バランス型ファンドはおすすめしない?初心者が損しやすい理由と2025年最新版の投資信託選び

「新NISAを始めたものの、結局どの商品を買えばいいか分からない…」
「ランキング上位にある『バランス型』なら、プロにお任せでとりあえず安心?」
そんなふうに迷っていませんか?
特に銀行の窓口やセミナーなどで、「初心者の方は、リスクを抑えたバランス型から始めましょう」と勧められた経験がある方も多いかもしれません。
しかし実は、金融庁の分析でも、投資信託の手数料が長期の運用成果に大きな差を生むことが指摘されています(参照:金融庁|投資・資産形成)。バランス型は複数資産をまとめて運用する分、信託報酬が高めになりやすく、さらに「自分がどの資産にどれだけ投資しているのか」が見えづらいという特徴があります。「とりあえずバランス型」は、コスパ重視の初心者さんにはあまりおすすめできません。
「安心」という言葉の裏で、知らず知らずのうちに高い手数料を払い続けたり、自分が何に投資しているか分からなくなったりするリスクが潜んでいるからです。
この記事では、難しい専門用語は極力抜きにして、「なぜバランス型がおすすめできないのか」という理由を深掘りし、その上で「本当にコスパ良く資産を増やすための選び方」を徹底解説します。さらに初心者が誤解しやすい情報にも触れながら、実践的な理解を促します。
バランス型ファンドをおすすめしない3つの理由

「1本で株や債券、不動産などいろんな資産に分散した投資できて安心」
これがバランス型ファンドの最大の売り文句です。しかし、実は投資初心者にとって「中身が分かりにくく、コスパが悪い」商品になりがちなのです。さらに、バランス型は複数資産を1つに束ねた仕組みであるため、初心者が投資判断を誤りやすい特徴もあります。
その理由を、以下の3つの視点から詳しく見ていきましょう。
① 何に投資してるか分からず運用を丸投げしてしまう
バランス型ファンドは、よく「幕の内弁当」に例えられます。
ご飯(国内債券)、メインのお肉(外国株式)、煮物(国内株式)、漬物(不動産)などが一つのパッケージに入っている状態です。
一見すると便利でバランスが取れているように見えます。しかし、ここには大きな落とし穴があります。初心者は“1つの商品で完結する安心感”を過大評価し、内容の把握を怠りがちになるのです。
「嫌いなおかず(リスクの高い資産)」も勝手に入ってくる
例えば、人気の「8資産均等型」というバランスファンドには、株や債券など複数の資産が組み込まれています。これらの資産は値動きの傾向が等しくないため、基準価額の変動理由が分かりにくくなります。基準価額が下落したとき、「どの資産が原因なのか?」が分からない状態に陥り、学びづらい構造になってしまいます。これに「REIT(不動産投資信託)」や「新興国株式・債券」も含まれています。ここで重要なのは、初心者はファンドの内容が複雑になればなるほど、資産運用全体を理解しづらくなるという点です。資産ごとの特徴や、値動きの違いを理解していないと、正しい運用判断ができません。
これらは値動きが激しく、初心者にはリスクが高い場合がある資産です。「安定重視」で選んだつもりが、実は中身にハイリスクな商品が混ざっていることに気づかないまま運用することになります。
値動きの理由がサッパリ分からない
基準価額(投資信託の値段)が下がったとき、「なぜ下がったのか?」が分かりにくくなります。
「アメリカの株が下がったから?」「日本の金利が上がったから?」「不動産市況が悪化したから?」
要因が複雑に絡み合っているため、同じニュースを見ても自分の資産状況と結びつきません。
中身が分からないままお金を預けるのは、投資というより「ブラックボックスへの運任せ」に近くなってしまいます。初心者のうちは、自分が何にお金を出しているのか、シンプルに把握できる商品のほうが圧倒的に安心です。
② 手数料が高く長期で見ると損する可能性が高い
ここが一番の「コスパ」に関わる問題であり、NISAで長期投資をするなら絶対に無視できないポイントです。特にNISAなど、長期前提の制度で運用する場合は、手数料の差が大きな影響を及ぼします。
バランス型ファンドは、プロが資産配分を調整したり、リバランス(配分の修正)を行ったりする「手間賃」として、「信託報酬(持っているだけでかかる手数料)」が高めに設定されていることが多いです。
- 人気インデックスファンド(株式のみ): 年0.1%以下
- 一般的なバランス型ファンド: 年0.5%〜1.5%以上するものも
「たかが数%の差でしょ?」と思うかもしれません。しかし、投資期間が長くなる際には、この差がボディブローのように効いてきます。
また、資産を長期間保有するほど手数料差の影響が大きくなり、結果的にふくらむべき利益が削られてしまいます。さらに、投資信託は購入時や売却時に売買コストがかかる場合もあり、知らないうちに余計な費用を支払っているケースもあります。
【シミュレーション:100万円を20年間運用した場合】
仮に年利5%で運用できたとしましょう。
- 手数料0.1%の場合: 手元に残る利益は約163万円
- 手数料1.0%の場合: 手元に残る利益は約119万円
なんと、手数料の差だけで「約44万円」もの差がつきます。
投資元本が増えれば、この差はさらに数百万円単位に膨らみます。
バランス型ファンドを選ぶということは、この「将来受け取れるはずだった数十万円」を、運用会社への手間賃として支払う選択をしているかもしれないのです。
③ 自動調整で逆にパフォーマンスが悪くなることがある
バランス型ファンドには「リバランス」という機能がありますが、相場が強く上昇している第一局面では逆効果になる場合があります。上昇している資産を売り、調子の悪い資産を買い増すことで、伸びるはずだった利益を阻害してしまうのです。
一般的にはメリットがあると言われますが、強い上昇相場では逆効果になることがあります。これは、調子の悪い資産へ資金が変更されてしまうケースがあるからです。値上がりして増えた資産を売り、値下がりして減った資産を買い足すことで、元の配分比率に戻す自動調整機能です。
一般的には「安く買って高く売る」効果があると言われますが、強い上昇相場(株価がどんどん上がっている時)においては、これがデメリットになることがあります。
「勝ち馬」の足を引っ張る可能性
例えば、米国株が絶好調で大きく値上がりしているとします。
バランス型ファンドの中では、自動的に以下の動きが起こります。
「米国株が増えすぎたから売ろう(利益確定)」
「そのお金で、調子の悪い債券や国内株を買おう」
つまり、「勢いよく伸びている株(勝ち馬)を勝手に売って、調子の悪い資産(負け馬)を買い増す」というブレーキを自動でかけてしまうのです。
結果として、シンプルに株式ファンドだけを持っていた人よりも、最終的な利益が少なくなってしまうケースが多く見られます。
バランスファンドより良い代替投資戦略「自作ポートフォリオ」

