HSS型HSPの特徴とは?「変わっている」といわれる矛盾した性格と生きやすくなる方法

「新しいことに挑戦したいけれど、不安で動けない」「人と会うのは好きだけれど、すぐに一人になりたくなる」。
こんな風に、心の中でアクセルとブレーキを同時に踏んでいるような感覚に、心当たりはありませんか。
その複雑な気持ちは、HSS型HSP(刺激を求めながら繊細な気質を持つ人)という気質が原因かもしれません。
そこで本記事では、HSS型HSPの基本的な特徴から多くの人が抱える悩み、才能を仕事・人間関係で活かす方法まで解説します。
この記事を読めば、自分の特性を正しく理解し、矛盾した性格と上手に付き合う方法が見つかるはずです。
自分の特性を知り生きづらさを解消したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
この記事はあくまでも「HSS型HSPの傾向の一例」として特徴や悩みを紹介しています。個人の経験や元々の性格によって異なります。
あなたはHSS型HSP?矛盾した特徴と診断テスト

ここでは、HSS型HSPという気質の基本的な特徴について解説します。
- HSS型HSPが持つ矛盾した性質
- HSSとは?刺激を求める外向的な気質
- HSPとは?繊細で敏感な内向的な気質
- 診断テスト|HSS型HSP気質をチェック
自分に当てはまるか考えながら、一つずつ確認していきましょう。最後に、HSPを提唱した心理学者エレイン・アーロン博士の研究に基づいたセルフチェックも紹介します。
HSS型HSPが持つ矛盾した性質
HSS型HSPとは、繊細で敏感な「HSP」と、刺激を求める活発な「HSS」という、2つの特性を同時に持つ人を指します。
敬和学園大学の論文では、HSP全体の約3割、全人口の約6%がこのタイプに当てはまるとされています。

この2つの性質は正反対に見えるため、HSS型HSPの人は心に矛盾を抱えがちです。たとえば、新しい環境に挑戦したいと強く望むのに、いざ環境が変わると些細なことで疲れてしまうといったことが挙げられます。
これがHSS型HSPが日常的に感じるジレンマです。
非HSS型HSPとの違い
「非HSS型HSP」とは、刺激を求める気質(HSS)を持たない一般的なHSPのことです。HSS型HSPとの一番の違いは、刺激に対する態度です。
HSS型は新しい刺激を求めますが、非HSS型は刺激を避けて穏やかな環境を好む傾向にあります。
おもな違いを一覧表にまとめたので、参考にしてください。
特性 | HSS型HSP | 非HSS型HSP |
---|---|---|
刺激への態度 | 新しい刺激を積極的に求める | 刺激を最小化し安定を好む |
行動パターン | 好奇心旺盛で行動的 | 慎重で計画的 |
ストレス要因 | 刺激の不足と過剰の両方 | 主に刺激の過剰 |
ケア方法 | 刺激と休息のバランス調整 | 安心できる環境の確保 |
どちらも繊細な点は同じですが、HSS型HSPは刺激がないと退屈し、多すぎると疲れるため刺激量の調整が難しく、自己理解や環境調整が必要な傾向にあるとされています。
HSSとは?刺激を求める外向的な気質
HSS(High Sensation Seeking)は「刺激追求型」と訳されます。この気質が強い人は、以下のように新しい体験や変化に富んだ環境を好む傾向にあります。
項目 | 具体例 |
---|---|
好奇心 | 未知の物事への探求心が強く常に新しい情報を求める |
衝動性 | 退屈を嫌い思い立ったらすぐに行動することが多い |
変化への欲求 | 単調な日常に飽きやすく環境の変化を好む |
社交性 | 新しい人との出会いに積極的で、交流を楽しむ |
これらの特徴のとおり、HSSの気質を持つ人は活動的な印象を周囲に与えます。しかし、HSS型HSPの人は、その内面にもう一つの性質が隠れています。
HSPとは?繊細で敏感な内向的な気質
HSP(Highly Sensitive Person)は「非常に感受性が強く敏感な人」を指し、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって提唱された概念です。
博士が書いた著書によれば、HSPには以下の4つの柱があり、その頭文字をとって「DOES(ダズ)」と呼ばれています。
項目 | 具体例 |
---|---|
Depth of Processing (深く処理する) | 物事を深く考え本質を捉えようとする |
Overstimulation (刺激への過敏さ) | 大きな音や強い光人混みなどに圧倒されやすい |
Emotional reactivity and empathy (感情の反応が強く共感力が高い) | 他人の感情を自分のことのように感じ取りやすい |
Sensitivity to Subtleties (些細な刺激を察知する) | 細かいことや雰囲気の変化によく気づく |
HSPの気質は慎重で思慮深い長所がある一方、刺激が多いと疲れやすい面も持っています。
生まれつき神経系が敏感なためといわれており、HSS型HSPの人は、この繊細さと刺激を求める気持ちの間で揺れ動くのです。
診断テスト|HSS型HSP気質をチェック
HSS型HSPの気質があるか気になる方は、エレイン・アーロン博士の研究に基づいたセルフテストで確認してみましょう。
メニューの「Self-Tests」からHSP、HSSセルフテストができます。

