賃貸の入居時クリーニング代は拒否できる?法的根拠から交渉術まで解説
賃貸物件への入居時に「クリーニング代」として数万円を請求されて、戸惑ったことはありませんか?
国民生活センターには、賃貸住宅の原状回復に関する相談が年間1万3,000件以上寄せられています。契約書の内容をしっかり把握できず、言われるがまま払ってしまいそうだと不安に感じている方も多いのではないでしょうか。
結論から述べると、契約書に特約がなければ、入居時のクリーニング代を支払う義務はありません。特約があっても、金額が不明確だったり説明が不十分だったりする場合には、拒否できることもあります。
この記事では、クリーニング代を拒否できる5つのパターンから特約が無効になる条件、相場の確認方法、交渉のコツまで解説します。初めて賃貸物件を借りる方も、過去にトラブルを経験した方も、納得できる契約に向けて一緒に確認していきましょう。
賃貸の入居時クリーニング代は拒否できる?特約がなければ払わなくていい

賃貸契約時に「入居時のクリーニング代」を請求された場合、拒否できるかどうかは契約書の特約次第です。特約がなければ、原則として支払う義務はありません。
まずはクリーニング代の支払い義務について確認しておきましょう。
- 特約がなければ基本的に払わなくていい
- 特約があっても無効になることがある
- 2025年の法改正で借主が守られやすくなった
これらについて契約前に知っておけば、不要な出費を防げます。
特約がなければ基本的に払わなくていい
「請求されたからには、払わなければいけない」と考える必要はありません。賃貸契約書に「入居時のクリーニング代は借主負担」といった特約がなければ、基本的に支払う義務はありません。
国土交通省のガイドラインでは、通常の使用や経年変化による損耗の修繕費用は賃料に含まれるとしており、貸主が負担するのが原則です。
2020年4月施行の改正民法第621条でも、通常の使用による損耗や経年変化は借主の原状回復義務から除外されると明記されました。(参照:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン、e-Gov法令検索|民法第621条)
ただし契約書に明確な特約があり、その内容が有効であれば、借主負担となるケースもあります。「本当に払う義務があるのか」を契約前に確認しておくと、余計な出費を防げます。
特約があっても無効になることがある
契約書の特約条項に「入居時のクリーニング代は借主負担」と書かれていても、その特約自体が法的に無効とされるケースもあります。
消費者契約法には「借主が一方的に不利になる条項は無効とする」旨が定められています。特約に金額が明記されていない、クリーニングの範囲が不明瞭だったことを理由に、裁判で無効と判断された事例もあります。(参照:e-Gov法令検索|消費者契約法)
契約時に貸主から十分な説明がなく、借主が特約の内容を理解しないまま署名したケースも無効と見なされる可能性が高いようです。また、相場を大きく超える高額な請求も、合理性がないとして無効と判断されることがあります。
- 金額やクリーニング範囲が契約書に具体的に書かれていない
- 契約時に口頭・書面いずれでも説明を受けていない
- 相場の2倍以上など、明らかに高額すぎる
こうした特約は国土交通省のガイドラインに反しており、借主が一方的に不利になることから、無効を示す判断材料になる可能性があります。不明な点があれば、契約前に質問しておくと安心です。
2023年の法改正で不当な契約への対策が強化された
2023年6月施行の改正消費者契約法により、不動産業者による不当な勧誘や、消費者の利益を害する不当な条項から、借主がより守られやすくなりました。
改正で注目すべきは、事業者が「借主の知識・経験・年齢・心身の状態などを考慮し、必要な情報をわかりやすく説明する努力義務を負う」ことになった点です。
このため、クリーニングの金額や範囲が曖昧なまま契約を進めると、事業者側は「説明が不十分だった(努力義務を果たしていない)」と指摘されるリスクが高まります。
また、実際に説明が不十分だったり不当な勧誘があったりした場合に、借主が契約の「取消権」を行使できる類型も拡充されました。この改正によって、契約後に「十分な説明を受けていなかった」と感じた場合、借主はその旨を主張しやすくなったのです。
契約前に特約の内容を確認し、納得できない点があれば質問しておくと安心でしょう。
Yahoo!知恵袋では、契約時に提示された特約の内容や費用負担のタイミングについて、疑問や不安を感じている声が見られました。