多くの投資家が「シンプルなのに効果が高い」と実感しているのが、インデックスファンド(株式)+現金という組み合わせです。これは、資産を自分で調整するという判断をシンプル化でき、かつコストも最小限で済むため、有効な戦略です。また、証券口座を複数開いて投資先を分けている人もいますが、初心者には1つの口座で管理する方が分かりやすく続けやすいというメリットがあります。
債券ファンドを買わなくても、現金を手元に置くだけで十分なリスク管理ができます。投資を始める前に、目標リターンをどの程度期待するのかを決めることも重要です。
これを「カウチポテト・ポートフォリオ(ポテチを食べながらカウチで寝転がっていられるくらい気楽な運用)」と呼ぶこともあります。
なぜ「現金」が最強のリスクヘッジなのか
わざわざ手数料を払って「債券ファンド」を混ぜなくても、「投資に回さない現金を多めに持っておく」だけで、暴落時のクッションになります。
- 債券ファンド: 金利変動などで価格が下がるリスクがあり、信託報酬(手数料)もかかる。
- 現金(預金): インフレリスクはあるが、額面は減らない。手数料は0円。いつでも使える。
暴落が起きた時、手元に十分な現金があれば、「生活には困らないから、株価が戻るまで放置しておこう」と冷静でいられます。これが最強のリスク管理です。
初心者でも始めやすいポートフォリオの作り方
難しい計算やツールの利用は一切不要です。それぞれの性格や生活スタイルに合わせて、毎月の投資額を決めるだけです。本質的には「無理なく続けられる比率」を決めることこそ最重要です。
【パターンA:積極的に増やしたい「攻め」の人】
- 配分: 貯蓄可能額の50%〜70%を「株式ファンド」へ。残りは銀行預金。
- 考え方: 若い世代や、独身で生活費に余裕がある人向け。多少の暴落があっても、長期的に大きく増やすことを狙います。
【パターンB:とにかく損をしたくない「守り」の人】
- 配分: 貯蓄可能額の10%〜30%を「株式ファンド」へ。残りは銀行預金。
- 考え方: 既にまとまった資産がある人や、数年以内に大きな出費(住宅購入など)がある人向け。まずは少額から慣らしていきます。
これだけで、自分だけの「バランス調整」が完了します。
高い手数料を払ってファンド内で調整してもらう必要はありません。自分の銀行口座の残高と相談しながら調整する方が、よほど柔軟でコストもかかりません。
迷ったらまず専門家に相談してみるのも手です。専門家プロファイルではプロがあなたの状況に沿った個別の相談に乗ってくれます。不安や心配は一人で抱え込まず、専門家に相談してみましょう。相談例はいかにあります。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの吉野 充巨さんが以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