ただし、セルフテストは病気を診断するものではなく、自身の気質を知るための目安です。
結果にかかわらず、もし日常生活で生きづらさや困難を感じている場合は、専門のクリニックやカウンセラーにご相談ください。
HSS型HSPに共通する「あるある」な悩み5つ

ここでは、HSS型HSPの人が抱えがちな5つの悩みを紹介します。
これらの悩みは、相反する2つの気質がぶつかり合うことで生まれます。
- 好奇心旺盛なのに完璧主義で動けない
- 人付き合いは好きだけれど気疲れする
- 集中力は高いが飽きっぽく長続きしない
- 新しい挑戦をしたいのに変化が不安になる
- 活動的でもキャパオーバーになる
もし共感する部分があれば、HSS型HSPの気質が影響しているのかもしれません。
1.好奇心旺盛なのに完璧主義で動けない
HSS型HSPは、新しいことを見つけるとすぐに行動したくなります。しかし、いざ始めようとすると、HSPの持つ「深く物事を処理する」性質から、完璧主義な一面が出てきます。
「失敗したらどうしよう」「小さなミスも許せない」と考えすぎて、行動する前からネガティブ思考になり動けなくなるのです。
行動したい気持ちと失敗を恐れる気持ちが葛藤し、自己嫌悪に陥ることも少なくありません。
2.人付き合いは好きだけれど気疲れする
HSS型HSPの方は、初対面の人と話したり新しい場に参加したりすることに魅力を感じる一方、人間関係で疲れやすい特徴も持っています。
人と会うのは好きですが、相手の意見や感情を敏感に受けとってしまうため、自分自身の気持ちを消耗してしまいがち。無意識に警戒するため、楽しかったはずの交流が、やがて大きな負担になってしまうのです。
しかし、活動的な振る舞いから社交的に見えるため、周りからはその疲れが理解されにくい傾向にあります。
3.集中力は高いが飽きっぽく長続きしない
HSS型HSPの方は、興味のあることには驚くほどの集中力を発揮します。短期間で高い成果を出すことも珍しくありません。
一方で、好奇心の対象が次々と移りやすく、一つのことを続けるのが得意ではない傾向があります。
ある程度達成すると興味を失い、急にやる気や集中力がなくなることもあるため、周りから「飽きっぽい」と見られてしまうことがあるのです。
4.新しい挑戦をしたいのに変化が不安になる
HSS型HSPの方は単調な毎日を嫌い、常に新しい刺激や変化を求めます。新しい計画を立てることにワクワクするタイプです。
しかし、実際に新しい環境に身を置くと、今度は繊細さの気質が強く出ます。慣れない環境の些細な変化に過敏に反応し、強いストレスを感じるのです。
「挑戦したいけれど怖い」という矛盾した感情にいつも悩まされます。
5.活動的でもキャパオーバーになる
HSS型HSPの方は活動的な気質からたくさんの予定を入れたり、複数の仕事を同時に進めたりするため、周囲からは「タフな人」と思われがち。
しかし、一つひとつのことから受ける刺激が多いため、自覚している以上にエネルギーを使っています。その結果、ある日突然燃え尽きたように動けなくなることがあります。
自分の限界がわかりにくく、ペース配分が難しい点も悩みです。
限界サインの兆候を理解しておく
活動量が増えすぎてキャパオーバーする前に、限界サインの兆候を理解しておきましょう。
以下のようなサインが現れたら、活動エネルギーが枯渇している可能性があります。
項目 | 具体例 |
---|---|
感覚が過敏になる | 普段は気にならない音や光が苦手になり、ひどく不快に感じる |
イライラしやすくなる | 気分の波が大きくなり、イライラや落ち込みが目立つ |
集中力が続かない | 仕事や趣味に身が入らず注意力が散漫になる |
睡眠の質が低下する | 寝つきが悪くなったり夜中に何度も目が覚めたりする |
人を避けるようになる | 無意識に人との交流を避け一人でいることを強く望む |
これらのサインに気づいたら、無理をせず、すぐに休息を取ることを心がけましょう。
専門家プロファイルでは、カウンセラーの堀江 健一さんが以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

