金投資をおすすめしない5つの理由と失敗しない資産運用の選び方

「金投資は安全なのだろうか」「将来のために始めたいが、リスクが気になる」「どのようなデメリットがあるのか、具体的に知りたい」このように考えていませんか。
そこで本記事では、金投資をおすすめしない5つの理由や、金投資のメリットや代替となる投資方法を紹介します。
本記事を読めば金投資のリスクを理解し、最適な投資方針を決められるでしょう。
将来の資産形成のために、リスクを理解したうえで安全に資産を増やしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
金投資をおすすめしない5つの理由

金投資は安全資産と言われていますが、実際はデメリットも存在します。
ここでは、金投資をおすすめしない5つの理由を詳しく解説します。
- 利息や配当が一切ない
- 手数料やスプレッドのコストが高い
- 売却益にかかる税金が高い場合がある
- 為替変動による価格下落のリスクがある
- 現物の盗難や紛失のリスクがある
順番に解説します。
1.利息や配当が一切ない
金投資の大きなデメリットは、利息や配当を一切得られない点です。
株式投資にはインカムゲインと呼ばれる配当金や債券投資の利息収入がありますが、金はこのような収益を生み出しません。利益は、価格が上昇したときの売却益、つまりキャピタルゲインのみです。
もし金の価格が下落した場合、損失だけが発生するリスクを抱えることになります。定期的な収入を重視する投資家にとって、この特性は機会損失(本来得られたはずの利益を逃してしまうこと)となる可能性もあるでしょう。
安定した運用を求める方には、不向きな投資といえるかもしれません。
2.手数料やスプレッドのコストが高い
金投資では、売買手数料やスプレッドが利益を圧迫する要因となります。
スプレッドとは、購入価格と売却価格の差額のこと。たとえば、金地金(インゴット)の小売価格が1グラム17,500円、買取価格が17,000円の場合、差額の500円がスプレッドにあたります。
購入した直後に売却すると、この差額分が損失となる仕組みです。
また、投資信託やETF(上場投資信託)で金に投資する場合もコストがかかります。購入時の手数料に加え、保有期間中は信託報酬(投資信託の運用や管理にかかる費用)というコストが継続的に発生します。
これらのコストは、金価格の上昇分を相殺し、実質的な利益を減少させる要因となるのです。
3.売却益にかかる税金が高い場合がある
金地金や金貨といった現物を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」として扱われます。株式投資の利益とは異なる方法で税金が計算されるため、税金が高くなる可能性がある点に注意が必要です。
最大の特徴は、給与所得など他の所得と合算して税金を計算する「総合課税」である点です。
「年間利益50万円」と「保有期間5年」|税金が決まる2つのルール
金投資の譲渡所得には年間で合計50万円の特別控除があります。
その年に他の譲渡所得がなく、金の売却益が50万円以下であれば実質的に所得税はかかりません。しかし、利益が50万円を超えた場合、その超えた部分が課税対象となります。
さらに、金を保有していた期間によって課税対象となる金額が異なります。
保有期間 | 課税対象額の計算式 | 内容 |
---|---|---|
短期譲渡所得 (5年以内) | 売却益 – 50万円 | 利益から50万円を差し引いた全額が他の所得と合算される |
長期譲渡所得 (5年以上) | (売却益 – 50万円) ÷ 2 | 利益から50万円を差し引いた額を、さらに半分にした額が他の所得と合算される |
このように、金を5年以上長期で保有することで、税金の負担を軽減できる可能性があります。
ただし、給与所得などが高い方は、合算後の所得に対して累進課税が適用されるため、結果的に税額が高くなる可能性がある点はデメリットだといえるでしょう。
4.為替変動による価格下落のリスクがある
金投資には、為替変動による価格下落のリスクが伴います。
金の価格は国際的にドル建てで取引されるため、外国為替市場で円高が進むと円建てでの金の価値は下がってしまいます。
たとえば、金の価値を1オンス(約31.1グラム)2,000ドルとして考えてみましょう。
為替レートが1ドル150円のとき、円建て価格は約30万円です。もし、為替レートが1ドル100円まで円高になると、円建て価格は約20万円に下落します。

