賃貸フローリングの傷はどこまで許される?退去時の負担基準と費用相場を解説
賃貸物件からの退去時に、フローリングの傷がどこまで許されるのか不安に感じていませんか?
「この傷の分は敷金から引かれるのか」「修繕費用を請求されたらどうしよう」と、退去日が近づくにつれて気持ちが落ち着かなくなってくる方も多いでしょう。敷金が戻ってこないかもしれないと思うと、不安になるのは当然です。
実は、すべての傷の修繕が借主負担になるわけではありません。国土交通省のガイドラインでは、通常損耗と過失による傷の代表例が示されています。
この記事では、賃貸のフローリングの傷に関する負担区分の原則から、修繕費用の相場、入居中にできる傷対策、不当な請求を受けた場合の対処法まで紹介します。
正しい知識を身につけ、退去時の不安を解消しましょう。
賃貸のフローリングの傷はどこまでが自己負担?

賃貸物件のフローリングに傷がついた場合、退去時に誰が費用を負担するかは原因によって異なります。原則として、通常の生活で生じる劣化は貸主負担ですが、故意や過失によって生じた傷は借主負担です。
ここでは、通常損耗と借主負担の線引き、国土交通省のガイドラインが示す判断基準、契約書の特約が負担範囲に与える影響について説明します。
- 通常損耗は貸主負担が原則
- 故意・過失による傷は借主負担
- 特約がある場合の注意点
基準を把握しておくと、退去時のトラブルを未然に防げます。
通常損耗は貸主負担が原則
日常生活を送る中で避けられない劣化や損耗を「通常損耗」と定義し、原則として貸主が費用を負担すべきとしています。
「フローリングの傷を見るたびに、退去時の費用を心配してしまう」方も、安心してください。賃貸物件のフローリングに生じた傷や汚れへの対応は、すべてが借主の負担になるわけではありません。
国土交通省のガイドラインでは、日常生活を送る中で避けられない劣化や損耗を「通常損耗」と定義し、原則として貸主が費用を負担すべきとしています。
令和2年4月施行の民法改正によって、通常損耗・経年変化は原状回復義務の対象外と明文化されました。(参照:e-Gov法令検索|民法第621条)
通常損耗に該当する例は以下のとおりです。
- 日光による畳やフローリングの自然な変色
- 家具を設置した箇所にできる軽微なへこみや圧痕
- 日常の歩行で生じる小さな擦り傷
これらは経年劣化と見なされるため、退去時に修繕費用を請求されません。
故意・過失による傷は借主負担
故意や過失によってついてしまった傷は、借主が修繕費用を負担します。「普通に暮らしていただけなのに」と思う傷も実は過失と判断されるケースがあるため、どこで線引きされるのかを把握しておきましょう。
国土交通省のガイドラインには「故意・過失や通常使用を超える損耗は借主の責任」と明記されており、通常の注意を払っていれば防げた傷は原状回復の対象です。以下のような傷は借主負担となります。
- 引越作業中に家具を引きずってできた引っ掻き傷
- 家具の脚に保護材を使わずにつけた深い傷
- 重い物を落として生じた凹みや欠け
部分補修で済む傷の場合、経過年数による減額が適用されず、借主が全額負担となる可能性がある点に注意してください。
国交省ガイドラインが示す判断基準
国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、退去時トラブルを防ぐための判断指針として広く参照されています。平成10年に策定され、平成16年に改訂されたあと、平成23年に再改訂されました。(参照:国土交通省|原状回復をめぐるトラブルとガイドライン)
このガイドラインでは、フローリングの傷について通常損耗と借主負担となる傷を明確に区分しており、具体的な事例の写真も公開されています。
ガイドラインは法的拘束力を持たない指針ですが、管理会社や裁判に対して実務判断の基準として影響を与えています。退去時の交渉では、ガイドラインを根拠に主張するとスムーズでしょう。
特約がある場合の注意点
契約書に「通常損耗も借主負担」といった特約が記載されている場合でも、無条件にその内容が認められるわけではありません。
本来、貸主が負担すべき「通常損耗」を借主の負担とする特約は、借主にとって非常に不利な条件です。そのため、法的には有効性が厳しく判断されます。
平成17年12月16日の最高裁判決(敷金返還請求事件)では、通常損耗を借主負担とする特約が有効となるには、一定の要件を満たす必要があると示されました。(参照:裁判所|敷金返還請求事件)
- 賃貸借契約書に負担する損耗の範囲や金額(または計算方法)が具体的かつ明確に記載されていること
- 貸主が口頭などで説明し借主がその内容を明確に認識して合意していること
単に「原状回復費用は入居者負担」といった抽象的な記載だけでは、借主が義務を十分に認識していたとはいえず、消費者契約法などに照らして無効と判断される可能性が高くなります。
契約書に不利な条項があっても、直ちに諦める必要はありません。法的に有効な要件を満たしていない特約であれば、ガイドラインに沿った負担割合にするよう交渉できる余地があります。
以下の記事で不動産会社との交渉術を解説しているので、賃貸契約時の費用交渉について詳しく知りたい方は、併せてお読みください。