入居時のハウスクリーニングの特約についてです。 敷金/礼金0円の物件ですが、物件備考欄にハウスクリーニング代65000円の記載がありました。 退去時のハウスクリーニング費用なら理解ができるのですが、なぜ入居前にこちらが支払うのでしょうか? こちらの特約について交渉が可能か教えていただきたいです。また、クリーニング費用は家賃1ヶ月分未満なので妥当な費用なんだとは思います。
引用:Yahoo!知恵袋
改正消費者契約法により事業者の説明義務は強化されましたが、特約の内容や費用の妥当性を個人で判断するのは難しいものです。
契約前に不安を解消し、安心して新生活を始めるためにも、専門家プロファイルで不動産トラブルに詳しい専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
クリーニング代を断れるパターン4つ

入居時のクリーニング代は、すべてのケースで支払い義務があるわけではありません。契約内容や請求の方法によっては、正当な理由に基づいて断れる場合があります。
拒否できるパターンには以下の4つがあります。
- 契約書にクリーニング代の記載がない
- 金額が相場より明らかに高い
- 何をどこまで掃除するか書かれていない
- 契約時にちゃんと説明を受けていない
自分の状況に当てはまるものがないか、確認してみましょう。
1. 契約書にクリーニング代の記載がない
契約書にクリーニング代に関する記載がまったくない場合、原則として借主に支払い義務は発生しません。賃貸契約では、特約がない限り、貸主が原状回復費用を負担するのが基本です。
ただし、口頭で説明を受けていたり、重要事項説明書に記載があったりするケースもあるため、契約前に以下の項目を確認しておくと安心です。
- 契約書本文だけでなく、最終ページや別紙に記載がないか
- 重要事項説明書にクリーニング特約の記載があるか
- 口頭での説明内容と契約書の内容が一致しているか
記載がないのに請求された場合は、契約書の内容を根拠に支払い義務がない旨を伝え、不動産業者や管理会社に相談してみてください。
2. 金額が相場より明らかに高い
入居時クリーニング代の相場は、ワンルームで2万〜4万円、1LDK〜2LDKで3万〜6万円、3LDK以上で6.5万〜10万円以上が目安です。
「なんとなく高い気がする」という直感は、意外と正しいことがあります。相場を大きく超える金額を請求された場合は、「相場より明らかに高い」という理由で交渉や拒否を行いましょう。
たとえば、ワンルームなのに10万円以上請求された場合、相場の2倍以上にあたるため、特約があっても「消費者の利益を一方的に害する」として、交渉の余地が生まれます。
高額かどうかを判断するには、以下の項目を確認してみてください。
- 同じ間取りの相場と比べて2倍以上になっていないか
- 作業内容や清掃箇所が明記されているか
- 他社の見積もりと比較して著しく高くないか
相場との乖離を具体的に示し、交渉の根拠としましょう。国土交通省のガイドラインでも、特約の「合理性」や費用の「妥当性」が重視されています。
3. 何をどこまで掃除するか書かれていない
「入居者負担でクリーニングする」と書かれていても、具体的に「どの範囲の負担なのか」が不明確な場合、その特約は無効とされる可能性があります。
過去の裁判例やガイドラインでは、必ずしも「掃除する場所や作業内容」を細かく契約書に書くことまでは求めていませんが、「借主が負担する範囲(通常損耗分を含むことなど)」が明確であり、その金額が妥当であることが、特約有効の条件とされているからです。
「クリーニング代一式」とあるだけで中身がわからないと、その金額が適正かどうかも判断できません。納得して契約するために、以下の点を確認してみましょう。
- 清掃の対象範囲(エアコン洗浄は含まれるか、など)
- 作業のグレード(専門業者の徹底洗浄か、簡易清掃か)
- 金額の根拠
契約前に「どこをどう掃除する費用ですか?」と具体的に質問し、負担内容をはっきりさせておくことが、あとからの高額請求を防ぐカギになります。
4. 契約時にちゃんと説明を受けていない
宅建業法により、不動産会社には契約前の重要事項説明義務があります。クリーニング代の特約についても、金額や清掃範囲を明確に説明し、借主の合意を得なければなりません。
契約時に十分な説明を受けていなかった場合、消費者契約法によって契約の取消や特約の無効を主張できる可能性があります。2023年の法改正で借主の年齢や知識に応じた説明義務を行う努力義務が明確化されたことからも、不明確な条項は無効とされやすくなっているといえるでしょう。
説明不足を理由に交渉する場合は、以下を確認してみてください。
- 重要事項説明時に口頭でも説明があったか
- 金額や清掃範囲について質問の機会があったか
- 説明を受けた記録や署名があるか
説明を受けた記憶がない場合は、その旨を管理会社に伝えて減額や免除を求めてみてください。
Yahoo!知恵袋では、賃貸物件を契約する際、提示された見積もりのクリーニング代が高すぎると感じ、支払う義務や交渉の余地について悩む声が見られました。

