年金70歳支給で大損する人は誰?5つの特徴で解説
「70歳まで年金の受け取りを我慢すれば、受給額が42%も増える」——※
老後の生活を考えると、この「42%増額」という言葉はとても魅力的に聞こえます。
その数字だけを信じて安易に判断すると、思わぬ落とし穴にはまり、かえって「大損」してしまう可能性があるのです。
この記事では、そんな「70歳支給」に潜むリスクを徹底的に掘り下げます。
あなたが「大損する人」の5つの特徴に当てはまらないか、具体的な数字やモデルケースを交えながら、一つひとつ丁寧に解説していきます。
額面42%増の裏側!手取り増額は約30%?

実は、年金70歳支給で増えた額面のすべてが手元に残るわけではありません。
税金や社会保険料の負担が増え、手取りの増加率は思ったほどではないケースがほとんど。
さらに、家族構成や健康状態によっては、受け取れるはずだった別の給付金(加給年金など)を失い、生涯のトータル受給額で数百万円も損をしてしまうことすらあります。
額面42%増の裏側!手取り増額は約30%?
70歳まで年金の受け取りを待つ「繰り下げ受給」を選ぶと、年金額は最大で42%増えます。
しかし、これはあくまで税金や社会保険料が引かれる前の「額面」の話。
実際に使える「手取り額」の増加率は、多くの場合30%程度に留まることをご存知でしょうか。
年金の額面が増えると、それに伴って所得税や住民税、国民健康保険料などの負担も増えるため、額面の増加分がそのまま手元に残るわけではないのです。
この事実を知らずに判断すると、「思ったより生活が楽にならない」という事態に陥りかねません。
受給開始年齢ごとの増額率と手取り目安(クリックで表示)
| 受給開始年齢 | 額面の増額率 | 手取り増額率の目安 |
|---|---|---|
| 66歳 | 8.4% | 約6% |
| 67歳 | 16.8% | 約12% |
| 68歳 | 25.2% | 約18% |
| 69歳 | 33.6% | 約24% |
| 70歳 | 42.0% | 約30% |
※手取り増額率は地域や家族構成により変動します。
この表の数字だけに注目するのではなく、手取り額で考える視点が重要です。
繰り下げ受給の基本的な手続き方法
年金の繰り下げ受給を希望する場合、特別な事前申請は原則不要です。
65歳で送られてくる「年金請求書」を提出せずに、希望する時期まで待つだけで手続きが始まります。
具体的な流れは以下の通りです。
- 65歳の誕生月に日本年金機構から「年金請求書」が届く
- すぐに請求せず、希望する受給開始年齢まで待機する
- この間、年金は受け取れない
- 希望するタイミングで年金事務所に連絡し、繰り下げ受給用の請求書を請求する
- 「ねんきんダイヤル」や近くの年金事務所で手続きを進める
- 必要事項を記入し、必要書類を添付して年金事務所に提出する
- 戸籍謄本や住民票などが必要になる場合がある
- 提出後、約1〜2ヶ月で「年金証書・年金決定通知書」が届き、受給が開始される
手続き自体はシンプルですが、いつから受け取りたいかを明確に決めておくことが大切です。
70歳支給で大損する人の特徴5つ

特徴1:加給年金を受け取れる可能性がある人
「年金の家族手当」とも呼ばれる「加給年金」は、年下の配偶者や子がいる場合に受け取れる特別な加算です。
しかし、年金の受給を70歳まで繰り下げると、この権利を完全に失ってしまう可能性があります。
- 加給年金の仕組み: 厚生年金に20年以上加入した人が65歳になった時点で、生計を維持している65歳未満の配偶者や18歳未満の子がいる場合に支給される
- 繰り下げのリスク: 自分が年金を繰り下げている間は、加給年金も支給停止
- 損失額の具体例: 例えば、65歳の夫が年金を70歳まで繰り下げると、その5年間、妻が65歳未満であっても加給年金(年間約40万円)は受け取れない