金のドル建て価格が変わらなくても、為替の動きだけで損失を被る可能性があるのです。
5.現物の盗難や紛失のリスクがある
金地金や金貨といった「現物」を所有する方法もありますが、この場合、現物を安全に保管し続ける必要があります。
自宅で保管する場合、盗難や火災、紛失といったリスクに備えなければなりません。金庫を用意したり保険に加入したりと、対策にコストがかかるのがデメリットだといえるでしょう。
自宅での保管が不安な場合、銀行の貸金庫や専門業者など外部の保管サービスを利用する方法がありますが、これらのサービスを利用する場合も保管料が発生します。
たとえば、株式会社徳力本店が提供する預かりサービスの価格は以下のとおりです。金の重量に応じて保管金額が変動します。
平均保管重量 | 保管料(6ヶ月) | 参考保管料(12ヶ月) |
---|---|---|
15,000gまで〜10,000gを越える | 7,920円 | 15,840円 |
10,000gまで〜5,000gを越える | 5,280円 | 10,560円 |
5,000gまで〜1,000gを越える | 2,640円 | 5,280円 |
1,000gまで | 1,320円 | 2,640円 |
引用:株式会社徳力本店
利息や配当を生まない金投資において、こうした管理コストも収益を圧迫する原因の一つです。
金の現物保有には保管のコストや手間がかかりますが、それ以外にも知っておくべき注意点があります。専門家プロファイルでは、投資アドバイザーの荒川雄一さんが、金の購入に関する以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

これからゴールド(金)の購入を検討しています。金投資にはどのような特徴や取引方法があるのでしょうか。また、現物購入や純金積立など、それぞれの方法におけるメリットや注意点があれば具体的に教えてほしいです。
【回答】

国際フィナンシャルコンサルタントの荒川雄一です。
さて、ご質問内容拝見しました。
まずは、ゴールド(金)への投資ですが、ご存知のように「金」は、戦時や国際情勢に大きな不安要素がある場合に、上昇する傾向があるため、「有事の金」として、購入する方が多いのが特徴です。
「金」への投資は、ゴールドバーや金貨などの現物の購入と、毎月一定額を購入する純金積立が、代表的な取引方法です。※その他、金ETFや金先物取引などもあります。
まとまった資金がある方は、現物購入する方もいらっしゃいますが、一般的な「資産形成法」としては、純金積立を利用されている方が多いと思います。純金積立を提供している会社は複数ありますが、手数料や年会費など、まちまちなので、ご自分の投資額に照らして、コストの安いところを探すと良いでしょう。
また、純金の保管方法には、純金積立会社の資産と分別管理を行う「特定保管」と、投資家の「金」が同一に管理される「消費寄託」があります。「消費寄託」は、万一、純金積立会社が倒産してしまった場合、金が返還されない可能性があります。反面、「特定保管」の場合、「金」の管理に手間がかかるため、比較的手数料が高くなる傾向があるので、どのくらいの投資をされるかで、考えられると良いと思います。
(後略)
金の現物保有には、本文で解説したような保管コストや盗難・紛失のリスクが伴います。専門家のアドバイスにもあったように、純金積立など他の投資方法と比較検討することが大切です。ご自身の資産状況や目的に合った最適な投資方法を見つけるために、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
金投資のメリットとは?知っておきたい3つの強み

金投資にはデメリットがある一方、他の資産にはない強みも存在します。
ここでは、金投資が持つ3つの主要なメリットを解説します。
- インフレや経済危機に強い資産価値がある
- 世界共通で認められる普遍的な価値がある
- 株式とは異なる値動きでリスク分散になる
これらの強みを理解することで、金投資を資産運用にどう活かせるか判断しやすくなるでしょう。
1.インフレや経済危機に強い資産価値がある
金は、インフレや経済危機に強い資産として知られています。
インフレとは、物価が継続的に上昇しお金の価値が相対的に下がること。現金や預金は、インフレが進むとその価値が実質的に目減りしてしまいます。
一方、金は実物資産として独自の価値を持つため、インフレ局面では資産の逃避先として金が買われ、価格が上昇する傾向があるのです。
2.世界共通で認められる普遍的な価値がある
金は、世界中で共通の価値を持つ実物資産です。特定の国が発行する通貨とは異なり、その価値は国に左右されません。
金の価値は世界中の市場で認められており、この普遍的な価値は数千年にわたる歴史の中で築かれてきました。
そのため、特定の企業の業績や国の経済政策によって、価値がゼロになることはありません。この信頼性の高さが、金が「安全資産」とよばれる理由の一つです。
世界情勢が不安定なときほど、この普遍的な価値が再認識される傾向にあります。
3.株式とは異なる値動きでリスク分散になる
金は、株式などの他の資産と異なる値動きをする傾向があります。
一般的に、株価が下落する局面で、金の価格は上昇することがあります。これは、経済の先行き不安から、投資家が株式を売って金を買う動きに出るためです。
この異なる値動きを利用することで、資産全体のリスクを分散させる効果が期待できます。
たとえば、資産のすべてを株式で持っていると、株価が暴落した際に大きな損失を被るかもしれません。しかし、資産の一部を金で保有していれば、株式の損失を金の利益で一部相殺できる可能性があります。
ポートフォリオ(金融商品の組み合わせ)の5%から10%程度を目安に金を組み入れることが、リスク管理の観点から推奨されています。
金投資のメリットについて解説してきましたが、実際に「今、買うべきか」と迷っている方もいるでしょう。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーが以下のような具体的な質問に回答しています。(質問は2008年3月時点のもの。)
【質問(要約)】