賃貸マンションのクリーニング代について 都内、2DK家賃9万の賃貸マンションに住む予定ですが見積もりを出してもらったところどこの不動産屋もクリーニング代7.9万と書いており、かなり高いと感じています。家賃の半額以下なら妥当だとお聞きしました。 ここまでの金額を借主が払う義務はあるのでしょうか。 まだ申込書は書いていません。 ハウスクリーニングの契約を無しにする、あるいは出来る限り値切ることは可能ですか?(クリーニング内容を聞いて、害虫駆除が含まれていればそれは自分でやるのでいいです。など) 宜しくお願いします。
引用:Yahoo!知恵袋
初期費用や退去時の費用負担は、多くの人が不安に感じるポイントです。納得のいかない支払いを避けるためにも、契約前の確認はもちろん、入居時の状況を記録に残して自衛することが大切です。
賃貸トラブルや費用交渉について専門家の意見を聞きたい場合は、専門家プロファイルで相談してみてはいかがでしょうか。
クリーニング特約が有効・無効になる条件

賃貸契約において、特約に基づいてクリーニング代を請求された場合、その特約が本当に有効なのか判断に迷うこともあるでしょう。
特約には法的に認められる条件があり、条件を満たさなければ無効になる可能性があります。
ここでは、特約の有効性を判断する3つの基準を説明します。
- 有効になるには国のガイドラインの3条件を満たしている必要がある
- 借主にとって一方的に不利な特約は無効になる
- 原状回復とクリーニング代の違い
特約の有効・無効の条件を正しく理解し、不当な請求から身を守る材料にしてください。
有効になるには国のガイドラインの3条件を満たしている必要がある
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では、クリーニング特約が法的に有効となるためには以下3つの条件を満たす必要があるとしています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 客観的・合理的な理由があること | 特約に必要性があり、暴利的でなく、借主に負担を求める合理的な理由が存在すること |
| 借主が十分に認識していること | 通常の原状回復義務を超える負担を負うことについて書面や口頭で明確に説明を受け、理解していること |
| 借主が自由意思で合意していること | 契約時に義務負担について明確に意思表示し、自由な意思で同意していること |
ガイドラインでは「原状回復は、賃借人が借りた当時の状態に戻すものではない」ことが明確にされており「賃借人の居住、使用により発生した建物価値の減少のうち、賃借人の故意・過失、善管注意義務違反、その他通常の使用を超えるような使用による損耗・毀損を復旧すること」と定義されています。
これらの要件は個別に判断されるため、契約書に記載があるだけで直ちに有効と認められるわけではありません。重要事項の説明や確認の記録も求められます。
借主にとって一方的に不利な特約は無効になる
賃貸契約であっても、借主にとって一方的に不利な特約は消費者契約法10条によって無効になる場合があります。無効と判断されやすいのは、以下のような特約です。
- 通常損耗の原状回復を借主負担とする特約で金額が高額すぎるもの
- クリーニング費用の具体的な記載がなく借主が負担額を認識できないもの
- 清掃範囲が不明確でどこまで負担するかわからないもの
東京地方裁判所では、金額や範囲の記載がない特約を無効とした事例(平成21年1月16日判決)がある一方、金額が明示され説明もなされていた特約は有効とした事例(平成21年9月18日判決)もあります。負担内容が明確で合理的かどうかが分かれ目です。(参照:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン Q&A)
消費者庁は、無効かどうかの判断基準について以下のように記載しています。
消費者契約法の趣旨、目的に照らし、当該条項の性質、契約が成立するに至った経緯、消費者と事業者との間に存する情報の質及び量並びに交渉力の格差その他諸般の事情を総合考量して判断されるべき
契約書の文言だけでなく、説明が不十分だった、内容をよく理解しないまま契約したといった事情も考慮されます。
心当たりがあれば、交渉の余地は十分あるでしょう。
原状回復とクリーニング代の違い
原状回復義務とクリーニング代は「部屋をきれいにする」という点で似ていますが、負担のルールが異なります。
| 項目 | 原状回復義務 | クリーニング代 |
|---|---|---|
| 定義 | 借主の故意・過失で生じた損耗を元に戻す義務 | 入居前の清掃費用として請求されるもの |
| 負担者 | 通常損耗・経年変化は貸主負担 | 特約がなければ貸主負担が原則 |
普通に暮らしていてできる汚れや劣化は、本来は貸主が負担すべきものです。
クリーニング代を借主負担にするには特約が必要で、金額や範囲が明示されていなければ無効になる可能性があります。
請求された費用が「原状回復」なのか「クリーニング代」なのか、契約書のどこに根拠があるのかを確認しておきましょう。
Yahoo!知恵袋では、契約書にクリーニング代の負担義務は書かれていても、具体的な費用が記載されていないため、高額請求や特約の有効性について不安を感じている声が見られました。