最近、資産運用をしたく勉強を始めました。
基本はコツコツ積立投資で少額から始めいたと思っています。
検討しているのは、インデックス型ファンドです。
(中略)
希望リターンが5%だとすると、年間で5%とれる分散比率は、どう計算するのでしょうか?
また、アセットアロケーションは、比率を戻す作業のようで、当初の組入れ比率より大きくなれば、売却し、下落で比率が下がったら買いまして、当初の比率に修正するらしいのですが、売却した資金で下がったものを買う。利益は手元に残らないのでしょうか?
またどのくらいの頻度で修正をしていくものなのでしょうか?
この運用は資産セミナーでよく聞く、複利効果はあるのでしょうか?
こういった話が聞けるセミナーなどがあればいいのですが、素人はどこからどう手を付けていいのかわかりません。
宜しくお願いします。
【回答】

オフィスマイエフピーの吉野です。
私は原則毎月、資産運用のセミナーとライフプランセミナーを開催しています。
今までのセミナーの内容をご確認ください。明日セミナー案内を更新する予定です。
セミナーの案内は下記でご確認ください。
http://www.officemyfp.com/seminerannai.htm
投資の基礎知識、リターンとリスクの関係、株式や債券の特徴、為替の影響、分散投資の効果、投資信託とは、インデックスファンドとアクティブファンドの違い等々から、ご自身のポートフォリオの作り方がわかります。
また、費用は割増しになりますが、お客様のご都合に合わせ、マンツーマンのセミナーも開催しています。ご確認ください。
アセットアロケーションの作成では、メール相談も承っています。このサイトの私のページに料金等を載せています。
投資の知識として、投資のリターンの90%は資産の配分によるものとされています。
また、当初投資金額、毎月の積み立て額、投資期間、目標金額、期待リターンの組み合わせをお伺いして、それに最適なアセットアロケーションを提示します。
よろしければ、HPで確認ください。
自分の立場にあった選択肢がわからない場合、専門家プロファイルでプロに詳しく相談してみてはいかがでしょうか。個別の悩みに対して専門家が寄り添って答えて不安や心配を解消してくれます。
2025年最新版!初心者におすすめの投資信託選び

では、具体的にどの商品を選べばいいのでしょうか?バランス型よりも手数料が圧倒的に安く、中身がシンプルなおすすめファンドを紹介します。NISA(つみたて投資枠・成長投資枠)で選ぶなら、まずはここからチェックしてみてください。ここでは手数料が安く、世界に分散できるインデックスファンドを紹介します。紹介する商品はいずれも有名会社が運用しており、安心して長期投資できます。
【結論】迷ったらこの2択!最強のインデックスファンド
「とにかく手数料を払いたくない!」
「世界経済の成長に乗ってお金を増やしたい!」
そんなコスパ重視派にとっての正解は、以下の「eMAXIS Slim(イーマクシス スリム)」シリーズです。
このシリーズは「業界最低水準の運用コストを将来にわたって目指し続ける」と宣言しており、他社が手数料を下げれば、それに追随して値下げするという徹底ぶりで、投資家から絶大な信頼を得ています。
① eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
通称「オルカン」。
これ1本を買うだけで、アメリカ、日本、ヨーロッパ、新興国など、世界中の約50カ国・約3,000社の企業に分散投資できます。
- 信託報酬: 年0.05775%(税込)程度 ※業界最安クラス
- おすすめな人: 「どの国が伸びるか予想するのは面倒」「世界全体が成長すればそれでいい」という人。これ1本で地球全体に投資するイメージです。
② eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
アメリカを代表する最強企業500社(Apple、Amazon、Microsoftなど)に集中投資します。
- 信託報酬: 年0.0968%(税込)程度
- おすすめな人: 「やはり経済の中心はアメリカ」「過去の実績が高い方に賭けたい」という人。オルカンよりもリスクは高まりますが、過去のリターンは世界株を上回っています。
【選び方のヒント】
迷ったら「オルカン」でOKです。
S&P500(米国株)も素晴らしいですが、もし将来アメリカ経済が低迷した場合、オルカンなら他の国がカバーしてくれます。究極の「ほったらかし」を目指すならオルカンが一番無難です。
月1万円から始める具体的な投資プラン