HSPかもしれないと悩み、生きづらさを感じています。人の感情を敏感に受け取りすぎて眠れなかったり、人間関係で疲弊してしまったりすることが多いのですが、これは普通ではないのでしょうか?
【回答】

初めまして、堀江と申します。お辛そうですね。普通の人でも誰かの為に泣いたり、肌触りを気にしたり、相手の表情で眠れなくなったりすることは、ある事でしょう。でもその感受性の高さの程度や感じてしまう頻度は大きく異なるものかと思われます。特にその影響による生き辛さの程度は、普通の人には想像も出来ないくらい。
もちろんこうなんだと話して説明すれば、頭ではわかってくれるでしょうし、大変さも理解してくれると思いますが。逆に言えば、少しは説明しないと、まったくあなたがそんなに敏感である事は外からは見えない事になります。私も考えてみれば、小さい頃からその様な傾向はあったように思います。アリを踏んでしまっては可哀そうだと思い、ずっと下の地面を観察しながら歩いたり遊んだりする子供でした。猫背になってしまったのは、そのせいかも知れません(笑)。
今ではそんな色々共感してしまう資質も、カウンセラーの仕事には活かせていると思えるので幸いです。かふさんもお仕事に活かしておられるのではありませんか?(中略)
これは想像ですが、かふさんが人の表情や言葉の裏を読んだり、それで眠れなくなってしまうのは、感受性の高さにプラスして、どこかの時点で人から傷付けられるような体験をしてしまい、不安感を抱くようになってしまうような事があったのではないでしょうか?感受性の高さは生まれつきの所もあり、鈍くするようなコントロールは難しそうに思いますが、不安感はカウンセリングなどで受け止める時の認知を変えることで、軽減出来るものかと思います。(中略)
感受性が高いことと、不安を抱いてしまう事とは関連していますが少し違う部分の働きではないかと思うのですがいかがでしょう?むしろご自分の感受性をもっと信じてあげたほうが安心できて、余計な心配でエネルギーを使わずに済むように思います。(後略)
HSS型HSPは繊細さと刺激を求める性質の両面を持つため、人間関係や仕事で葛藤しやすい傾向があります。こうした生きづらさや不安を感じたときには、専門家に相談することで安心感や具体的な対応策を得られるでしょう。
HSS型HSPが人間関係で悩まないための対処法

ここでは、HSS型HSPが人間関係のストレスを減らすための対処法を3つ紹介します。自分らしくいるために、ぜひ試してみてください。
- 刺激と休息のバランスを意識する
- 自分の特性を正直に伝えておく
- 一人の時間を確保して心を守る
自分に合った付き合い方を見つけられれば、生きやすくなるはずです。
1.刺激と休息のバランスを意識する
HSS型HSPの人は、楽しい予定が刺激になることも。そのため、人と会う予定を入れる際は、前後に休息日を作ることをおすすめします。
たとえば「週末に友人と会った翌日は、家でのんびりする」のように、予定の前後に休息を取り入れるようにしましょう。疲れを感じる前に休む習慣は、人付き合いによる疲れを軽減すると言われています。
2.自分の特性を正直に伝えておく
HSS型HSPの人は、信頼できる相手に自分の特性を伝えておくことで、理解を得やすくなる場合もあります。
たとえば「大人数は好きだけれど、長くいると疲れてしまう」「急に静かになるけれど、機嫌が悪いわけではない」といった自分の特性を具体的に伝えることで、相手に理解してもらいやすくなり、無理のない関係を築きやすくなるでしょう。
ただし、すべての人に理解されるわけではないため、無理に打ち明ける必要はありません。
3.一人の時間を確保して心を守る
HSS型HSPの人にとって、一人になる時間は心と体の回復に欠かせません。どんなに親しい人といても、定期的に一人で過ごす時間を確保しましょう。
たとえば、家族がいても別の部屋で過ごしたり、一人で散歩に出かけたりするだけで効果があります。「人と会わない日」を意図的に作ることも有効です。
一人の時間を持つことで他人の感情から解放され、自分自身と向き合うことができ、自己肯定感をリセットできるでしょう。日記を書いて感情を整理するのも有効です。
X(旧Twitter)では、HSS型HSPを自覚する方が心を楽にする方法をシェアしています。
HSS型HSPの人間関係のストレス対策は pic.twitter.com/sqXrZUm0qQ
— やま@HSS型からHSPを学ぶ (@yama_hsshsp) July 23, 2025
同じ気質を持つ人の工夫は、心を軽くしてくれるヒントになりますね。
Yahoo!知恵袋では、HSS型HSPの性質に悩む方から以下のような声が寄せられています。

