旦那が死亡したら義理の親の遺産相続はどうなる?義父母の権利と対策を解説
夫が突然亡くなったとき、義両親から遺産の分配を求められて困惑していませんか?
子どもがいる場合といない場合で相続権がどう変わるのか、義両親に夫の遺産を渡さずに済む方法はあるのか、不安に感じている方も多いでしょう。
この記事では、夫が死亡したときの義両親の相続権について子どもの有無による違いを解説します。遺言書や生命保険を使った対策、義両親が亡くなった場合の妻の立場、介護貢献を評価してもらう特別の寄与制度まで、実務的な知識をまとめました。
自分と子どもの権利を守るために、相続の基本ルールから確認していきましょう。
旦那が死亡したら義両親に相続権はある?子どもの有無で変わる

夫が亡くなったとき、義理の両親に相続権が発生するかどうかは子どもの有無で大きく変わります。義両親から遺産の分配を求められて困惑している方も多いでしょう。
ここでは以下の内容を解説します。
- 子どもがいれば義両親に相続権は発生しない
- 子どもがいなければ妻3分の2・義両親3分の1
具体的な相続分の割合を確認していきましょう。
子どもがいれば義両親に相続権は発生しない

夫に子どもがいる場合、妻と子どもが法定相続人となり、義両親には相続権が発生しません。
民法では相続人に順位が定められており、子どもは第1順位にあたります。
配偶者は常に相続人となりますが、第1順位の子どもが存在する場合、第2順位である直系尊属(義両親)は相続人から外れる仕組みです。
| 相続人 | 法定相続分 | 遺産3000万円の場合 |
|---|---|---|
| 妻 | 2分の1 | 1500万円 |
| 子ども1人 | 2分の1 | 1500万円 |
| 子ども2人 | 各4分の1ずつ | 各750万円 |
義両親から遺産の要求があっても、法的に応じる義務はありません。突然の要求に動揺するかもしれませんが、法律はあなたと子どもの生活を守る立場にあります。
子どもが未成年の場合の注意点
子どもが未成年(18歳未満)の場合、遺産分割協議には特別代理人の選任が必要です。妻と子どもの利益が対立するため、妻が子どもの代理人になれません。
ただし、2022年4月1日の民法改正で成人年齢は18歳に引き下げられ、親の同意なく法律行為を実行できるようになりました。
参照:法務省|民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について
子どもがいなければ妻3分の2・義両親3分の1

夫に子どもがいない場合、配偶者である妻と直系尊属である義両親が法定相続人です。民法で定められた法定相続分は、妻が3分の2、義両親が3分の1です。
義両親が2人とも存命であれば、3分の1を均等に分けることになります。
遺産5,000万円の分配シミュレーション
夫の遺産が5,000万円だった場合の具体的な分配は以下のとおりです。
- 妻の相続分:約3,333万円(5,000万円×2/3)
- 義両親の相続分:約1,667万円(5,000万円×1/3)
- 義父母それぞれ:約833万円(1,667万円÷2)
遺言書がない場合は、妻と義両親で遺産分割協議を進め、具体的な分配を決めることになります。法定相続分はあくまで目安であり、全員が合意すれば異なる割合での分配も可能です。
ただし遺言で「妻に全財産を相続させる」と指定されていても、義両親は遺留分侵害額請求が認められています。
相続財産全体の6分の1に相当する金銭を請求できる権利を持っている点に注意が必要です。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの藤本 厚二さんが、夫に先立たれた義姉を心配する相談者からの質問に回答しています。
【質問(要約)】

39歳の兄が急死。義姉は37歳で子なし、病弱でフルタイム就労不可。生命保険2千万円の受取人は父、預貯金1500万円の1/3も両親が相続予定。義姉と義母は不仲。義姉の今後の生活が心配で、両親からの贈与等を提案すべきか悩んでいます。
【回答】