Yahoo!知恵袋では、生活によって生じた床の汚れや跡が、退去時に自己負担となるのか不安だという声が見られました。

賃貸の退去費用について質問です。新築から4.5年住んでます。フローリングにセミダブルのローベッドを置いていたのですが、カビ?置き後?がついていました。退去時の費用について自己負担なるのか気になり投稿しました。
引用:Yahoo!知恵袋
通常損耗か借主負担かの判断は難しく、契約書の特約によっても変わってくるため、高額な請求が来ないか不安に感じるものです。
ご自身の契約内容や特約が適正か確認したい場合は、専門家プロファイルで専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
退去時に借主負担になる傷の具体例

退去時に借主負担となる傷の中には、日常生活でうっかりつけてしまうものが多くあります。
代表的な傷の種類は以下のとおりです。
- 家具を引きずった傷
- ペットがつけた傷や汚れ
- 飲み物をこぼした変色やシミ
- キャスター付き椅子の凹み
- 物を落としてできた傷
これらの傷が借主負担と見なされる理由を理解しておくと、退去時の費用負担を正しく判断できます。
家具を引きずった傷
家具を引きずって動かすと、フローリングに擦り傷や線状の傷が残ります。重い家具を無理に移動させた場合、深い凹みや塗装の剥がれにつながることも珍しくありません。
これらは「防ごうと思えば防げた過失」と見なされ、借主負担となる代表例です。タンスやベッドなどの重い家具を動かす際は、持ち上げて移動させるか下にダンボールや毛布を敷いて滑らせましょう。
ペットがつけた傷や汚れ
犬や猫の爪による引っ掻き傷や尿による変色・シミは、借主の管理不足、いわゆる「善管注意義務違反」と見なされやすい損傷です。ペットと暮らしている方にとって、退去時の費用負担は気がかりな問題です。
尿を数時間放置しただけでも塗装や木材が傷み、腐食やカビが発生するリスクがあります。たとえペット可物件であっても、こうした「善管注意義務に違反する過失」や「通常の使用を超える損耗」は免除されません。
日頃から爪のケアとこまめな清掃を心掛けましょう。
飲み物をこぼした変色やシミ
コーヒーやジュース、アルコールをこぼすと、フローリングに染み込んでシミや変色を引き起こします。「すぐに拭いたから大丈夫」と思っても、液体が木材の隙間に入り込んでいると、1〜2週間後に輪ジミや色ムラとして浮き出てくることがあります。
数十分程度であっても、放置すると塗装や木材が劣化し、腐食の原因にもなりかねません。液体によるシミは借主の過失とみなされ、修繕費用の負担を求められるケースが多いため、飲み物をこぼしたらすぐに拭き取りましょう。
キャスター付き椅子の凹み
キャスター付き椅子は、動かすたびに線状の擦り傷や凹みをフローリングに残すリスクがあります。
在宅ワークなどで1日8時間以上同じ場所に椅子を置いている場合などは、体重と椅子の重さによる荷重がキャスターの接地面に集中し、フローリングに凹みが発生する可能性もあります。
- ボールキャスターなどの荷重が集中しやすいタイプの椅子を使っている
- キャスターに砂や異物が付着したままで椅子を動かしている
リストに該当する傷は「通常の使用を超える損耗」と判断されやすく、借主負担になりがちです。チェアマットを敷くなどの予防策を取っておくとよいでしょう。
物を落としてできた傷
リモコンやフライパン、子どもの積み木など硬い物を落とすと、フローリングに打痕や凹み、ひび割れが生じる可能性があります。
わざとでなかったとしても、物を落としてできた傷は借主の過失による損耗として、原状回復の負担対象である旨が国交省ガイドラインに明記されています。
借主の管理下で発生した傷である以上、故意でなくても責任を問われるのです。納得しにくいかもしれませんが、小さな傷でも早めに対処しておくと、退去時の費用を抑えられるでしょう。
専門家プロファイルでは、不動産コンサルタントの大槻 圭将さんが、退去時のフローリング原状回復に関する質問に回答しています。
【質問(要約)】

