本です。
その答えは簡単です。 どんなに研究しても、市場の動きを先読みする事は出来ないからです。
もし、高い確率で出来るのであれば、このような下落相場で金融機関が倒産することはないでしょう。
資産形成の成功は、基準を設け、市場の動きに関係なく継続することです。
それから、現在は、確かに安いかもしれません。 しかし、17年の長期投資では、最終的にリターンは平均化されるためおそらく安い場面で始めても、高い場面ではじめても、それほど影響はないはずです。 時間が長ければ長いほど、平均値に限りなく近づきます。
上記の配分ですが、17年の長期投資に定期(現金)は必要ないと思います。
常に入出金が繰り返される公的年金の運用には、現金に配分されています。 しかし、個人の401Kは、キュッシュアウトありません。・・・・できません。
定期は、50代になり、定年に近づくとともに、利益を確定する場合に有効です。
また、日本株や外国株、外国債券などに分散すれば、バランスファンドに配分するのは、投資先が重複するので、複雑になるだけで、分散効果が高まるわけではないと思います。
日本株、外国株、外国債券、日本債券を組み合せて作成するのが分かりやすく、メンテナンスを行いやすいと思います。
長期投資は、安く買って高く売ることだけが目的ではありません。 じっくりと寝かせて、金利や配当を得ることも大きな利益になるんですよ。
引用:専門家プロファイル|確定拠出年金:配分変更した方がいい?
利回りや掛金上限を踏まえたシミュレーションだけでなく、実際の運用商品をどのように組み合わせるかも老後資金計画の重要なポイントです。自分に合った配分や運用方針に迷った際は、専門家プロファイルでプロに相談してみてはいかがでしょうか。
確定拠出年金の4つの受け取り方

確定拠出年金を受け取るとき、どの方法を選べば税金を抑えられるのか、迷っていませんか。
受け取り方は複数あり、それぞれにメリットと注意点があります。ご自身の状況に合った方法を選ぶことで、手取り額を増やせる可能性があります。
主な受け取り方法は、次の4つです。
- 一時金で受け取る
- 年金形式で受け取る
- 一時金と年金形式を組み合わせて受け取る
- 受け取り開始時期を60歳から75歳で選ぶ
それぞれの特徴について解説します。
1. 一時金で受け取る
一時金受け取りは、退職所得控除を活用して税負担を最小限に抑えやすい方法です。60歳以降に一括で受け取れば、勤続年数に応じた大きな控除枠を使えます。
最大のメリットは、課税対象額が「(受取額-退職所得控除)×1/2」となる点。(参照:国税庁|No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得))
他の所得と分離して計算されるため、税率も低く抑えられます。
ただし2025年度の税制改正により、会社の退職金と確定拠出年金を両方受け取る際の「受取間隔のルール」が厳格化されました(いわゆる10年ルール)。
受取時期や順番によっては税負担が増える可能性があるため、後述する「一時金は退職所得控除で税負担を抑えられる」の章で詳細を確認してください。
2. 年金形式で受け取る
年金形式は、5年〜20年などの期間に分けて定期的に受け取る方法です。一度に大金が入ると使いすぎてしまう心配がなく、計画的に老後資金を使えます。
税制上の扱いは「雑所得」となり、公的年金等控除の対象です。
ただし、以下の点には注意が必要です。
| 注意点 | 概要 |
|---|---|
| 公的年金との合算 | ・厚生年金のみで控除枠を使い切ってしまうケースが多い ・控除額がなければ受取分がそのまま課税対象になる可能性 |
| 社会保険料への影響 | 雑所得の増加に伴う国民健康保険料や介護保険料の負担増 |
年金形式を選ぶ際は、公的年金の見込額と合算し、税金や社会保険料がどれくらい増えるか試算しておくとよいでしょう。
3. 一時金と年金形式を組み合わせて受け取る
一時金と年金形式を併用すると、退職所得控除と公的年金等控除の両方の枠を無駄なく活用できます。
退職所得控除の非課税枠いっぱいまで一時金で受け取り、残りを年金形式にする方法が代表的です。
この方法には以下の利点があります。
| メリット | 具体的な内容 |
|---|---|
| お金の使い方が自由 | ・ローン返済などまとまったお金が手に入る ・毎月の生活費の足しにもできる |
| 税金を安く抑える | ・一時金と年金の非課税枠を二重で使える ・一度に受け取るより税金を減らせる |
ただし、金融機関によっては併用受け取りに対応していない場合もあるため、事前に加入先の規約を確認してください。
4. 受け取り開始時期を60歳から75歳で選ぶ
確定拠出年金の受け取り開始時期は、60歳から75歳の間で自由に選べます。
ライフプランに合わせて、資金が必要になるタイミングまで運用を継続できます。
開始時期による違いは以下のとおりです。
| 受取時期 | メリット・特徴 |
|---|---|
| 60代前半 | ・再雇用で減ってしまった給料を補える ・早期退職後の生活費をすぐに確保できる |
| 受取を遅らせる | ・非課税で運用できる期間が延びる ・運用益で受取額が増える可能性がある |
注意点として、60歳の時点で加入期間(通算加入者等期間)が10年に満たない場合、受取開始可能年齢が最高65歳まで後ろ倒しされます。