お義姉さんのことでのご心痛お察しいたします。悔やまれるのは生命保険金受取人の名義をしていなかったことでしょうか。悔いても致し方ないですね。法律上、遺産の分割はおっしゃる通りですね。お義姉さんと儀父母との間がうまくないとのこと。あなたの存在が大きいですね。ご両親とのあいだに入り、1)義父の相続の放棄が可能かどうか 2)受領した保険金の贈与ができるか
相続の放棄は相続人が申し出ればできます。預貯金の1500万円がそっくり入るかどうかで、今後の生活に大きな安心ができると思います。お義姉さんも入れご両親とあなたと三者でとき間をかけ話し合いをすることですね。生命保険金については、あなたのおっしゃるように贈与という形をとるしかないですね。
義父とお義姉さんがあまりうまくいってない状況で、都合の良いお話ですが、お父さんから見たら大事な息子の嫁さんです。本来なら実家に入りあとを継ぐ立場にあったかと思います。お義姉さんの体があまり丈夫でなく、仕事もうまくつけないとなれば、お父さんの情にすがるしかないと思います。幸いなことにあなたが、とてもお義姉さん思いであることです。4年間家族として接していたのですから、お兄さんが亡くなり複雑な気持ちでしょうが、大好きなお兄さんのためにも、これからも先お義姉さんとあなたがたご家族が円満に生活できることをお祈り申し上げます。
子どもがいない夫婦の相続では、配偶者と義両親との間で法定相続分や遺留分を巡る調整が必要なケースが少なくありません。
特に本事例のように保険金の受取人が異なる場合など、個別の事情に応じた円満な解決策を見つけるためにも、専門家プロファイルでプロのアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。
旦那の遺産を義両親に渡さない3つの対策

夫の遺産を義両親に渡したくない場合、法的に適切な対策を事前に講じれば妻と子どもの生活を守れます。
「義両親から突然遺産の分配を求められたらどうしよう」「今の自宅に住み続けられるのか」といった不安を抱えたままにせず、具体的な手段を知ることで気持ちの整理にもつながるでしょう。
以下の3つの対策を解説します。
- 遺言書で妻に全財産を相続させる
- 生命保険金で遺留分対象外の資産を確保する
- 遺言と生命保険を組み合わせて効果を高める
それぞれの対策には法的効力や注意点があるため、自身の状況に合った方法を確認しましょう。
1. 遺言書で妻に全財産を相続させる
遺言書を作成し「全財産を妻に相続させる」と明記すれば、法定相続分に関わらず妻へ遺産を集中させられます。
遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ特徴が異なります。
| 種類 | 作成方法 | 特徴 |
|---|---|---|
| 自筆証書遺言 | 自分で遺言の全文・氏名・日付を作成し、押印する | 遺言内容を秘密にでき、費用も無料。ただし形式不備で無効になるリスクあり |
| 公正証書遺言 | 本人と証人2名で公証役場へ行き、本人が遺言内容を口述し、それを公証人が記述する | 証人2名以上が必要。法的に確実で紛失の心配がない。開封時に手続き不要 |
| 秘密証書遺言 | 本人が証書に署名・押印した後、封筒に入れ封印して公証役場で証明してもらう | 遺言内容を秘密にでき偽造も防げるが、形式不備のリスクがある。開封ときに家庭裁判所の検認が必要 |
確実性を重視するなら、公正証書遺言の作成をおすすめします。
ただし義両親には遺留分(遺産の12分の1ずつ、合計で6分の1)があり、遺言書があっても遺留分侵害額請求をされる可能性は残ります。
遺言書に「妻の生活保障のため」と理由を書き添え、生前に説明すれば、義両親の理解は得やすくなるでしょう。ただ、法的な請求を確実に避けるには、遺留分を侵害しない範囲で財産を分けるか、事前に合意を得ておく対応が欠かせません。
夫の死亡後に妻が受け取れる遺族年金については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

2. 生命保険金で遺留分対象外の資産を確保する
生命保険金は受取人固有の財産として扱われるため、原則として遺産分割の対象になりません。妻を受取人に指定しておけば、義両親との協議を経ずに直接保険金を受け取れます。
この「原則として対象外」という考え方は、遺留分についても同様です。相続財産に比べて著しく高額でなければ、遺留分の請求対象にもならないため、義両親から金銭を要求されるリスクも回避できます。
生命保険には非課税枠があり、500万円×法定相続人数まで相続税がかかりません。たとえば法定相続人が妻と子2人なら1,500万円まで非課税となります。
税負担を抑えながら妻の生活資金を確保できるはずです。
ただし受取人の指定が間違っていると希望する相手に保険金が渡らないため、契約内容は必ず確認しておきましょう。
生命保険の活用方法や貯蓄型保険のメリット・デメリットについては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