賃貸の契約書の特約に「入居期間問わず退去時に室内クリーニングをします。その費用は全額あなたが負担します」 という内容が書いてありますが 費用について一切かかれていません。
費用がかかれてなくても 仮に高い請求されても黙るしかないのでしょうか ネットには費用の詳細が書いてないと無効と書いてありますが 特約に書かれてる場合も無効なのでしょうか
引用:Yahoo!知恵袋
特約の内容が不明瞭だと、退去時にトラブルにならないか心配になるものです。
ご自身の契約内容や特約の有効性について詳しく知りたい場合は、専門家プロファイルで専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
入居時クリーニング代の相場と適正な金額

入居時のクリーニング代として請求される金額が妥当かどうか、判断に迷う方も多いでしょう。
そこで、相場と適正な金額についてまとめました。
- 間取り別の相場は1.5万〜7万円程度
- 掃除する場所はキッチン・浴室・トイレなど水回りが中心
- エアコンや特殊な掃除は別料金
- 見積書や明細で確認すべき内訳
相場を知っておけば、交渉の根拠になります。
間取り別の相場は1.5万〜7万円程度
入居時のクリーニング代は、間取りによって相場が異なります。以下はハウスクリーニング業者の料金を参考にした目安です。
| 間取り | 相場 |
|---|---|
| ワンルーム・1K | 1.5万円〜2.5万円 |
| 1DK・2K | 2万円〜3.5万円 |
| 1LDK・2DK | 2万円〜4万円 |
| 2LDK・3DK | 3万円〜5.5万円 |
| 3LDK以上 | 3.5万円〜7万円 |
都市部ではやや高めの傾向があり、物件の築年数や汚れの程度によっても変動します。あくまで参考として把握しておきましょう。
提示された金額がこの範囲を大きく超えている場合は、内訳の説明を求めたり交渉を検討したりしてみてください。
掃除する場所はキッチン・浴室・トイレなど水回りが中心
入居時クリーニングの作業範囲は、プロの技術が必要な水回りが中心です。
キッチンではシンクの水垢除去や換気扇の油汚れ落とし、浴室では浴槽や壁・床のカビ取り、トイレでは便器や床の除菌清掃、洗面所では洗面台の水垢落としなどが標準的な範囲に含まれます。
また、基本プラン内で床のワックスがけや窓・サッシの清掃、建具の拭き掃除まで含まれるのが一般的です。
| 標準的な範囲 | キッチン・浴室などの水回り、および床・窓などの室内全般 |
| 範囲外 | 経年劣化の修繕、通常使用を超える汚れ(タバコのヤニなど) |
見積書に作業内容が明記されていない(「一式」としか書かれていない)場合は、どこまでが範囲かわからないため、あらかじめ確認しておきましょう。
エアコンや特殊な掃除は別料金
エアコンや特殊な箇所の清掃は別料金になるケースがほとんどです。
| 項目 | 相場 |
|---|---|
| エアコン(壁掛けタイプ) | 約8,000〜15,000円 |
| エアコン(お掃除機能付き) | 約13,000〜25,000円 |
窓サッシの雨染みやベランダの高圧洗浄、カビの根殺菌処理といった特殊清掃も追加料金となる場合が多く見られます。
追加料金は契約書や見積書には明記されていないこともあるため、契約前に「何が標準で、何が追加料金か」を確認しておくと安心です。
作業内容と金額を事前に書面で示してもらえば、想定外の追加請求を防げますよ。
見積書や明細で確認すべき内訳
クリーニング代の見積書や請求書を受け取ったら「一式」といった曖昧な表記ではなく、項目ごとに詳細な内訳が記載されているかを確認しましょう。
- 作業内容(キッチン清掃・浴室清掃・床のワックスがけなど)
- 各項目の単価と作業範囲
- 施工業者名と連絡先
- オプション作業の有無と追加料金
内訳が不明瞭だったり相場より高額に感じたりする場合は「この項目はどの範囲を指していますか?」「なぜこの金額になるのか、根拠を教えてください」と質問してみてください。
Yahoo!知恵袋では、ハウスクリーニングを依頼したものの、具体的な作業範囲や金額が相場に対して妥当なのかわからず不安を感じている、といった声が見られました。