ペット可物件からの退去にあたり、猫の爪痕によるフローリングの全面張り替え費用16万円を請求されました。傷は光の加減で見える程度の薄いもので、補修で十分対応可能だと感じています。張り替えは必須なのか、管理会社と交渉すべきか悩んでいます。
【回答】

一般的な原状回復義務での「通常の使用」には「ペット飼育」が含まれないケースがほとんどですので不利ではありますが、それでも実際のところ、表面の剥離とコーティングで修復可能と思われるものは、交渉の余地があると思います。
物を落としてついた傷やペットによる傷など、フローリングの原状回復費用や修復範囲について疑問がある場合は、専門家プロファイルでプロに相談してみてはいかがでしょうか。
退去時に貸主負担になる傷の具体例

通常の使用で避けられない劣化や入居前から存在した傷は、原則として貸主が負担すべきものです。
貸主負担となる代表的なケースは以下のとおりです。
- 日焼けによる変色
- 家具設置による床のへこみ
- 経年劣化によるひび割れ
- 入居前からあった傷
これらの傷を指摘されても慌てる必要はありません。正当に主張すれば、余計な費用を支払わずに済みます。
日焼けによる変色
日焼けによる変色は、紫外線が塗膜や木材の色素を退色させたことによる自然な変化であり、国交省ガイドラインでは「経年劣化・通常損耗」と見なされ貸主負担とされています。
窓際のフローリングが日に焼けて白っぽくなったり、家具の跡がくっきり残ったりしていても心配する必要はありません。
カーテンを閉め忘れた程度では借主の過失にはなりません。
ただし、飲み物をこぼして放置した水濡れ跡や薬剤・洗剤による変色は借主負担となります。
家具設置による床のへこみ
ベッドやタンス、ソファーといった重い家具を同じ場所に数年間置いていると、脚の跡がフローリングにうっすら残ることがあります。
国交省ガイドラインではこれを「通常の生活で生じる床のへこみ」として経年劣化・通常損耗に分類し、原則として貸主負担です。
ただし、家具を引きずって深い傷をつけた場合や過度に重い物を無理に置いて明らかな破損を生じさせた場合は、故意・過失として借主負担になる可能性があります。
経年劣化によるひび割れ
築10年以上経過した建物では、乾燥や温度変化によってフローリング材が収縮し、ひび割れが発生することもあります。ただし、ひび割れは「物を落とした際の衝撃」などでも生じるため、必ずしも経年劣化(貸主負担)として認められるわけではありません。
国交省ガイドラインでは、日焼けや色あせといった軽微な損耗は貸主負担とされていますが、ひび割れについては「原因が自然発生か、過失か」によって判断が分かれます。
建物の構造や老朽化が原因であれば貸主負担ですが、過失(不注意)によるものとみなされれば借主負担となります。
身に覚えがない場合は、自然発生したものであることを説明できるようにしておきましょう。
入居前からあった傷
入居前からあった傷は、借主の原状回復義務の対象外です。「入居時にすでにあった傷なのに、なぜ自分が払わないといけないのか」という不満を感じなくて済むよう、入居時に確実に記録を残しておくことが大切です。
退去時に「これは元からあった」と主張しても、証拠がなければ認められにくいのが実情です。こうした状況を避けるため、入居時に現況確認書やチェックリストで傷を記録し、不動産会社に提出しておきましょう。チェックリストがない場合は、自分でメモと写真を残し、管理会社に連絡します。
退去時に指摘された傷が入居前からのものだと思われる場合は、落ち着いて「入居前からある可能性がある」と伝え、入居時に証拠を提出済みであることを指摘しましょう。
Yahoo!知恵袋では、家具を置いていたことによる床の凹みが、退去時に借主の負担になるのかどうか不安に思う声が見られました。