参照:国税庁|No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金
専門家プロファイルでは、行政書士の新谷 義雄さんが、亡き夫の保険金受取人が義父母のままだったことで生じたトラブルに関する相談に回答しています。
【質問(要約)】

夫が急死しましたが、生命保険の受取人が義父母のままでした。夫は生前「子どものために」と言っていましたが口約束のみで、義父母は贈与税を理由に保険金を渡してくれません。無職で幼い子ども2人を抱え生活が苦しい中、何か法的な措置は取れないでしょうか。
【回答】

(前略)贈与も含め契約は口約束でも成立致しますが、いざ贈与があった事実を証明する事が大変です。
単純に贈与税が支払えないだけで、保険金の管理人になっていると言う場合ならば、孫の教育資金贈与の非課税制度も政府が検討していますので、言質が取れそうなうちに書面にしておいても良いかも知れませんね。
本制度は大学の授業料に対する贈与とされる予定ですが、お子さん2人ともなれば月額3~4万円分は教育資金が浮く試算です。
(後略)
引用:専門家プロファイル|亡夫の保険金の受取人が義父母の場合
生命保険は受取人の指定が非常に重要です。事例のように更新を忘れると、残された家族が資金を受け取れない事態になりかねません。
保険金の受取人変更や相続に関する手続きで不安がある方は、専門家プロファイルでプロに相談してみてはいかがでしょうか。
3. 遺言と生命保険を組み合わせて効果を高める
遺言書と生命保険を単独で活用するだけでなく、両者を組み合わせれば妻の生活基盤をより確実に守れます。
遺言書は不動産や預貯金など遺産全体の配分を指定できる一方、遺留分の請求リスクが残ることに注意が必要です。対して生命保険金は遺産分割の対象外で、受取人に直接支払われるため遺留分請求を受けません。
たとえば自宅4千万円と預貯金2千万円がある場合、遺言書で自宅を妻に相続させ、妻を受取人とする生命保険にも加入しておく方法があります。
保険金で遺留分相当額を確保すれば不動産を手放さずに済み、義両親との金銭トラブルも回避できるでしょう。遺言と保険を併用すれば、迅速な資金確保と財産管理が同時に実現できます。
ただし個別の状況によって適した組み合わせは異なるため、弁護士や税理士への相談をお勧めします。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの三島木 英雄さんが、死亡保険金の受取人を巡る義母とのトラブルや遺産分割について回答しています。
【質問(要約)】

夫が急逝し、前妻の子と私の実子が相続人に。死亡保険金の受取人を義母から私へ変更した直後だったため、長年保険料を払っていた義母が権利を主張しています。義母や前妻の子に保険金を渡すべきか、退職金も分配が必要か悩んでいます。
【回答】

(質問者)様
遺産分割等についてお困りとのこと。まず、相続人ですがとても難しく3人となります。
(質問者)様と、(質問者)様の生まれたお子様、前妻の子の3人になります。この3人で遺産を分割する事になりますが、(質問者)様のお子様はまだ判断能力等がないので、遺産分割協議にあたっては特別代理人の選任が必要です。
代理人は(質問者)様がなることが出来きませんので注意下さい。
上記の割合を法定相続分で考えますと
(質問者)様 1/2
(質問者)様の子 1/4
前妻の子 1/4
となります。前妻のお子様が遺産分割協議にて全ての財産を(質問者)様が相続する旨を同意すれば全て(質問者)様が相続します。
ですが、前妻の子には「遺留分」という法的に最低限認められた取り分がありまして、具体的には相続財産の1/8です。これは前妻の子に裁判で訴えられたら支払うことになります。
また何が遺産なのかがポイントとなりますが一般的には ・死亡保険金 ・死亡退職金 においては(質問者)様が受け取るのが普通で「遺留分」の対象と考えないのが一般的ですので、通常通りであれば死亡保険金・死亡退職金は(質問者)様が受け取ることになります。
また、そもそも夫の母親は相続人ではありませんので口を出す権限が特にありません。
ただ、15年間支払ってきた事実も存在するので裁判を起こされたらご主人様の母親への支払いが多少発生してもおかしくはありませんが限定的だと思われます。
前妻の子に分けるものとしては、現預金などその他の資産の1/8は支払った方が無難であると言えます。ですがこれも決まりではありません。
具体的には話あいになりますが、一般的には多少の金額を支払って納得させているご家庭が多いのも事実です。
いずれにおいてもまずは相続財産がどれだけあるのか?を整理する事から始めます。
少しでもご参考になりましたら幸いです。
遺産分割の実行援助等を弊社では行っておりますのでお困りの際は遠慮なく個別にご相談下さいませ。
今回の相談事例のように、相続人ではない義両親との権利関係や遺留分を考慮した遺産分割は非常に複雑です。
「自分のケースでは義両親の要求を拒否できるのか」「法的に有効な対策は十分か」など、個別の事情に合わせたアドバイスが必要な方は、専門家プロファイルで相談してみてはいかがでしょうか。
【義両親が亡くなった場合】妻は義両親の遺産を相続できるか