CMで純金投資を見て興味を持ちましたが、金価格が値上がりしている今、購入すべきか迷っています。実物資産としての純金が持つメリットとデメリットについて、専門家の意見を教えてください。
【回答】

はじめまして、アブラハムプライベートバンクの奥村と申します。
純金は、将来のインフレ対策としては有効とされています。日本がハイパーインフレに陥った際なども、資産保全手段として効果があると見込めます。
ただ、手数料が高い業界ですので、購入する際には業者選びをじっくり行うことをお勧めいたします。
CMというのは、金の積立のものでしょうか。積立であれば、投資対象としては海外の積立等もお勧めできます。ご検討されている通り金などの現物資産に投資する方法、リターンが見込める世界のトップファンドに投資して国際分散投資を行う方法、積立にすることで投資時間の分散を行う方法があります。現在では、海外への直接投資も日本にいながら、海外口座を開かずに行うことができます。
引用:専門家プロファイル|投資の対象として純金を買うことについて
金価格の動向や、ご自身のポートフォリオにどう組み入れるべきかなど、具体的な悩みは専門家に相談するのがおすすめです。
金の価格は何で決まる?知っておきたい3つの変動要因

金の価格推移の背景には、以下のような3つの主要な要因があります。
- 需要と供給のバランス
- 金利と為替の動向
- 世界情勢(地政学的リスク)
これらの要因を理解しておくことで、金の価格変動を予測しやすくなり、投資判断の精度を高められます。特に経済ニュースや為替相場の動きにも目を向けておきましょう。
1. 需要と供給のバランス
あらゆるモノの価格と同じく、金の価格も最終的には買いたい人(需要)と売りたい人(供給)のバランスで決まります。
金の需要は、主に以下の4つから成り立っています。
需要の種類 | 内容と価格への影響 |
---|---|
宝飾品としての需要 | 世界の金需要の約半分を占める。特にインドや中国の景気が良くなると宝飾品の消費が増加し、価格の上昇要因となる。 |
投資としての需要 | 景気の先行きが不透明な局面や経済不安が高まると、投資家が安全資産として金を購入する。ETFなどを通じた資金の流入も、価格に大きな影響を与える。 |
中央銀行による需要 | 各国中央銀行が、自国通貨の価値を裏付ける外貨準備の一部として金を保有。近年、複数の国による購入が活発化し、需要を下支えしている。 |
産業用としての需要 | 電気を通しやすく腐食しにくい性質から、スマートフォンやPCの精密な電子部品にも使用される。 |
一方、金の供給は「鉱山からの生産」と「市場でのリサイクル」の2つに大別され、需要に比べて年間供給量は比較的安定しているのが特徴です。
2. 金利と為替の動向
金そのものは、利息や配当を生みません。そのため、世の中の金利が上昇する局面では、利息がもらえる銀行預金や債券の方が魅力的になり、相対的に金の人気が下がる傾向があります。
特に、世界の基軸通貨である米ドルを発行するアメリカの金利動向は、金の価格に大きな影響を与えます。
3. 世界情勢(地政学的リスク)
戦争や紛争、大規模なテロなどが発生し、世界情勢が不安定になると、投資家は自国通貨や株式といった資産の価値が下がることを恐れます。
このようなとき、価値がゼロになる心配がなく、世界中で通用する「有事の金」として、安全資産である金に資金が向かいやすくなります。
これを地政学的リスクとよび、リスクが高まると金の価格は上昇する傾向にあるのです。
専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの森本直人さんが、金投資に関する以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