- 振替加算への影響: 妻が65歳になると、夫が年金を受け取り始めても加給年金は支給されず、代わりに妻自身の年金に「振替加算」が行われますが、その額は加給年金より大幅に少なくなる
結果として、5年間で約200万円、生涯で見るとそれ以上の金額を失う可能性があり、繰り下げの増額メリットを大きく損なうことになります。
特徴2:住民税非課税世帯の特権を失うリスク
年金の額面が増えることで、これまで「住民税非課税世帯」として受けていた様々な優遇措置が受けられなくなるリスクがあります。
これは、手取り額の減少以上に生活に響く「見えない損失」と言えるでしょう。
- 年金額が増加し一定の所得を超えると、住民税非課税世帯から課税世帯へ
- 課税世帯になると、国民健康保険料や介護保険料の負担が増加
- 医療機関での自己負担額の上限が引き上げられ、医療費の支出増へ
- 自治体によっては、臨時給付金の対象外になったり、公営住宅の家賃が上がることも
これらの「見えない損失」は年間で数万円から十数万円にのぼることもあり、額面の42%増というメリットを相殺してしまうほどのインパクトがあります。
年金収入の増加に伴う負担増のイメージ(クリックで表示)
| 住民税非課税世帯 | 課税世帯 | |
|---|---|---|
| 住民税 | 0円 | 発生 |
| 国民健康保険料 | 軽減措置あり | 軽減なし(増額) |
| 介護保険料 | 軽減措置あり | 軽減なし(増額) |
| 医療費自己負担 | 上限額が低い | 上限額が高い |
特徴3:損益分岐点より前に死亡する健康不安
70歳への繰り下げ受給が本当にお得になるかは、「何歳まで生きるか」という点に大きく左右されます。
65歳から受給した場合と比べて、70歳からの受給総額が上回る「損益分岐点」は、一般的に81歳11ヶ月あたりと言われています。
- 損益分岐点とは、65歳から受け取り始めた場合の累計額と、70歳から受け取り始めた場合の累計額が同じになる年齢のこと
- つまり、82歳より前に亡くなってしまうと、結果的に65歳から受け取っていた方が総額は多くなる
- 日本の平均寿命は延びていますが、健康上の不安を抱えている方や、自身の家系の寿命などを考慮すると、リスクの高い選択となる可能性も
ご自身の健康状態や、無理なく生活できる「健康寿命」も考慮に入れ、冷静に判断することが不可欠です。長生きに自信がない場合、繰り下げのメリットを享受できず、かえって損をしてしまうことも念頭に置くべきでしょう。
特徴4:遺族年金の受給額が減ってしまう人
万が一、年金の繰り下げを待っている間に亡くなってしまった場合、残された家族が受け取る遺族年金の計算方法に注意が必要です。
増額されるはずだった年金額が、遺族年金には反映されないというルールがあります。
- 計算の基準: 繰り下げ待機中(65歳から70歳までの間)に本人が死亡した場合、遺族年金は増額される前の「65歳時点の年金額」を基準に計算される
- 増額分は消滅: 繰り下げによる増額分は、あくまで「本人が長生きした場合の特典」という位置づけだから
- 具体例: 70歳で42%増額された年金を受け取る予定だったとしても、69歳で亡くなれば、遺族年金の基礎となるのは増額ゼロの65歳時点の年金額
配偶者など、遺族の生活を支えるために年金を残したいと考えている方にとっては、見過ごせないリスクと言えます。繰り下げを選択するということは、遺族が受け取る可能性のある金額を減らしてしまうかもしれない、という側面も理解しておく必要があります。
特徴5:在職老齢年金で調整される高所得者
70歳以降も現役並みに働き、高い収入を得る予定の方は、繰り下げ受給のメリットが「在職老齢年金制度」によって減らされてしまう可能性があります。
- 在職老齢年金とは: 働きながら年金を受け取る場合に、収入(給与と年金の合計)に応じて年金の一部または全部が支給停止される仕組み
- 70歳以降も対象: 70歳まで繰り下げて年金額を42%増やしても、70歳以降の収入が高ければ、その増額分がカットされる