賃貸 ハウスクリーニングについて
入居前にハウスクリーニングを行うのですが、 どこをどの程度掃除するのか全くわかりません。
10日後に入居する予定があるのですが、今から 不動産屋に問い合わせたら、利用した業者さんや掃除の詳細を見せてくれるのでしょうか。金額は1LDKで15000円かかりましたが相場的には妥当なのでしょうか?
引用:Yahoo!知恵袋
見積書や請求書に詳細が記載されていないと、どこまで清掃してもらえるのか不安になるのは無理もありません。
見積もりの内訳確認や適正価格について専門家の意見を聞きたい場合は、専門家プロファイルで気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
クリーニング代を安くする・なくすための交渉のコツ

クリーニング代を減額してもらう、あるいは支払いを免除してもらうには、交渉のタイミングと方法を知っておくことが欠かせません。
ここでは交渉を有利に進めるためのコツをまとめました。
- 契約前の交渉が応じてもらいやすい
- 部屋の汚れや傷は写真で残しておく
- 相場との差や法的な根拠を見せて交渉する
- 管理会社との交渉でやってはいけないこと
交渉前に確認しておきましょう。
契約前の交渉が応じてもらいやすい
「交渉なんてしていいのだろうか」と遠慮する必要はありません。契約前であれば、不動産会社や大家さんには「早く成約したい」という心理が働くため、こちらの要望に耳を傾けてもらいやすいタイミングです。
一方で、一度契約書にサインしてしまうと「内容に合意した」と見なされるため、あとから条件を変えるのは困難です。
契約前に以下の点を確認し、疑問があればその場で交渉しましょう。
- クリーニング代の項目が契約書に記載されているか
- 金額が明記されているか、相場と比べて妥当か
- 作業範囲や内容が具体的に説明されているか
特に狙い目なのは、不動産会社が大家を兼ねている「自社管理物件」です。大家さんに確認をとる手間がなく、会社の判断で柔軟な対応ができるため、交渉の余地が生まれやすくなります。
交渉の際は、単に「安くして」と言うのではなく、比較材料を出すのが効果的です。
「この間取りの相場は〇万円ほどかと思いますが、この金額は少し高めではないでしょうか? 減額、または特約の見直しは可能ですか?」
このように、相場や他物件の条件と比較して冷静に相談してみましょう。 ダメ元でも聞いてみる価値は十分にあります。
礼金など他の初期費用の交渉についても知りたい方は、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてお読みください。

部屋の汚れや傷は写真で残しておく
入居前の部屋の状態を記録しておけば、退去時の原状回復トラブルだけでなく、入居時クリーニング代の不当請求を防ぐ材料にもなります。
国民生活センターも推奨しているように、鍵の引き渡し直後や家具搬入前に撮影しておくとよいでしょう。
- 壁のシミや床の傷、建具の不具合など、気になる箇所は全体と拡大の両方を撮影する
- 日付設定をオンにして、いつ撮影したかを証明できるようにする
- 傷の位置がわかるよう、壁の角や床の目印を一緒に写し込む
- カビや水染みは明るい照明下で微細な部分まで記録する
撮影した写真は、入居後すぐにメールなどで不動産会社に送付し「入居前からあった傷・汚れ」として共有しておくと安心です。
「クリーニングが不十分」と感じた場合にも、客観的な証拠として交渉材料にできます。
相場との差や国土交通省ガイドラインを参考に交渉する
貸主との交渉を有利に進めるには、客観的な数字と法的な裏付けを示すことが大切です。
請求額が相場を大きく超えている場合は「一般的な相場と比べて高額ではないでしょうか?」と具体的な金額を示して交渉しましょう。
国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を根拠にする方法も有効です。
このガイドラインでは、通常使用による損耗は原則として貸主負担であり、借主負担とするには有効な特約が必要だと明記されています。
「国のガイドラインでは特約の有効性に条件があると聞きましたが、この特約は適正でしょうか?」と投げかけると、貸主側も慎重に対応せざるを得なくなります。
感情的にならず、冷静に事実を示す姿勢が交渉成功につながるでしょう。
不動産会社との交渉術については、以下の記事でも詳しく解説しているので、参考にしてください。