また、受け取りを遅らせることで、退職所得控除の計算期間(勤続年数)も延びますが、同時に公的年金の受給も始まると所得税の計算が複雑になります。
自身の働き方や他の収入とのバランスを見て時期を決めましょう。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの三島木英雄さんが、確定拠出年金の受け取り方法に関する質問に回答しています。相談者の方は定年退職を迎え、税負担の観点から一括受け取りと年金受け取りのどちらが有利か悩まれています。
【質問(要約)】

定年退職に伴い、約400万円の確定拠出年金(401k)を一括で受け取るか、年金形式にするか迷っています。無駄遣い防止には年金が良いと言われますが、税負担を最小限に抑えるにはどちらの方法が有利でしょうか。
【回答】

確定拠出年金の受け取り方についてですが、それぞれのポイントを ご説明させて頂きます。
運営管理機関は制度の説明はしてくれるのですが 個別事案に関して責任を持って質問に答えてくれない現状があります。 税金に関しては確かに個人毎に状況が違う為かも知れません。
受け取り方で、所得控除額に違いがあります。
一時金(一括)で受け取る場合ですが「退職所得控除」が適用されます。 具体的には確定拠出年金に加入してから60歳になるまでの期間を指します。
1年間につき40万円の所得控除があり、10年の加入期間があれば400万円まで 所得から控除でき、400万円の場合は実質課税がありません。 確定拠出年金の加入期間が10年以上の場合は一時期として受け取る方が有利な場合が 多いです。
詳しくは国税庁HP https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1420.htm (勤続年数を加入期間に置き換えてください)
また年金で受け取る場合は「公的年金の所得控除」が適用されます。
所得控除額は年齢によって差がありますが、 65歳未満は年70万まで税金がかからず、65歳からは120万円まで 税金が掛かりません。
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1600.htm
お答えが難しいのは、年金収入を合算し税金が決定されます。
400万円を61歳から8年で受け取る場合
年間50万円となり、当初は70万未満であるので税金は掛からないイメージになります。
65歳以上では国の年金も支給されるため、国の年金が130万円であった場合 130万+50万=180万円ですので課税されることになります。
また確定拠出年金の受け取りは、受け取りするまでの口座管理料と 受け取る毎に多少の手数料が掛かりますので その辺りも考慮し、ご決定して頂くと宜しいかと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
確定拠出年金の受け取り方は、加入期間や他の公的年金との兼ね合いによって、税金や手数料の負担が大きく異なります。ご自身のライフプランに合わせて手取り額を最大化する方法を具体的に知りたい方は、専門家プロファイルでプロに相談してみてはいかがでしょうか。
受け取り方で変わる!税金の計算方法を解説