- 調整の目安: 年金月額と給与月額の合計が一定額(2024年度は50万円)を超えると、超えた分の半額が年金から引かれる
せっかくリスクを取って繰り下げたのに、結局受け取れる金額が調整されてしまうのでは、増額の恩恵を十分に受けられません。
70歳以降も高収入が見込まれる方は、繰り下げをせずに65歳から受け取り、資産として運用した方が有利になるケースも考えられます。
これらの特徴は確かに年金で損をするかの指標になります。ですが、専門家に相談して不安や悩みを解消してみてはいかがでしょう。
手取り比較!65歳 vs 70歳受給

モデルケースで見る手取り額の損益分岐点
額面だけでなく、税金や社会保険料を差し引いた「手取り額」で比較すると、損益分岐点はさらに後ろにずれる傾向があります。
ここでは、具体的なモデルケースで見ていきましょう。
【モデルケースの前提】
- 65歳時点の年金額(額面):年間200万円
- 70歳時点の年金額(額面):年間284万円(42%増)
- 計算は簡略化しており、実際の金額とは異なる
▼ 手取り額比較と損益分岐点の目安
| ケース | 65歳受給時の手取り(年) | 70歳受給時の手取り(年) | 手取りベースの損益分岐点 |
|---|---|---|---|
| 単身世帯 | 約175万円 | 約240万円 | 82歳~83歳頃 |
| 夫婦世帯(配偶者収入なし) | 約180万円 | 約250万円 | 83歳~84歳頃 |
夫婦世帯の方が、配偶者控除などにより単身世帯よりも手取り額は多くなりますが、損益分岐点は少し遅くなります。
額面上の損益分岐点(約82歳)よりも、手取りベースでは1年以上遅くなることがわかります。
この分岐点年齢を、ご自身の健康寿命や平均余命と照らし合わせて考えることが重要です。
あくまで簡易的なシミュレーションであり、お住まいの自治体や個人の所得控除によって金額は変動します。
医療費・介護費用も考慮した生涯収支
老後の生活設計を立てる際、年金の手取り額だけを見るのは危険です。
年齢とともに増加する医療費や、いつ必要になるかわからない介護費用も考慮に入れた「生涯収支」で判断する必要があります。
- 医療費負担増: 75歳になると後期高齢者医療制度に移行し、所得に応じて医療費の自己負担割合が1割または2割(一定以上の所得者は3割)になる
- 年金を繰り下げて所得が増えた結果、自己負担が1割から2割に上がり、医療費の支出が倍増するケースもある
- 介護費用の目安: 生命保険文化センターの調査によると、介護にかかる一時的な費用の平均は約74万円、月々の費用の平均は約8.3万円というデータもある
これらの将来的な支出増を踏まえると、たとえ年金の手取り額が増えても、生活が豊かになるとは限りません。
手元資金が少ない状態で繰り下げを選択し、急な出費に対応できなくなるリスクも考慮すべきです。
年金収入と将来の支出のバランスを総合的に見ることが大切です。
繰り下げ受給が向く人の特徴

十分な生活資金と健康に自信がある
繰り下げ受給の最大のメリットを享受できるのは、年金を受け取らない期間(65歳から70歳)も生活に困らないだけの貯蓄があり、かつ長生きに自信がある方です。
- 十分な生活資金の目安: 年金なしで最低5年間、余裕を持って生活できる資金
- 例えば、年間300万円で生活するなら1,500万円以上の金融資産が一つの基準になります
- 健康への自信: 平均寿命(男性約81歳、女性約87歳)を超えて生きることを現実的に見込める健康状態であること
- 損益分岐点を意識: 手取りベースでの損益分岐点である82歳〜84歳頃まで、健康に生きられる可能性が高いと判断できること
急な病気やケガによる大きな出費にも耐えられるだけの、予備資金を確保していることが望ましいです。
年金に頼らずとも、精神的に安定した生活を送れる経済的基盤が、繰り下げを選択する上での大前提となります。
加給年金の対象となる配偶者や子がいない