「商品は分かったけど、どう設定すればいいの?」
ここでは、月1万円をNISAで積み立てる場合の具体的な手順をシミュレーションします。
- 証券会社: SBI証券か楽天証券を開設(ポイントが貯まりやすく、画面が使いやすい)。
- 銘柄選択: 「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を検索して選択。
- 金額設定: 「月10,000円」と入力。
- 決済方法: クレジットカード決済(ポイントが付く)または銀行引き落としを選択。
- コース: 「再投資型」を選択(配当金を自動で再投資して複利効果を高める)。
あとは完全に放置です。
毎月自動で引き落とされ、世界中の企業の株が少しずつ積み上がっていきます。
それでもバランスファンドが合う人の特徴

ここまで「おすすめしない」と強調してきましたが、全てのバランス型が悪というわけではありません。以下のような事情がある方には、バランス型が適している場合もあります。
1. 投資に1秒も時間をかけたくない超多忙な人
「株と現金の比率を考えるのも面倒くさい!」「年に一度の資産チェックすら忘れたい」という人は、多少の手数料(コスト)を払ってでも、全てを自動化してくれるバランス型にお任せするのはアリです。
2. 銀行預金だとつい使ってしまう浪費家タイプ
「手元に現金があると、つい旅行や買い物に使ってしまう…」という方は、強制的に投資信託(バランス型)の中にお金を移して、引き出しにくくする(ロックする)という意味で利用価値があります。
3. 80代以上の高齢者など、資産を取り崩す段階の人
資産を増やすことより「減らさないこと」「安定して使うこと」が目的の場合、値動きがマイルドなバランス型が精神的に楽な場合があります。
もしバランス型を選ぶならコレ(比較的マシな選択肢)
どうしてもバランス型を選びたい場合は、手数料が安い以下の商品に絞ってください。
- eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)
- 信託報酬:年0.143%(税込)程度
- 特徴:バランス型の中では破格の安さです。8つの資産に均等投資するため、どれか一つが暴落しても他でカバーしやすい設計です。
- 楽天・インデックス・バランス・ファンド
- 特徴:「株式重視」「均等」「債券重視」から比率を選べます。全世界の株と債券にシンプルに投資する構造で分かりやすいです。
失敗しない投資信託の選び方 5つのチェックリスト

最後に、これだけ守れば大失敗はしない「選び方の基準」をまとめます。
商品選びで迷った時は、このリストを確認してください。
- 信託報酬は「0.2%以下」か?
長期投資の敵はコストです。0.5%を超える商品は、よほどの理由がない限り避けましょう。インデックスファンドなら0.1%以下が標準です。 - 「毎月分配型」ではないか?
NISAで資産形成をするなら、毎月お小遣い(分配金)が出るタイプはNGです。元本を削って配当を出している場合が多く、資産が増えません。「再投資型」を選びましょう。 - 純資産総額は「30億円以上」で増え続けているか?
人気のないファンドは、途中で運用が終了(繰上償還)してしまうリスクがあります。純資産が右肩上がりのファンドは、多くの人が支持している証拠です。 - 投資対象(中身)を3秒で言えるか?
「AI関連」「ロボット」「バイオ」などのテーマ型ファンドは、流行り廃りが激しく手数料も高額です。「全世界の株」「米国の株」と一言で言えるシンプルなものが最強です。 - リスク許容度を超えていないか?
「〇〇ショック」が起きた時、株価は一時的に半値になることもあります。「もし投資額が半分になっても、夜ぐっすり眠れるか?」を自問自答してください。眠れないなら、投資額を減らして現金の比率を高めましょう。
まとめ:シンプルこそ最強の戦略
投資の世界では、「複雑な商品ほど手数料が高く、シンプルな商品ほど成績が良い」というパラドックスがよく起こります。
初心者がNISAで成功するコツは、あれこれ悩んで複雑なバランス型を買うことではありません。「手数料の安い優良な株式インデックスファンド(オルカンなど)」を買い、リスク管理は手元の「現金」で行う。このシンプルな戦略こそが、プロにも負けない資産形成の近道です。
まずは月数千円、1万円からでも構いません。
「正解のファンド」を選んで、最初の一歩を踏み出してみましょう。10年後、20年後のあなたが、今のあなたの決断に感謝するはずです。