純金積立を始めようと考えている投資初心者です。金は経済や投資の入門に良いと聞きましたが、何から、どのように勉強すればよいのでしょうか。また、値動きが激しいと言われるプラチナの価値についても知りたいです。
【回答】

ファイナンシャルプランナーの森本直人と申します。
純金積み立てで、投資の入門を検討されているとのこと。
個人的な考えを申し上げると、金やプラチナは、主に宝飾品としての需要が高いので、いくらくらいが適正な価格なのかが、よく分からないという点で、難しいと思います。
一方、株式投資の場合は、例えば、株価純資産倍率(PBR)、株価収益率(PER)といった指標があり、その会社の純資産や利益に対して、株価が割高か割安かを判断する目安が、いちおうあります。
今回、金に投資して、結果どうなるかは、もちろん、私にも分からないのですが、吉と出ても、凶と出ても、経験値は増えますので、チャレンジしてみることは、わるくないと思います。
ただし、あくまで長期に寝かせておける余裕資金で、小額から実践するというスタンスがよろしいかと思います。
ちなみに、金は、米ドルと逆相関関係があるともいわれていますので、米ドルの為替相場も合わせて研究されてみてはいかがでしょう。
以上、ご参考になれば、幸いです。
金の価格は宝飾品や投資などさまざまな需要によって変動します。ご自身の資産形成において金への投資を検討している方は、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
金投資の始め方|主な2種類の方法とそれぞれの特徴

メリット・デメリットを理解したうえで金投資を始めてみたいと考える方に向けて、金投資を始める主な方法を2つ紹介します。
- 現物購入で直接金を保有する方法
- 金融商品で間接的に投資する方法
ここで紹介する投資方法について表でまとめたので、各項目を読む前に参考にしてください。
投資方法 | 主なコスト | 特徴 |
---|---|---|
【現物購入】現物金(金地金や金貨) | 売買スプレッド・保管料 | ・実物資産だが盗難リスクあり |
【現物購入】純金積立 | 購入手数料・年会費 | ・少額から積立可能 |
【金融商品】投資信託 | 購入時手数料・信託報酬 | ・少額から購入・積立可能 ・取引価格は1日1回算出される基準価額 |
【金融商品】金ETF(上場投資信託) | 売買手数料・信託報酬 | ・取引価格はリアルタイムに変動する市場価格 |
1.現物購入で直接金を保有する方法
現物購入は、金地金や金貨といった「実物」の金を手元に置く方法で、主に2つの方法があります。
- 現物金(金地金や金貨)
- 純金積立
実物資産を直接保有できるため、安心だと感じる方も多いでしょう。ただし、盗難や紛失のリスク、保管コストが課題です。
現物金(金地金や金貨)
金地金は「ゴールドバー」ともよばれる金の延べ棒のこと。貴金属店や地金商などで購入できます。
金貨は、各国政府が発行する法定通貨で、収集品としての価値を持つのも魅力です。
どちらも購入時と売却時に手数料がかかり、その差額であるスプレッドがコストとなります。
純金積立
純金積立は、毎月一定額を積み立てて金を購入していく方法です。以下のような金業者や証券会社がサービスを提供しています。
- 田中貴金属工業
- 三菱マテリアル
- 楽天証券
- SBI証券
毎月数千円といった少額から始められるのがメリットです。ドルコスト平均法(定期的に一定額を投資し続ける手法)により、価格が高いときには少なく、安いときには多く買うため、平均購入単価を抑える効果が期待できます。