前述の通り、加給年金は繰り下げ受給を選択する際の大きな判断材料となります。
対象者がいない場合は、繰り下げによるデメリットが一つ減るため、選択しやすくなります。
- 加給年金の対象外となる方: 独身の方、配偶者が同い年か年上の方、配偶者が一定以上の収入(年収850万円以上など)を得ている方
- 子の要件: 18歳になった年度の3月31日を過ぎた子、または20歳未満で障害等級1級・2級の状態でなくなった子がいる場合も対象外
- 確認方法: 自身が加給年金の対象となるか不明な場合は、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認するか、年金事務所に問い合わせる
対象者がいない場合、加給年金の権利消失という大きなデメリットを気にする必要がありません。
そのため、純粋に自身の健康状態や資産状況だけで繰り下げの損得を判断しやすくなります。
長生きを前提とした長期資産形成を計画
「人生100年時代」を見据え、できるだけ長く安定した収入源を確保したいと考える方にとって、繰り下げ受給は有効な選択肢の一つです。
- 終身で受け取れる公的年金は、長生きリスクに最も有効な備えと言えます。
- 繰り下げによって増額された年金は、インフレ(物価上昇)にもある程度対応できる資産となります。
- 年金以外の収入源として、iDeCoやNISAなどを活用した資産運用や、不動産収入などを確保していると、より安心して繰り下げを選択できます。
平均寿命や健康寿命を超えて長生きすることを前提に、老後資金が枯渇しないよう、複数の収入の柱を作る計画の一部として繰り下げを位置づける考え方です。
このような長期的な視点で資産形成を捉えている方には、繰り下げ受給が非常にマッチします。
【繰り下げ受給セルフチェックリスト】
- □ 65歳から70歳まで、年金なしでも生活できる貯蓄(目安1,500万円以上)がある
- □ 加給年金の対象となる年下の配偶者や子はいない
- □ 平均寿命以上に長生きできる自信がある
- □ 年金以外にも、資産運用などによる収入源がある
- □ 将来の医療費や介護費の増加にも対応できる見込みがある
このうち3つ以上当てはまる方は、繰り下げ受給を前向きに検討しても良いかもしれません。
繰り上げ受給の利点欠点

繰り上げ受給の減額率と損益分岐点
繰り下げとは逆に、65歳より早く年金を受け取る「繰り上げ受給」という選択肢もあります。ただし、早く受け取る分、年金額は生涯にわたって減額されます。
- 繰り上げ受給は、最大で60歳まで前倒しでき、1ヶ月早めるごとに0.4%ずつ年金額が減額される
- 60歳0ヶ月から受け取ると、減額率は最大の24%になります。
- 一度繰り上げを選択すると、この減額率は生涯変わらず、取り消せない
- 65歳から受給する場合との損益分岐点は、一般的に77歳前後
つまり、77歳より長生きすると、結果的に65歳から受け取った方が総受給額は多くなります。
▼ 繰り上げ受給の減額率
| 受給開始年齢 | 減額率 |
|---|---|
| 60歳 | -24.0% |
| 61歳 | -19.2% |
| 62歳 | -14.4% |
| 63歳 | -9.6% |
| 64歳 | -4.8% |
繰り上げ受給を検討すべき具体的なケース
生涯の受給総額では損をする可能性が高い繰り上げ受給ですが、個々の事情によっては合理的な選択となる場合があります。
- 健康上の理由で早期リタイアを考えている方: 長く働くことが困難で、当面の生活資金が必要な場合に有効
- 若いうちにやりたいことがある方: 体力のあるうちに趣味や旅行などにお金を使い、人生を楽しみたいという価値観を持つ方
- 他に十分な収入や資産がある方: 減額された年金を、資産運用の元手として早期に活用したい場合
- 損益分岐点より長生きする自信がない方: ご自身の健康状態や家系を考慮し、早めに確実に受け取りたいと考える方