柔らかめのフローリング賃貸に住んでいるのですが、住んで1年もしてませんが、ベッドや椅子の置いてる場所(クッションシールは貼ってます)が凹んでいます。退去する時、これは貸主負担ですか?借主負担ですか?
引用:Yahoo!知恵袋
退去時の原状回復トラブルを避けるためには、入居時の状態を記録しておくことや負担のルールを正しく理解しておくことが大切です。
もし退去時の請求に不安がある場合は、専門家プロファイルで専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
フローリング修繕費用の相場と計算方法

フローリングの修繕費用は、傷の範囲や工法によって大きく異なります。退去前に相場を把握しておくと、見積もりが適正かどうか判断しやすくなります。
ここでは以下の内容を紹介します。
- 部分補修は1万円から3万円|広範囲だと3万円から6万円
- 全面張り替えは6畳で10万円前後
- 耐用年数による減額ルール
- 見積もり時に確認すべきこと
費用の相場を理解して、退去時の交渉に備えましょう。
部分補修は1万円から3万円|広範囲だと3万円から6万円
部分補修は、小さな傷やへこみをパテ埋めや染色、コーティングなどで修正する方法です。補修内容により以下のように費用が異なります。
| 補修内容 | 費用目安 |
|---|---|
| 線キズ(2cm以下) | 1か所あたり6,000〜1万2,000円程度 |
| 小さな傷やへこみ | 6,000〜1万5,000円程度 |
| 大きめの傷 | 1万〜3万円前後 |
| 複数箇所(3〜5か所) | 1万〜1万5,000円 |
| 複数箇所(10〜15か所) | 2万5,000〜3万円 |
| 20か所以上 | 3万5,000〜4万円前後 |
| 傷の範囲が広い場合 | 全体で6万円程度 |
部分補修は全面張り替えに比べて費用を抑えられますが、故意・過失による傷の場合は耐用年数による減額が適用されず、全額借主負担になる点に注意してください。
全面張り替えは6畳で10万〜18万円程度
全面張り替えが必要になるのは、広範囲の深い傷や変色がある場合や反りなどの部分補修では対応できない損傷がある場合です。
6畳の部屋で全面張り替える場合、費用の相場は10万〜18万円程度が相場です。
この金額には既存フローリングの剥がし作業と廃材処分費、下地の調整や補修費用、新しいフローリング材の材料費と施工費がすべて含まれています。
ただし、この金額はあくまで「リフォーム工事の総額」です。退去時の費用負担においては、入居年数に応じた「減価償却」が考慮されるため、借主がこの金額を全額負担するとは限りません。
一方で、無垢フローリングなどの高級材を選ぶと15万〜20万円以上に跳ね上がることもあります。
フローリング張り替えの工法や費用を詳しく知りたい方は、以下の記事で相場や安く抑える方法を解説しているので、併せてお読みください。