また、一定量積み立てると、金現物と交換できるサービスも存在します。たとえば、楽天証券であれば以下の単位で受け取りが可能です。
- 100グラム
- 500グラム
- 1,000グラム
引用:楽天証券|現物受取(引出し)サービスについて
いきなり金地金を購入する元手の無い方は、現物と交換できるまでコツコツ積み立てるのがおすすめです。
2.金融商品で間接的に投資する方法
金融商品を通じて、間接的に金に投資する方法もあります。代表的な金融商品として、以下の2つが挙げられます。
- 投資信託
- ETF(上場投資信託)
これらの方法では現物を直接保有しないため、保管の手間やコスト、盗難のリスクがないのがメリットです。
また、新NISAの「成長投資枠」にも対応しているため、非課税で運用できる点も魅力だといえるでしょう。
投資信託
投資信託は、投資家から集めた資金を専門家が運用する金融商品です。金価格に連動するように設計された投資信託を購入することで、間接的に金へ投資できます。
代表的な商品には「三菱UFJ 純金ファンド(愛称:ファインゴールド)」などがあります。
証券会社や銀行などで、100円や1,000円といった少額から購入可能です。純金積立と同様に、毎月一定額を自動で積み立てる設定もできます。
1日に1回算出される基準価額を元に取引価格が決まるため、1日の間に価格が変動することはありません。
金ETF(上場投資信託)
金ETFは、証券取引所に上場している投資信託の一種です。
株式と同じように、取引所の取引時間中であれば、金の市場価格がリアルタイムで連動した値動きで売買できます。
国内の証券取引所で購入できる代表的な銘柄には「SPDR ゴールド・シェア(1326)」や「純金上場信託(1540)」などがあります。
投資信託に比べて、信託報酬などのコストが低い傾向にあるのが特徴です。ただし、売買単位が決められており、投資信託よりまとまった資金が必要になる場合があります。
たとえば、純金上場信託(1540)の売買単位は、2025年8月24日時点の値は1株14,945円。2株購入すると約30,000円となり、投資信託のように数百円、数千円単位での少額購入はできません。

専門家プロファイルでは、ファイナンシャルプランナーの吉野充巨さんが、金投資の方法に関する以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

金投資を始めたいと考えています。毎月少しずつ金貨を購入する方法と、手数料が高いと聞く純金積立では、どちらが良いのでしょうか。それぞれのメリット・デメリットを踏まえて、アドバイスをお願いします。
【回答】

初めまして、ライフ・プランの実現と資産運用を支援するオフィスマイエフ・ピーの吉野充巨です。
金への投資を始めるにあたっては、期間をどの程度に設定されていらっしゃるかによります。
長期間の積立を予定されているのでしたら、500グラムバー(1キロバーもあります)が手元に残せる純金積立をお勧めします。(100グラムバーもありますが取引に手数料が上乗せされます)
ある程度の期間で、金貨が得られれば良い場合には金貨でも宜しいかと思います。ただ、金貨は金の価格としては割高になります。(金としては少量で加工が入るため)。工芸品として愛でたり、アクセサリーにするにはベターな方法です。
ご承知とは思いますが、金の価格はドルでの取引がベースですので、為替リスクが生じます。また、価格の変動率も極めて大きいことをご承知ください。
従いまして、SHOT様がお考えになられたように、積み立て方式の購入なさるのは、私も高値掴みをしないための方法としてお勧めしています。(但し底値でも購入できないデメリットもあります)
なお、金自体は株式などと異なり利益を生みません。価格が上昇しなければ投資での利益が得られませんので、投資対象としてよりも究極の通貨とお考えになり、資金の10%未満の投資先とされますようお勧めします。
このように、金投資にはさまざまな方法があり、ご自身の目的や投資スタイルに合わせて選ぶことが重要です。自分にとって最適な方法がわからない場合は、専門家プロファイルで一度相談してみてはいかがでしょうか。
金投資に代わる初心者におすすめの投資方法3つ