確定拠出年金を受け取るとき、どの方法を選べば税金を抑えられるのか、判断に迷っていませんか。
受け取り方によって、かかる税金の種類も金額も大きく変わります。自分に合った方法を選べば、手取り額を増やすことが可能です。
受け取り方を考えるうえで押さえておきたいポイントは、次のとおりです。
- 一時金は退職所得控除で税負担を抑えられる
- 年金形式は毎年課税される
- 退職金と重なると控除が減る
- 受取時期をずらすと税負担が減る
それぞれの仕組みを理解すれば、自分にとって有利な受け取り方が見えてくるでしょう。
一時金は退職所得控除で税負担を抑えられる
一時金での受け取りは、年金形式に比べて非課税枠(控除額)が非常に大きく設定されています。
勤続年数が長くなるほど控除額が増え、さらに課税対象が半分になる優遇措置があるためです。
具体的な控除額の計算式は以下のとおりです。
| 勤続年数 | 控除額の計算式 |
|---|---|
| 20年以下 | 40万円 × 年数 |
| 20年超 | 800万円 + 70万円 ×(年数-20年) |
20年超えの計算で考えると、勤続30年の場合、控除額は1,500万円に達します。
さらに、この控除枠を超えた場合でも「(受取額-控除額)×1/2」のみが課税対象となるため、税負担は大幅に圧縮されます。(参照:大和総研|【1分解説】退職所得控除とは?)
年金形式の控除(公的年金等控除)は年間60万〜110万円程度(最低額)のため、まとまった退職金控除を一括で使える一時金は、税制面で大きなメリットがあります。
年金形式は毎年課税される
年金形式は定期的な収入を確保できる反面、受け取るたびに税金がかかる可能性があります。
年金は「雑所得」として扱われ、公的年金等控除を差し引いた残りの金額に課税されるからです。
年齢ごとの非課税枠(公的年金等控除額)は以下のとおりです。
| 年齢 | 非課税枠(年間) |
|---|---|
| 65歳未満 | 60万円まで |
| 65歳以上 | 110万円まで |
公的年金等控除は「厚生年金」や「国民年金」との合算枠であり、控除額は総収入額に応じて決定されます。
公的年金だけで基本控除額を使い切っている場合でも、確定拠出年金を追加で受け取ると、総収入額の増加に応じて控除額が増加し、その分の税負担が軽減される可能性があります。
受け取り時には一律7.6575%の税金が天引き(源泉徴収)され、最終的な税額は確定申告で精算する流れとなります。
退職金と重なると控除が減る
確定拠出年金と会社の退職金を同じタイミングで受け取ると、税金の優遇枠(退職所得控除)が縮小されてしまいます。
勤続期間が重なっている場合、最も長い期間で計算した退職所得控除額から、重複している期間分の控除額を差し引いて調整されるためです。
受取時期をずらす場合のルールも、2025年度の税制改正で厳しくなりました。
| 状況 | ルール変更の内容 |
|---|---|
| これまで | iDeCo受取から5年空ければ退職金の控除復活 |
| 2026年1月1日以降 | iDeCo受取から10年空けないと退職金の控除減少 |
iDeCoを先に受け取り、あとから退職金を受け取る場合、これまで「5年」空ければよかった期間が「10年」に延びます。
受取時期の計画を立てる際は、この新しい「10年ルール」を考慮しなければなりません。
受取時期をずらすと税負担が減る
受取時期を分散させると、一度にかかる税金を抑えたり、使える控除枠を増やしたりできます。
確定拠出年金は60歳から75歳の間で、好きなタイミングに受け取れるからです。
時期をずらすメリットは以下のとおりです。
| 戦略 | メリット・効果 |
|---|---|
| 年をまたいで受け取る | ・その年の所得を低く抑えて税率を下げる ・公的年金等控除を複数年にわたり活用 |
| 退職金との時期を離す | ・退職所得控除の重複利用を狙う ・合算による課税所得の増加を防ぐ |
ただし、過去19年以内に会社から退職金を受け取っている場合、iDeCoの控除額が減額されるルール(19年ルール)もあります。(参照:大和証券|退職金とiDeCo/退職金を先、iDeCoを後の場合①)
自身の過去の退職金受取歴や今後の公的年金受給額を確認し、どのタイミングで受け取れば手取りが最大になるかシミュレーションしておくと安心です。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの三島木 英雄さんが、確定拠出年金のマッチング拠出と個人での投資信託購入の比較について回答しています。
【質問(要約)】

企業型確定拠出年金で、会社掛金と同額まで自分も拠出できる制度を利用するか迷っています。加入者が拠出した掛金にも税制メリットはあるのでしょうか。月5,000円程度の場合、個人で投資信託を購入するのと比べてどちらが得か知りたいです。
【回答】