管理会社との交渉でやってはいけないこと
交渉を有利に進めるにあたっては、相手と冷静に話し合える関係を保つことが前提です。
「法外だ」「詐欺じゃないか」といった感情的な言葉を投げかけると、担当者も身構えてしまい「それでは契約は結べません」と話し合い自体が打ち切られかねません。
請求額がどんなに高くても、冷静に相場や根拠を示し、疑問を投げかける姿勢を貫きましょう。
一方的に要求を押し通そうとするのではなく、以下のような「相手が検討しやすい材料」を提示するのも、交渉をスムーズにするコツです。
- 根拠のある相場データ(他社の見積もり等)を見せて相談する
- 「自分でプロの清掃業者を手配しても良いか」と聞く
- クリーニング代が無理なら、他の初期費用(礼金など)で調整できないか打診する
「双方が納得できる着地点」を探す姿勢を見せることで、門前払いを防ぎ、建設的な話し合いができる可能性が高まります。
Yahoo!知恵袋では、退去時のクリーニング代が相場より高いのではないか、自分で掃除して費用を抑えられないか、といった悩みが見られました。

賃貸アパート退去時クリーニング代の相場について 4月から東京でアパートを借りることになりましたが、賃貸借契約書の特記事項に、「退去時のクリーニング代は借主の負担」となっています。具体的な内容・金額の記載は一切ありませんが、業者に問い合わせると部屋のクリーニング、エアコンのクリーニング代を合わせて5万円程度とのこと。広さは15㎡ですがこの5万円は常識的な数字でしょうか? 部屋、エアコンのいずれも自然損耗の結果なのでそもそも借主が負担することに非常に違和感があります。またクリーニング業者の借主側での選択権は無く、貸主指定とのこと。5万円もかかるなら敷金がほとんど戻ってこないので自分でクリーニングしたいぐらいです。
引用:Yahoo!知恵袋
退去費用の交渉では、感情的にならず冷静に相場や根拠を示すことが重要です。
交渉を有利に進めるためのアドバイスが欲しい場合は、専門家プロファイルで気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
入居後に掃除の不備が見つかったときの対処法

入居後に部屋の汚れや掃除の不備を見つけた場合も、正しく対処すれば不当な負担を避けられます。
掃除の不備が見つかった場合の対処法をまとめました。
- 汚れを見つけたらすぐに写真で記録
- 専門の相談窓口や弁護士に相談
- 二重に請求されたときの対応
証拠を残して冷静に対処しましょう。
汚れを見つけたらすぐに写真で記録
入居直後に汚れや掃除の不備を発見したら、すぐに証拠として記録しておくと安心です。写真は日付入りで撮影し、汚れの全体像と詳細の両方を押さえておきます。
複数の角度から撮ることで、あとから「元からあった汚れ」だと証明しやすくなります。水回りの汚れ、カビ、排水口の詰まりなどは重点的に記録してください。
記録した証拠をもとに、入居後24時間以内、遅くとも3日以内に管理会社に連絡しておくと安心です。
メールには物件情報・契約日・不備のリスト・撮影した写真を添付し、清掃のやり直しや費用返還を明確に求めましょう。
管理会社の対応が不十分なら、消費生活センター(188)に相談することも一つの手です。専門の相談員が状況を聞き取り、解決策や交渉方法をアドバイスしてくれますよ。
専門の相談窓口や弁護士に相談
管理会社との話し合いで解決しない場合は、公的な相談窓口に連絡してみてください。主な相談窓口は以下のとおりです。
| 相談先 | 連絡先 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 消費者生活センター | 消費者ホットライン 188 | 平日10:00〜16:00(土日祝は国民生活センターにつながります) |
| 不動産適正取引推進機構 | ナビダイヤル 0570-021-030 | 平日10:00〜16:00 |
賃貸住宅の原状回復や清掃代請求に関する事例も多数公開されているため参考になります。
相談時には、契約書・写真・やり取りの記録を手元に用意しておくとスムーズです。紛争が長期化する場合は、弁護士への相談も視野に入れてみてください。
二重に請求されたときの対応
入居時と退去時の両方でクリーニング代を請求された場合、管理会社の確認漏れや、不当な二重請求の可能性があります。
クリーニング特約は、一般的に「入居時(前払い)」か「退去時(後払い)」のいずれか一方で設定されることが多いものです。
もし、同じ原状回復作業に対して2回請求されているなら、支払う合理的な理由がありません。
二重請求に気づいたら、以下の手順で確認・対応してみましょう。
- 契約書と支払い明細を確認し、すでに支払った証拠を準備する
- 管理会社に対して支払い済みであることを明確に伝え、2回目も支払っている場合は返還を求める
- 交渉がうまくいかない場合は、国民生活センターに相談する
- 解決しない場合は、簡易裁判所に民事調停を申し立てる
入居時の支払い明細は保管しておき、退去時の請求内容と照らし合わせられるようにしておきましょう。
Yahoo!知恵袋では、入居時にクリーニング代を支払ったにもかかわらず、退去時にも再度請求されて疑問を感じている、といった声が見られました。