繰り上げは、単なる損得勘定だけでなく、ご自身のライフプランや価値観と照らし合わせて判断することが重要です。
最適な受給開始年齢を知るには

まず「ねんきんネット」で年金見込額を確認
自分にとって最適な受給開始年齢を考える第一歩は、将来いくら年金をもらえるのか、正確な金額を把握することです。
そのために最も便利なのが、日本年金機構が提供する「ねんきんネット」。
- 「ねんきんネット」に登録すると、いつでもご自身の年金記録を確認できる
- スマートフォンやパソコンから簡単にアクセスでき、将来の年金見込額を様々な条件でシミュレーションすることが可能
- 「65歳受給」「70歳受給」「60歳受給」など、受給開始年齢を変えた場合の年金額が具体的に表示される
この具体的な数字を見ることで、漠然としていた老後の生活設計が、よりリアルなものになります。
まずはこの見込額を基に、家族と話し合ったり、専門家に相談したりするための基礎情報としましょう。
家族構成や老後資金を書き出して整理
年金見込額を把握したら、次はご自身の状況を客観的に整理することが大切です。
頭の中だけで考えず、紙に書き出すことで、課題や希望が明確になります。
以下のワークシートを参考に、ご自身の情報を整理してみましょう。
【老後資金プランニング・ワークシート】
- 健康状態: 現在の健康状態(良好・普通・不安あり)、家族の平均寿命など
- 家族構成: 配偶者の年齢・収入の有無、扶養している子の有無・年齢
- 退職後の理想の生活費: 毎月いくら必要か(例:25万円)
- 現在の金融資産: 預貯金、株式、投資信託などの合計額
- 年金以外の収入: 退職金の見込み額、不動産収入、個人年金など
- 老後の希望: やりたいこと、叶えたい夢(旅行、趣味など)
これらの情報を一覧にすることで、自分にとって繰り下げが現実的なのか、それとも繰り上げや65歳受給が合っているのか、判断の軸が見えてきます。
FP相談で迷いを解消する

年金事務所では得られないFPの「損得」回答
年金に関する相談先としてまず思い浮かぶのは年金事務所ですが、実は「あなたにとってどの選択が一番得か」という問いには答えてくれません。
年金事務所は、あくまで制度を公平に説明する中立的な立場だからです。
一方で、お金の専門家であるファイナンシャルプランナー(FP)は、あなたの側に立って最適な選択を一緒に考えてくれます。
- 客観的な資金計画の立案:家族構成と資産状況を俯瞰し、年金を含めた老後キャッシュフローをシミュレーションするFPの役割
- 税金・社会保険制度の専門知識:年金増額による税金・社会保険料影響を具体計算し、手取り変化を明確化する専門性
- 個別状況に合わせた精密シミュレーション:加給年金の可否や在職老齢年金によるカット有無など、複雑制度を個別条件で判定する支援能力
「損をしたくない」というあなたの気持ちに寄り添い、客観的なデータに基づいた具体的なアドバイスを提供できるのがFPの強みです。
無料相談で確認すべきことと準備物
FPへの相談を最大限に活用するためには、事前の準備が重要です。
無料相談の機会を利用して、疑問や不安を解消しましょう。
【相談前に準備するものリスト】
- ねんきん定期便 または 「ねんきんネット」の試算結果
- 源泉徴収票など、現在の収入がわかるもの
- 預貯金や保険、ローン残高など、資産と負債がわかるもの
- (あれば)作成したライフプランやワークシート
【相談時に聞くべき質問リスト】
- 「我が家の場合、繰り下げ受給の損益分岐点は何歳になりますか?」
- 「70歳まで繰り下げた場合、手取り額は具体的にいくら増えますか?」
- 「加給年金や税金のことを考えると、65歳受給と70歳受給、どちらが有利でしょうか?」
- 「繰り下げ待機中に、急な出費が必要になった場合のリスク対策はありますか?」
これらの準備をして臨むことで、限られた相談時間を有効に使い、具体的で的確なアドバイスを得ることができます。
年金70歳支給 よくある質問

70歳から年金をもらうデメリットは?