耐用年数による減額ルール
修繕費用は、入居年数に応じて減額される仕組みです。国土交通省のガイドラインでは、フローリングを全面張り替えする場合に限り「建物の耐用年数」を考慮して負担額を算定するとされています。
| 建物構造 | 耐用年数 |
|---|---|
| 木造 | 22年 |
| 鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造 | 47年 |
たとえば、新築の木造賃貸物件に10年住んで退去する場合、借主の故意・過失が原因でフローリングを全面張り替えることになっても、残りの耐用年数である12年分の費用を支払えばよいという計算になります。
12/22×100%=約55%
このように、長く住むほど経年劣化分が考慮され、負担割合は減少していきます。
ただし「部分補修」にはこの減額ルールが適用されないケースが多い点には注意が必要です。
小さなキズの補修(リペア)など、全面張り替えを伴わない工事については、経過年数は考慮されず修繕にかかる費用(作業費や材料費)の実費を求められることが一般的です。
「長く住んだからすべての傷が安くなる」とは限らないことを覚えておきましょう。
見積もり時に確認すべきこと
見積書でチェックすべきは、修繕箇所の特定と傷の種類が記載されているかどうかです。
「フローリング修繕一式」のような曖昧な表現では、何にいくらかかっているのかが判断できません。
| 確認項目 | 具体例 |
|---|---|
| 修繕箇所 | 洋室6畳北側窓際など、具体的な場所 |
| 傷の種類と大きさ | 引きずり傷15cm、へこみ直径3cmなど |
| 工法 | 部分補修または張り替え |
| 単価・数量・合計金額 | 各項目の内訳が明記されているか |
複数の業者から相見積もりを取ることで、適正価格と不要な工事を見抜けますよ。
専門家プロファイルでは、不動産コンサルタントである大槻 圭将さんが、入居13年目のアパート退去時における原状回復費用の疑問について回答しています。
【質問(要約)】

入居13年目の賃貸アパートを退去する際、貸主側で全面リフォームを行う場合でも、原状回復費用は敷金から差し引かれてしまうのでしょうか。長期間入居しているため敷金返還は諦めるべきか、それとも貸主に交渉すべきかについて相談しています。
【回答】

正社員の主婦様
”13年住んだから敷金が戻らない”は、逆です^^ 実は、(理論的には)長く住めば住むほど敷金は多く戻ってきます。 なぜかというと、”減価償却”があるからです。 クロスなんかも6年で償却されておりますので、全額負担でも10%の負担で済みます。 貸主が大手賃貸会社であれば、その辺の考えもしっかり根付いていると思われます。 ただ、借主の故意過失や通常の使用に反する使用方法で「壊しちゃった」ところは、原状回復義務があります。 また仮にフルリフォームするとしても、最初の契約で原状回復の費用を負担すると書いてあれば、”リフォームするなら原状回復費を支払わないという権利”があるかと言えば難しいと思います。 貸主がフローリングに変更するかどうかは貸主の自由なので、「まずは畳の分を」と言われれば、それまで、という感じがあります。
結論は・・・・ 1.まず、「フルリフォームされるなら畳の現状回復の費用は負担しなくてよいですよね」とジャブを入れてみてください。その際、「全部タダに」だと門前払いされる可能性があるので、明らかに仕様変更すると思われる部分(畳など)に限定してお話してみてください。 2.退室立会いの時に”減価償却の概念を知っている”と言うことを伝えてください。 あとは、お部屋の状態や管理会社のやり方によってケースバイケースです。 また不明な点があればご質問ください。
引用:専門家プロファイル|退去時の敷金について(賃貸アパート)
原状回復費用の見積もりが提示された際、その内容が適正かどうか判断に迷うことも少なくありません。
特に長期間入居していた場合や退去後のリフォームが予定されている場合は、専門家のアドバイスを参考にしながら交渉することで、費用負担を適正に抑えられる可能性がありますよ。
入居中にできるフローリングの傷対策