ネットでHSP診断を行ったところ、HSS型HSPと診断されました。特徴を読むと私の普段行っていることにかなり合致する部分があります。仕事上のことですが、私は常に新しいアイデアを思いつくことが多く、興味が出てしまうと過集中になってしてしまい周りが見えなくなります。また、他に新しいことに気づいてしまうと今度はそっちに気が向いてしまいます。そんな性格なので通常業務以外にも様々な業務改善計画を一人で遂行し、黙々と仕事をこなして結果を出してきました。しかし現職ではまったく評価されていないのか昇進することができないので近々退職いたします。どのように行動すれば私のような性格でも、新しい環境でうまくやっていけるでしょうか?
引用:Yahoo!知恵袋
もし同じような悩みをお持ちの方は、専門家に相談してみるのもおすすめです。
専門家プロファイルでは無料で専門家に質問できます。気になることがあれば、気軽に相談してみましょう。
HSS型HSPの特性を強みに変える3つの方法

HSS型HSPの矛盾した特性は、見方を変えればユニークな才能になります。ここでは、HSS型HSPの特性を強みに変える方法を3つ紹介します。
- 高い共感力をコミュニケーションに活かす
- 好奇心旺盛さを学びや創造活動に繋げる
- 繊細な感覚を活かして質の高いアウトプットを目指す
これらを強みとして意識すれば、仕事や私生活で大きな力を発揮できますよ。
1.高い共感力をコミュニケーションに活かす
HSS型HSPの人は、相手の気持ちやその場の空気を敏感に読み取れます。この共感力は、相手のニーズを深く理解する必要がある仕事で大きな強みとなります。
相手が本当に求めていることを察知し、的確に提案することで、お客様や仲間と深い信頼関係を築けるでしょう。
ただし、共感しすぎて疲れないよう、オンとオフの切り替えが大切です。
2.好奇心旺盛さを学びや創造活動に繋げる
次々と新しいことに興味が湧く特性は、学びや創造的な活動において大きな強みとなるでしょう。
個人差はありますが、HSS型HSPの人はさまざまな知識を吸収し、それらを結びつけて新しいアイデアを生み出すのが得意な傾向にあります。
Webデザイナーやライター、商品開発など、常に新しい情報を取り入れる仕事に向いています。
さらに、短期集中型のプロジェクトが多い環境なら、HSS型HSPの新しいことへの適応力や行動力が活かされやすいはずです。
3.繊細な感覚を活かして質の高いアウトプットを目指す
HSS型HSPの人は、他の人が見過ごすような、細かな部分や違和感によく気づきます。この繊細な感覚は、仕事の質を高めることに繋がるでしょう。
たとえば、資料の誤字を見つけたり、デザインのズレに気づいたりできます。
ただし、過剰な刺激やストレスが続くと疲弊しやすいため「8割できたら一度相談する」といった工夫を取り入れ、無理なく取り組みましょう。
HSS型HSPに関するよくある質問

最後に、HSS型HSPに関するよくある質問にお答えします。疑問の解消に役立ててください。
男性のHSS型HSPは「リーダーシップや行動力」などの大胆さと、繊細な「気配りや共感力」の両面を持つ傾向にあります。
一方で、社会的な「男らしさ」や常識に合わせようと無理をすることで、刺激を求める外向的な面と繊細な内面とのギャップに悩むことがあるとされています。
女性のHSS型HSPは、高い共感力と好奇心からコミュニケーション力や創造性を発揮しやすく、クリエイティブ分野で活躍する人も少なくありません。
一方で、周囲の期待に応えようと頑張りすぎたり、繊細さから人間関係で疲れやすかったりと、エネルギーを消耗しやすい面もあります。
HSS型HSPは好奇心旺盛で多くの情報を得やすく、物事を深く考える傾向にあるため、他者と異なる視点やアイデアを生み出すことがあるといわれています。
科学的に実証されているわけではありませんが、「天才」や「頭の回転が速い」と言われることがあるようです。
個人差はありますが、HSS型HSPは、繊細さから人間関係に悩みやすく、周囲から理解されにくいことで「嫌われているのでは」「友達がいないのでは」と感じやすい傾向にあります。
新しい刺激や経験を求める傾向にあり、興味が移りやすいことから人間関係が長続きしないと感じることもあるようです。
まとめ
本記事では、HSS型HSPの特徴について解説しました。活発な面と繊細な面を持つHSS型HSPは、矛盾した性質に悩みがちです。
しかし、それは素晴らしい才能でもあります。自分の気質を理解し、刺激と休息のバランスを取ることで生きやすさに繋がり、あなたの人生はより豊かなものになるでしょう。
もし、この記事を読んでも解消しない悩みや疑問があれば、専門家の知見を参考にするのも一つの方法です。
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