70歳から年金をもらう「繰り下げ受給」には、増額というメリットの裏にいくつかのデメリットが存在します。
詳細をクリックで表示
- 手取り増加率の鈍化:税金・社会保険料負担増による、額面増額率(42%)ほど手取りが増えない構造
- 加給年金権利の喪失:年下配偶者がいる場合に生じ得る、年間約40万円の加給年金不支給リスク
- 損益分岐点前死亡リスク:82歳前後とされる損益分岐点到達前の死亡による、生涯受給総額の不利
- 遺族年金減額可能性:繰り下げ待機中死亡時における、増額前(65歳時点)年金額での遺族年金算定
- 住民税非課税世帯優遇の喪失:所得増による、医療費・保険料負担増など各種優遇消失リスク
年金は65歳と70歳ではどちらが得?
一概に「どちらが得」と断言することはできません。
なぜなら、最適な選択は個人の健康状態、家族構成、資産状況、そしてライフプランによって全く異なるからです。
詳細をクリックで表示
- 70歳受給が得になる可能性が高い人: 長生きに自信があり、十分な貯蓄がある方。加給年金の対象者がいない単身の方
- 65歳受給が得になる可能性が高い人: 年下の配偶者がいて加給年金を受け取れる方
- 健康に不安があり、損益分岐点まで生きる自信がない方。65歳からの生活資金に余裕がない方
まずは本記事で紹介した「手取り比較」や「損益分岐点」を参考に、ご自身の状況を当てはめて考えることが重要です。
年金を70歳まで繰り下げた場合の損益分岐点は?
年金を70歳まで繰り下げた場合、65歳から受給を開始した場合との生涯受給総額が逆転する「損益分岐点」は、一般的に81歳11ヶ月と言われています。
詳細をクリックで表示
- これはあくまで税金などを考慮しない「額面」ベースでの平均的な目安です。
- 実際には、所得税や住民税、社会保険料を差し引いた「手取り額」で計算すると、損益分岐点は82歳〜84歳頃と、さらに後ろにずれる傾向があります。
- また、この年齢はあくまで平均であり、個人の年金額や健康状態、平均余命によって変動します。
ご自身の健康状態や家系などを考慮し、この損益分岐点年齢を一つの判断材料としてください。
まとめ
この記事では、年金の70歳支給に潜む落とし穴と、あなたが「大損」しないための重要なポイントを解説してきました。
要点を振り返ると、
- 額面の42%増に惑わされず、「手取り額」で考える
- 加給年金や税金・社会保険料など、「見えない損失」を理解する
- 損益分岐点とご自身の健康寿命を天秤にかける
という点が、後悔しない選択をするための鍵となります。
「70歳受給=お得」という単純な考え方は非常に危険。あなたにとっての最適な受給開始年齢は、あなたの健康状態、大切な家族のこと、そしてこれまでの資産状況によって大きく変わります。唯一の正解はありません。
もし、ここまで読んでも「自分一人で決めるのは不安だ…」と感じるのであれば、それは当然のこと。そんな時は、お金のプロであるFPに相談してみてください。
年金事務所では教えてくれない、あなたの状況に合わせた客観的なシミュレーションと、「損得」を踏まえた具体的なアドバイスは、きっとあなたの迷いを解消し、安心して老後を迎えるための大きな助けとなるはずです。
まずは無料相談などを利用して、専門家の視点を取り入れることから始めてみませんか。あなたの人生にとって最良の選択ができることを、心から願っています。