退去時の費用負担を減らすには、日頃から傷をつけない工夫が欠かせません。今からでも遅くないため、できることから始めてみましょう。
ここでは以下の対策を紹介します。
- 入居時に写真で現状を記録する
- 家具の脚に保護カバーをつける
- フロアマットやカーペットを敷く
- 小さな傷は補修グッズで目立たなくする
どれも手軽に始められるため、今日からぜひ試してみてください。
入居時に写真で現状を記録する
入居したらすぐに、フローリングの状態をくまなく撮影しておきましょう。退去時に「この傷は入居前からあった」と証明できる有力な手段が入居時の写真です。このひと手間をかけておくと、数万円の負担を回避できる可能性が高まります。
ポイントは、位置を特定するための引きの写真と傷に寄った詳細写真の両方を記録することです。傷の横にメジャーや15cm程度のボールペンを置いて撮影すると、大きさを客観的に証明できます。撮影した写真は、クラウドストレージに日付入りで保存しておきましょう。
賃貸物件を選ぶ際の注意点やチェックポイントについては、以下の記事で詳しく解説しているので、併せてお読みください。

家具の脚に保護カバーをつける
家具の脚は床に直接触れるため、傷の原因になりやすいといえます。脚の形状に合った保護カバーをつけるのがおすすめです。
| 素材 | 特徴 |
|---|---|
| フェルト製 | 吸音性が高く、床への圧力を分散。厚さ3mm以上が長持ちする |
| ゴム製 | 滑り止め効果と弾力性に優れ、重い家具のズレ防止に適している |
| シリコン製 | 柔軟で脚にフィットし、透明タイプなら目立たない |
接着式フェルトパッドなら100円ショップでも手に入ります。定期的に摩耗状態をチェックし、すり減ったら交換しましょう。
フロアマットやカーペットを敷く
フローリング全体を傷から守るなら、マットやカーペットを敷くのがおすすめです。
| 場所 | おすすめのマット |
|---|---|
| リビング | タイルカーペットなら部分交換ができ、汚れても安心 |
| キッチン | クッションフロアは耐水性が高く、汚れをサッと拭き取れる |
| デスク下 | チェアマットを敷けば、キャスター付き椅子による凹みを防止できる |
マットがズレると逆に床を傷つける原因になるため、滑り止め加工は必須です。
小さな傷は補修グッズで目立たなくする
小さな傷を見つけたら、補修グッズで早めにケアしておきましょう。
| 補修グッズ | 適した傷の種類と使い方 |
|---|---|
| 補修ペン | 浅い線傷に最適。床の色に合わせて塗るだけで周囲になじませられる |
| クレヨンタイプ | 傷に直角にすり込んで埋め、余分をヘラで取って布で拭けば完了 |
| ハードスティック | やや深い傷に適している。溶かして流し込むことで本格的な補修ができる |
ただし5mm以上の深い凹みや手のひらサイズを超える広範囲の傷は、DIYだと悪化してしまうリスクがあるため、管理会社に相談しましょう。
フローリングの傷や汚れを根本的に防ぎたい方は、フロアコーティングも選択肢の一つです。以下の記事で詳しく解説しているので、併せてお読みください。

Yahoo!知恵袋では、賃貸住宅のフローリングに家具の跡や傷をつけてしまい、退去時の費用請求を心配する声が見られました。

賃貸フローリングに椅子の跡がついていました。今からクリアシートなどして対策はしますが退去時に請求されるレベルですか?ご存知の方いらっしゃいましたらよろしくお願いいたします。
引用:Yahoo!知恵袋
生活していればフローリングに傷がついてしまうことはありますが、退去時にどれくらいの費用がかかるのか、あるいは自分で補修して良いのか不安になるものです。
傷の程度や修復について悩んだ際は、専門家プロファイルで住まいのプロに相談してみてはいかがでしょうか。
敷金精算でトラブルを避ける方法