夫が先に亡くなっている場合、妻は義両親の遺産を相続できるのでしょうか。実は婚姻関係だけでは義両親の法定相続人にはなれません。
以下の内容を解説します。
- 旦那が先に死亡していると妻に相続権はない
- 孫は祖父母の遺産を代襲相続できる
- 養子縁組で妻も法定相続人になれる
将来の相続に備えて、それぞれの仕組みを確認しましょう。
旦那が先に死亡していると妻に相続権はない

夫が先に亡くなっている場合、妻は義両親の遺産を直接相続する権利を持ちません。妻と義両親は「姻族」という関係にあたるためです。
民法では法定相続人は配偶者と血族に限定されています。
義両親は夫の血族ですが、妻にとっては姻族にすぎず、血縁関係がないため相続権は発生しません。例えば10年以上同居して義両親の介護を毎日続けてきたとしても、その貢献が直ちに相続権につながることはありません。
法的には「被相続人の親族」でなければ、遺産を受け取る権利は認められないためです。
ただし義両親と養子縁組している場合は例外です。養子縁組によって法律上の親子関係が成立すれば、妻も法定相続人として相続権を得られます。
相続権がなくても、遺族年金は受け取れる可能性があります。遺族年金の受給条件や金額については、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

孫は祖父母の遺産を代襲相続できる

夫が義両親よりも先に亡くなっている場合でも、子ども(孫)がいればその孫は祖父母の遺産を相続できます。この制度を「代襲相続」と呼びます。
代襲相続が発生するのは、本来の相続人である親(夫)が被相続人(祖父母)よりも先に死亡していたときです。
このとき、孫が親の相続権をそのまま引き継ぐことになります。たとえば祖父母の遺産を子ども2人で分ける予定だったところ、1人が先に亡くなり孫が2人いた場合を考えましょう。
孫2人は親が受け取るはずだった相続分を等分し、配偶者が2分の1、孫2人が各8分の1ずつ相続する形になります。
ただし親が相続放棄した場合、代襲相続は発生しません。あくまで「親が先に亡くなっている」ことが条件です。
妻自身に相続権はなくても、子どもを通じて義両親の遺産が家族に残る可能性があります。覚えておきましょう。
専門家プロファイルでは、相続問題に詳しい弁護士の神尾 尊礼さんが、死亡時期の違いによる法的な扱いの変化について回答しています。
【質問(要約)】

母が亡くなり、その約1ヶ月後に長女も亡くなりました。長女には娘(孫)がいます。母の夫は既に他界しており、相続人は長男である私と長女のはずでした。この場合、母の遺産は私と孫が相続するのでしょうか。また、一般的な分割割合はどうなりますか。
【回答】