金投資のデメリットを考慮すると、他の投資方法も検討する価値があります。
ここでは、金投資に代わるおすすめの投資方法を3つ紹介します。
- 定期収入が期待できる高配当株投資
- 新NISAの「つみたて投資枠」でインデックス投資信託を始める
- 少額から始められる不動産クラウドファンディング
ご自身の投資目標に合わせて、最適な方法を検討してみてください。
1.定期収入が期待できる高配当株投資
高配当株投資は、定期的な収入を得たい方におすすめの方法です。
高配当株とは、配当金を多く出す企業の株式のこと。株式を保有している間、定期的に配当金を受け取れる場合があります。これは、金投資では得られないインカムゲインにあたります。
企業の業績が向上すれば、株価自体が上昇する可能性もあるでしょう。その場合、配当金と値上がり益の両方を期待できるのが魅力です。
ただし、企業の業績が悪化すれば、配当金が減ったり株価が下落したりするリスクもあります。
2.新NISAの「つみたて投資枠」でインデックス投資信託を始める
税制優遇を活用して少額から投資から始めるなら、新NISAの「つみたて投資枠」を利用するとよいでしょう。
「つみたて投資枠」を使えば、投資で得た利益が年間120万円まで非課税となります。この制度を活用して、インデックス投資信託を始めるのがおすすめです。
インデックス投資信託は、特定の株価指数などに連動する金融商品のこと。日経平均株価や米国のS&P500といった指数に連動する商品があります。
市場全体に分散投資する効果があり、価格変動リスクを抑えやすいのが特徴です。
また、金投資に比べて手数料が低い商品が多い点もメリットといえるでしょう。
新NISAの「成長投資枠」なら金投資信託や金ETFを購入可能
新NISAの「つみたて投資枠」では金関連の投資商品は対象外ですが、「成長投資枠」であれば金投資信託や金ETFを購入できます。
「成長投資枠」を利用すれば売却して得た利益は非課税となるため、複雑な税金計算が不要になる点が金地金(現物)への投資にはない大きなメリットです。
ただし、インデックス投資信託にくらべて価格変動のリスクが大きく手数料が高めになるため、上級者向けの投資商品だと考えておきましょう。
3.少額から始められる不動産クラウドファンディング
少額から不動産投資を始めたい方には、不動産クラウドファンディングという方法があります。
インターネットを通じて複数の投資家から資金を集め、その資金で不動産に投資する仕組みです。
1万円程度の少額から始められるサービスが多く、初心者でも挑戦しやすいのが特徴。金投資と同様に実物資産への投資ですが、定期的な分配金が期待できる点が異なります。
専門の事業者が運用するため、自分で物件を管理する手間はかかりません。
ただし、投資したプロジェクトによっては元本割れのリスクもあります。また、投資期間中は原則として資金を引き出せないため、余裕資金で投資することをおすすめします。
金投資に関するよくある質問

金投資を検討するにあたり、初心者の方が抱きやすい疑問はさまざまです。ここでは、金投資に関するよくある質問とその回答を紹介します。
投資初心者の方でも金投資を始めることは可能です。
純金積立や投資信託を利用すれば、月々数千円程度の少額から始められます。専門的な知識がなくても始めやすいのが特徴です。
ただし、この記事で解説したようなデメリットやリスクといった基礎知識はしっかり理解しておきましょう。
ご自身の資産状況や投資目的に合っているか、慎重に検討することが大切です。
金投資で利益が出るかどうかは、購入したときより高い価格で売却できるかによります。
金の価格は常に変動しており、将来の価格を正確に予測することは誰にもできません。歴史的に見れば、長期的に価格が上昇してきた時期もあります。
2024年に入ってからも金の価格は歴史的な高値圏で推移していますが、今後も上がり続ける保証はありません。
短期的には大幅に価格が下落する局面もあるため、利益だけでなく、損失を被るリスクもあることを理解しておく必要があります。
金投資が危険といわれる主な理由は、価格変動リスクとコストの存在です。
金の価格は、経済情勢や金利、為替レートなどさまざまな要因で変動します。予測が難しく、予期せぬ要因で価格が急落する可能性もあります。
また、金自体は利息や配当を生まないため、手数料や保管料といったコストが直接収益を圧迫します。これらの点が、金投資が「危険」「やばい」といわれる理由だと考えられるでしょう。
純金積立と金投資信託の大きな違いは、最終的に実物の金と交換できるかどうかです。純金積立は、一定量が貯まると金地金や金貨といった現物と交換できるサービスが多くあります。
一方、金投資信託は金融商品であり、原則として現物とは交換できません。実物資産として保有したいかどうかで、どちらを選ぶかが変わってくるでしょう。
金投資で失敗しないためには、まず生活資金ではなく、当面使う予定のない余裕資金で投資することが重要です。
資産のすべてを金に投資するのではなく、全体の一部に留めておきましょう。一般的に、総資産の5%から10%程度が投資額の目安とされます。
また、短期的な価格変動に一喜一憂せず、長期的な視点で投資することが大切です。
まとめ
本記事では、金投資をおすすめしない理由やメリット、代替案について解説しました。
金は利息を生まない一方、経済危機に強いという特性があります。ご自身の投資目標やリスク許容度を踏まえ、NISAの成長投資枠の活用なども含めて最適な運用方法を判断することが重要です。
もし、あなたの状況に合わせた具体的なアドバイスが欲しい場合は、幅広い専門家が回答する専門家プロファイルの無料Q&Aを活用してみてください。