敷金精算の場面では、原状回復費用の負担をめぐってトラブルが生じやすいものです。「納得できないけれど、どう交渉すればいいかわからない」方も多いでしょう。
国民生活センターには、賃貸住宅の原状回復に関する相談が年間1万3,000件以上寄せられています。(参照:国民生活センター|賃貸住宅の原状回復トラブル)
トラブルを防ぐ方法は以下のとおりです。
- 退去立会いで傷の確認を徹底する
- 不当請求には書面で根拠を求める
- 敷金が戻らない場合の対処手順を知る
- 国民生活センター・消費生活センターへ相談する
正しい対処法を知っておくと、不当な請求にも冷静に対応できます。
退去立会いで傷の確認を徹底する
退去立会いは、フローリングの傷や汚れの状態を双方が確認し、修繕費用の負担範囲を決める場面です。
ここでの確認が不十分だと、あとから思わぬ請求を受ける可能性があります。
入居時に撮影した写真と見比べながら、床の状態を細かく確認しましょう。気になる傷や変色があれば、その場で貸主や管理会社に質問して負担区分をはっきりさせてください。
- 傷の写真を複数の角度から撮影し、日付入りで記録する
- 経年劣化か過失かの判断根拠を、ガイドラインに照らして説明してもらう
- 納得できない箇所はメモを残し、後日書面で回答を求める
不当請求には書面で根拠を求める
精算書の内容に納得できない場合には、感情的にならず落ち着いて対処しましょう。
「おかしい」と感じたまま支払う必要はありません。書面で根拠の提示を求めると、交渉を進めやすくなります。
- 「○○の修繕費について、国交省ガイドラインに基づく負担区分の根拠を文書で提示してください」と依頼する
- 見積書の内訳・施工範囲・単価の算出方法を明示してもらう
- 提示された根拠が不十分なら、自治体の消費生活センターに相談する
口頭ではなく書面でのやり取りを残しておくと、後々のトラブル防止につながります。
近隣や管理会社とのトラブル全般についての対処法を知りたい方は、以下の記事で解決策を詳しく解説しているので、参考にしてください。

敷金が戻らない場合の対処手順を知る
交渉が決裂して敷金が適正に返還されない場合でも、諦めずに段階的に対処しましょう。まずは内容証明郵便で返還請求し、貸主に請求したという正式な記録を残してください。
それでも解決しない場合は、簡易裁判所での民事調停という方法もあります。調停は相手の住所地の簡易裁判所に申立書を提出することで実施できます。
手数料は請求額が10万円なら500円程度と低額です。おおむね3ヵ月以内に解決します。
敷金返還額が60万円以下なら、1回の審理で判決が出る少額訴訟も活用可能です。(参照:裁判所|民事調停、裁判所|少額訴訟)
国民生活センター・消費生活センターへ相談する
貸主との交渉がうまくいかない場合は、一人で抱え込まずに専門窓口を頼りましょう。
消費者ホットライン188番に電話すると、郵便番号を入力するだけで最寄りの消費生活センターにつながります。相談は無料です。(参照:消費者庁|消費者ホットライン)
相談する際は、賃貸借契約書や重要事項説明書、敷金精算書、見積書、貸主とのやり取り記録(メールや書面)、フローリングの傷を撮影した日付入り写真を準備しておくとスムーズです。
自治体が運営する消費生活センターの休業日(年末年始)には国が運営する国民生活センターにつながります。
専門家プロファイルでは、不動産鑑定士の田中恵利子さんが、退去時に立会いがなく高額な原状回復費用を請求されたケースについて回答しています。
【質問(要約)】

法人契約で3年間居住した築10年のマンションを退去しました。退去時の立会いが行われず、リフォーム工事後に50万円もの原状回復費用を請求されています。入居前からあった傷や経年劣化と思われる部分も含まれていますが、支払う義務はあるのでしょうか。
【回答】