弁護士の神尾です。お母様の後に長女さんが亡くなられているので、いわゆる代襲相続にはあたりません。とき系列に考えると分かりやすいと思います。
1 お母さんが亡くなられたとき点 お母様の遺産が、(遺言等がないとすると)あなたと長女さんで2分の1ずつ相続されます。
2 長女さんが亡くなられたとき点 長女さんの相続分(2分の1)が、長女さんが亡くなられたことにより長女さんの家族(長女さんの旦那さん、お子さんなど)に相続されます。
例えば長女さんの旦那さんがいるとしたら、あなた・・・2分の1 旦那さん・・・4分の1 長女さんのお子さん・・・4分の1 となります。
「代襲相続」かどうかの判断は、亡くなった順番が非常に重要であり、それによって遺産の行き先も変わってきます。
ご自身のケースがどの制度に当てはまるか不安な場合は、専門家プロファイルで弁護士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
養子縁組で妻も法定相続人になれる
義両親と養子縁組すれば、妻自身が義両親の「子」として法定相続人になれます。
普通養子縁組であれば、実親との関係を保ちつつ養親の相続権も得られます。ただし養子縁組の場合、相続権の取得以外にも、いくつかの影響が生じる点に注意が必要です。
- 妻から義両親への扶養義務が発生する
- 相続税や贈与税の計算にも影響が及ぶ
- 実子の相続分が減少するため、実子との間で相続トラブルが生じやすくなる
養子縁組は単に相続権を得る手段だけでなく、法的な親子関係を結ぶ判断です。
義両親の介護や同居を長年続けてきた場合でも、遺言書の有無や他の相続人の意向によっては後々トラブルになる可能性もあるでしょう。
養子縁組を検討する際は、相続権のメリットだけでなく扶養義務や税制面での影響も含めて専門家に相談してください。
介護貢献を請求できる特別の寄与制度とは?

長年義両親を介護してきたのに法律上は相続権がない。「これまでの苦労は何だったのか」と感じるのは当然のことです。そんな不公平を解消するため、2019年に「特別の寄与」という制度が新設されました。
この制度を使えば、配偶者として義両親に尽くしてきた貢献を金銭として評価してもらえる可能性があります。以下の内容を解説します。
- 2019年の法改正で妻も請求可能に
- 請求の要件と計算方法の目安
- 請求期限は相続開始から6ヶ月以内
介護や療養看護といった貢献を正当に評価してもらうための知識として、ぜひ確認しておきましょう。
2019年の法改正で妻も請求可能に
2019年7月1日に施行された民法改正により「特別の寄与」という制度が新しく創設されました。
相続人以外の親族が被相続人の介護などに貢献した場合、相続人に対して金銭を請求できる仕組みです。改正前は長男の妻が義父母の介護に長年尽くしても、相続人ではないため遺産の取り分を請求する権利がありませんでした。
しかし改正後は、貢献度に応じて相続人に金銭を請求できるようになっています。
約40年ぶりの相続分野に関する大きな見直しで、相続人以外の親族の貢献を考慮するための方策として導入されました。献身的に介護などをしていた嫁や婿にとって、長年の貢献を法的に評価してもらえる制度です。
請求の要件と計算方法の目安
特別の寄与を請求するには、相続人以外の親族であることが必要です。
義両親を介護した子の配偶者は、相続人ではないため要件を満たします。請求には、無償で療養看護などの労務を提供し、被相続人の財産維持や増加に貢献したことの証明が欠かせません。
例えばパートを辞めて3年間毎日介護に専念し、施設入所費用(月額15〜30万円程度)を節約できたような場合は、特別の寄与として認められやすくなるでしょう。
計算方法は介護の期間や内容、相続財産の額などを総合的に考慮して決まります。以下の要素が影響します。
- 介護に費やした時間と期間
- 提供した労務の内容と専門性
- 相続財産全体の金額
- 裁判所が決定する裁量割合
ただし金額の算定は複雑で、当事者同士の協議で決めるのが一般的です。
協議がまとまらない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てられます。
申立てには、相続人を知ったときから6ヶ月以内、または相続開始から1年以内という期限があります。いずれか早いとき期を過ぎてしまわないよう、早めに手続きを進めましょう。
介護負担に備える公的介護保険制度の仕組みについては、以下の記事で詳しく解説しているので、参考にしてください。