確定拠出年金の課税についてご質問とのこと。 会社で「企業型」確定拠出年金が導入されいると思いますが 個人で追加で拠出出来る制度をマッチング拠出といいます。
確定拠出年金のメリットはやはり非課税制度です。 ご質問のように投資信託で買い付けた場合とのメリットデメリットを まとめると下記のようになります。
■確定拠出年金のメリット ・購入手数料が無料 ・途中売却による売却益・配当が非課税 ・追加拠出金は小規模企業共済等掛金控除で所得控除
■確定拠出年金のデメリット ・運用商品が少なく選択肢が少ない ・60歳まで引き出せない
■投資信託のメリット ・運用商品が多く投資選択肢が多い ・60歳以内でも自由に売却し現金化できる
■投資信託のデメリット ・利益には課税される
簡単にメリットデメリットを分類すると上記のようになります。
仮に5,000円を追加拠出した場合ですが 5,000円×12ヵ月=60,000円の所得控除が毎年作れます。
所得税が10%と仮定しますと 約6千円の節税、住民税は10%ですから6千円の節税で 年間1万2千円の節税ができます。 運用商品を株式投資信託などでなく、定期預金を選択すれば ほぼノーリスクで節税が出来るのがポイントです。
もちろん投資信託を選択し、値上がり益と節税を教授できれば 一番効果が高くなります。
ただ、60歳までは引き出すことが出来ません・・・ というのが弱点です。
ただ、毎月5,000円を積立てて最終的に売却をして受け取る時にも 通常の投資信託と違い、確定拠出年金の場合は「退職所得控除」 ないし「公的年金等控除」が適用されるので受け取り時もメリットがあります。
無理の無い範囲で確定拠出年金を利用されることはお勧めです。
毎月5,000円で投資信託を購入しても年間1万2千円の利益は難しいはずですので。
私自身も毎月最大の51,000円を拠出しています。 それくらい老後資金は重要なものです。
最低限の積立を確定拠出年金で行い、別途投資信託などで プラスアルファの運用を行っていくとよいと思います。
ご参考になりましたら幸いです。
確定拠出年金は、拠出時や運用中だけでなく、受け取り時にも大きな税制メリットがあります。ご自身の退職金やライフプランに合わせて、最も有利な受け取り方や運用方法を専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
確定拠出年金に関するよくある質問

確定拠出年金に関するよくある質問に回答します。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
掛金の上限額は、働き方や加入している年金制度によって異なります。
自営業者(第1号被保険者)は、国民年金基金とあわせて月額6万8,000円まで拠出可能です。
会社員の場合、企業型DCのみであれば月額5万5,000円、他制度(確定給付企業年金など)と併用する場合は月額2万7,500円が上限となります。
iDeCoを利用する会社員の掛金上限額は、会社の年金制度の有無で月額2万円または月額2万3,000円に設定されています。
ただし、2026年4月以降は企業年金との合算で月額6万2,000円までの拠出が可能になる予定です。
企業年金連合会のデータによると、従業員自身が負担する掛金の平均額は、月額6,000円〜1万円ほどです。
企業型DCは原則として会社が掛金を支払いますが、将来のために従業員が給与から上乗せする場合、この金額が目安となります。
なお、会社負担分(月額1万1,000円〜1万6,000円程度)と合わせると、毎月1万7,000円〜2万6,000円程度が年金資産として積み立てられています。
最大の注意点は、原則として60歳まで資金を引き出せないことです。
住宅購入や病気など、急にまとまったお金が必要になっても解約できません。そのため、生活防衛資金とは分けて積み立てる計画性が大切です。また、選んだ商品によっては元本割れのリスクがあるほか、口座管理手数料などのコストが毎月かかる点も理解しておきましょう。
メリットだけでなく、こうした拘束力やリスクも踏まえて検討すると後悔を防げますよ。
まとめ
確定拠出年金は、運用成果だけでなく「どう受け取るか」によって最終的な手取り額が大きく変わります。一時金として受け取れば退職所得控除が適用され、年金形式なら公的年金等控除が使えるため、これらを賢く組み合わせることが大切です。
ただ、退職金を受け取る時期や2026年以降の税制変更など、考慮すべきルールは非常に複雑です。自分ひとりで税負担を最小にするプランを練り上げるのは、決して簡単ではありません。
「せっかく増やした資産を税金で減らしたくない」「自分にとってベストな受け取り方を知りたい」と迷ってしまうこともあるはずです。
そんなときは、ファイナンシャルプランナーなどお金の専門家に相談してみるのはいかがでしょうか。
専門家プロファイルでは、幅広い専門家があなたの状況に合わせた具体的なアドバイスを提供しています。
大切な老後資金を守るために、まずはプロに相談してみましょう。