横浜の不動産鑑定士の田中恵利子と申します。
法人借り上げということですが、所在地、家賃や部屋の広さ、契約関係がわからないですが、50万円という金額はけっこう高額かと思います。
通常の使用で生じた傷など基本的には負担する必要はありません。ただし、借主の過失(室内での喫煙、故意に壁紙を剥がしたとか)で傷をつけたりした場合にが支払う必要が出てきます。
退去時にはできれば、業者と借りているご本人が立ち会うべきでしたね。 立ち会いでは、予め退去時に指摘されそうな箇所の写真をとっておくとか、傷によっては自分たちが傷をつけていないといった弁明をする機会になるのです。
業者に原状回復費工事の明細を提出させてください。 最近、家賃収入が値上げできない業者が原状回復費を高く請求するケースが横行しています。
関係のない修繕費用を要求された場合には断固として払わない姿勢を取った方がよいかと思います。ますは詳細をみて不動産業者と交渉してみてください。
最近、賃借人の意識も高まってきてて、自ら簡易裁判所で「原状回復費、敷金返還訴訟」を起こされる方増えています。 払う必要のない工事費用はきっぱりと拒否しましょう。
今回の事例のように、立会いがなかったことでトラブルに発展するケースは少なくありません。
貸主との交渉が難航する場合は、国民生活センター等の公的な相談窓口や「専門家プロファイル」のような専門家への相談を検討してください。
賃貸フローリングの傷に関するよくある質問

賃貸物件のフローリングの傷に関するよくある質問に回答します。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
契約書の特約に「経年劣化も借主負担」と書かれていても、その特約が必ず有効とは限らないため「契約書にサインしてしまったから」と諦めないでください。
消費者契約法第10条では、消費者の利益を一方的に害する条項は無効とされており、通常損耗を借主負担とする特約もこれに該当する場合があります。(参照:e-Gov法令検索|消費者契約法)
特約が有効かどうかは個別の事情で判断が分かれるため、請求内容に疑問があれば消費生活センターや弁護士に相談してみてください。
立会いで指摘されなかった傷でも、後日「借主の過失」と判断されれば請求される可能性があります。ただし、追加請求できるのは故意・過失による損傷のみで、経年劣化や通常損耗は請求できません。
入居時と退去時に全室を写真・動画で記録し、立会い時に傷を一緒に確認して記録を残しておくと、後日請求されても反論できます。
敷金ゼロ物件では、初期費用が抑えられる分、退去時の修繕費用を直接請求されます。負担の基準自体は通常の物件と同じで、経年劣化は貸主負担、過失による損傷は借主負担です。
ただし、契約書に「原状回復特約」が設けられている場合、通常より広い範囲に対して借主負担を求められるケースもあるため、契約書の特約内容を事前に確認しておきましょう。
火災保険で床の傷を補償できるかは、契約内容と傷の原因によって異なります。賃貸住宅向け火災保険は「家財保険」「借家人賠償責任保険」「個人賠償責任保険」の3点セットが一般的です。
補償されるのは「不測かつ突発的な事故」による損傷のみで、家具を引きずってできた擦り傷や日常的な摩耗は対象外です。(参照:URくらしのカレッジ|賃貸住宅の火災保険)
自分で直すこと自体は可能ですが、賃貸では事前に貸主や管理会社に確認しましょう。無断で補修すると、かえって原状回復義務が発生したり退去時に全額負担を求められたりする可能性があります。
契約書を確認し、修繕の可否や指定業者の有無を管理会社に問い合わせてから判断しましょう。
まとめ
この記事では、賃貸フローリングの傷がどこまで許されるのか、退去時の負担基準と費用相場について解説しました。故意・過失による傷は借主負担、経年劣化や通常損耗は貸主負担というのが原則です。
過失によって全面張り替えることになったとしても、残りの耐用年数に応じて減額されます。とはいえ、入居時の写真記録や日頃の傷対策で、退去時のトラブルを未然に防ぐのがベターでしょう。不当な請求を受けた場合は、国交省ガイドラインを根拠に書面で回答を得ましょう。
退去費用の負担やフローリングの傷に関する悩みがある場合、幅広い分野の専門家が回答する無料Q&Aが充実している専門家プロファイルを活用することで、あなたの状況に合わせたアドバイスを得られます。
気になることがあれば、ぜひ質問してみてください。