請求期限は相続開始から6ヶ月以内
特別の寄与料の請求期限は「相続の開始および相続人を知ったときから6ヶ月」または「相続開始から1年」のいずれか早い方です。
これらは除斥期間にあたるため、期間の延長や中断はできません。以下の表で整理します。
| 期限の種類 | 起算点 | 期間 |
|---|---|---|
| 消滅とき効 | 相続の開始および相続人を知った日 | 6ヶ月 |
| 除斥期間 | 相続開始日 | 1年 |
期限は、相続開始と相続人を知ったときから6ヶ月、または相続開始から1年のうち、早い方です。どちらか一方でも期間が過ぎれば、請求権は消滅する点に注意しましょう。
相続開始から6ヶ月経過していても、1年以内なら請求可能です。
ただし期限を過ぎると請求権は完全に失われるため、相続放棄の3ヶ月とは別の期限として覚えておきましょう。介護日誌や領収書などの証拠を整理し、期限内に家庭裁判所へ調停を申し立てることが大切です。
相続開始から1年の期限はとき効の中断ができないため、早めに専門家へ相談してください。
旦那死亡ときの義両親との相続についてよくある質問

義両親との相続に関するよくある質問に回答します。
遺留分侵害額請求権には2つの重要な期限があります。
相続開始と遺留分侵害を知った日から1年で消滅とき効が成立します。「知った日」とは、遺言の存在を把握し、かつ自分の遺留分が侵害されていると認識したときです。

たとえば遺言書が死後半年経って見つかった場合、発見したときから1年が期限です。
相続開始から10年が経過すると、侵害を知らなくても除斥期間により権利が消滅します。
この期間はとき効と違い、相手方が主張しなくても自動的に権利がなくなるため注意しましょう。
とき効を過ぎると遺産分割協議で法的に主張できる権利がなくなり、義両親との交渉で不利な立場に立たされる可能性があるでしょう。遺留分請求後に発生した金銭債権も、民法166条により5年でとき効消滅するため注意が必要です。
姻族関係終了届を提出しても、夫の遺産に対する相続権には一切影響しません。
届出で終了するのは義両親との姻族関係だけで、配偶者として既に取得した相続権は失われないからです。相続は夫の死亡時点で確定しており、その後の手続きで権利が消滅することはありません。
遺族年金の受給資格も継続します。
ただし届出により義両親に対する扶養義務は消滅するため、将来的な介護負担を避けたい場合に適しているでしょう。義両親との関係悪化を招く可能性があるため、遺産分割協議中の提出は慎重に判断してください。
相続手続きと姻族関係終了は法的に別の制度であり、届出のタイミングは相続権に影響しません。
参照:e-Gov法令検索|民法
相続問題は弁護士事務所の無料相談や法テラス、自治体の法律相談窓口で相談できます。
多くの法律事務所では初回30分〜1時間の無料相談を実施しており、相続に強い弁護士を選ぶことが大切です。無料相談では次の点を確認しましょう。
- 相談時間の制限(通常30分〜1時間)
- 相談内容の範囲(具体的な解決策まで聞けるか)
- 担当弁護士の相続分野の実績
- 有料相談や正式依頼に進む場合の費用
無料相談は問題の全体像を把握し、専門家の見解を得る場です。
話し合いがまとまらないときは、家庭裁判所での調停や審判へ進むのが一般的です。また遺留分請求には期限があるため、早めの対処が欠かせません。
手続きに不安がある場合は、弁護士への正式な依頼も視野に入れてみてください。
まとめ
旦那が死亡した場合の義両親の相続権について解説しました。
子どもがいれば義両親に相続権は発生しませんが、子どもがいない場合は妻が3分の2、義両親が3分の1といった割合になります。遺言書と生命保険を組み合わせれば、義両親への相続を最小限に抑えられるでしょう。
ただし義両親には遺留分(6分の1)があるため、完全に防ぐことは難しい点も覚えておいてください。
妻自身は義両親の遺産を相続できませんが、孫がいれば代襲相続で義両親の財産を受け継げます。長年介護に尽くしてきた場合は特別の寄与を請求できる可能性もあります。
相続問題は専門的な知識が必要で、一人で判断するのは難しいものです。
幅広い分野の専門家が回答する無料Q&Aが充実した専門家プロファイルを活用すれば、あなたの状況に合わせたアドバイスを得られます。
気になることがあれば、ぜひ質問してみてください。