賃貸アパートで入居時にルームクリーニング代を請求されて支払い済みなのに退去時にもルームクリーニング代を請求されるのはおかしくないですか? 消費者生活センターに明細持って相談するべきですよね?
引用:Yahoo!知恵袋
不当な二重請求の可能性があるトラブルに一人で対応するのは不安が大きいものです。
契約書を確認しても解決しない場合や、管理会社との交渉に不安がある場合は、専門家プロファイルで不動産トラブルに詳しい専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
賃貸クリーニング代の拒否に関するよくある質問

賃貸クリーニング代に関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
支払い義務があるかは、契約書の特約次第です。
国土交通省のガイドラインでは、通常使用による汚れを清掃する費用は貸主負担とされています。
ただし「入居時のクリーニング代は借主負担」という特約が明記されていれば、借主に支払い義務が生じます。
「請求されたから払うもの」と考えず、契約前に特約の内容を確認しておきましょう。
退去時のクリーニング代は借主が住んでいた期間に生じた汚れを原状回復する費用です。入居時のクリーニング代は前入居者の退去後の清掃費用で、本来は貸主負担とされています。
両方請求された場合は二重請求であり、不当な請求にあたる可能性が高いようです。契約時にどのタイミングで誰が負担するのかを確認しておくと安心です。
クリーニング特約が有効かどうかは、以下の3つの項目で判断できます。
- 金額が具体的に明示されているか
- 掃除する範囲や内容が明確か
- 契約時に口頭で説明を受けたか
金額が書かれていない、範囲が曖昧、説明がなかった場合は、無効になる可能性があります。
一般の相場と比べて明らかに高すぎる価格設定も、消費者契約法によって無効と判断されることがあります。
「せっかく気に入った物件なのに」という気持ちはよくわかります。
ただし、納得できない条件のまま契約を進めてしまうと、入居後にトラブルが生じた際、不利な立場に立たされる可能性もあるでしょう。
特約の内容が不明確な場合や金額が相場より明らかに高い場合、契約を見送って別の物件を探すのも一つの方法です。
物件は他にも見つかりますが、契約後の内容変更は難しいため、慎重に判断してください。
疑問があれば専門機関に相談することも検討しましょう。
クリーニング代が借主負担とされるのは、賃貸契約における「特約」という仕組みによるものです。
国土交通省のガイドラインでは、通常の使用による損耗に対する清掃費用は貸主負担とされています。
ただし、契約自由の原則により、契約書に明記してあり、双方が合意していれば借主負担とする特約も有効と認められています。とはいえ、特約があるからといって、すべてが正当とは限りません。
まとめ
この記事では、賃貸の入居時クリーニング代を拒否できるケースや交渉のコツについて解説しました。契約書に特約がなければ支払い義務はなく、特約があっても金額や範囲が不明瞭な場合は無効になる可能性があります。
契約前には、金額と清掃範囲が明記されているか、相場と比べて妥当か、十分な説明を受けたかを確認しておくと安心です。条件に納得できないようであれば、契約を見送ることも一つの方法です。
賃貸契約に関する疑問やトラブルは、幅広い分野の専門家による無料Q&Aが充実した専門家プロファイルで相談しましょう。あなたの状況に合わせたアドバイスを得られます。
気になることがあれば、ぜひ質問してみてください。

