【2025年版】パワハラの精神的苦痛が理由の退職届は?正しい書き方・例文とテンプレート

上司からのパワハラで「もう精神的に限界だ」と感じていませんか。
退職届にパワハラが理由だと書くべきか、会社都合で辞められるのか、悩んでいる方も多いはず。
実は、退職届に詳しい理由を書く必要はありません。「一身上の都合」と記載するだけで十分です。
ただし、会社都合退職を勝ち取るには、別の戦略が必要になります。
この記事では、パワハラによる精神的苦痛で退職を決意した方に向けて、法的に自分を守りながら確実に退職する方法を紹介します。
ぜひ最後までご覧ください。
パワハラによる精神的苦痛で退職する際の基礎知識

退職を決意したものの、自分の決断が本当に正しいのか不安に感じていませんか。
パワハラによる精神的苦痛での退職は、決して珍しいことでも、特別なことでもありません。
ここでは、退職に関連する基本的な知識を確認していきましょう。
- 【2024年統計】精神的苦痛を理由に退職する人の割合
- 退職届と退職願の違い
- 自己都合と会社都合の判断基準
基本を理解すれば、あなたの決断が正当な権利であることが確認できます。
【2024年統計】精神的苦痛を理由に退職する人の割合
精神的苦痛を理由に退職する人は、年々増えています。
厚生労働省の令和6年度の統計によれば、職場の「いじめ・嫌がらせ」に関する労働相談は約5万5千件。労働トラブルの相談件数のトップで、13年連続最多となっています。
参考:「令和6年度個別労働紛争解決制度の施行状況」を公表します|厚生労働省
また、パーソル総合研究所の調査では、メンタル不調を経験した正社員のうち、20代では約4割が退職を選んでいます。
参考:若手従業員のメンタルヘルス不調についての定量調査調査結果株式会社パーソル総合研究所 シンクタンク本部
退職代行サービスの利用も増えています。株式会社マイナビが実施した調査によると、利用者の約18.6%が20代というデータもあります。

あなただけが特別に弱いわけではありません。多くの人が同じように悩み、自分を守るために退職という選択をしています。
退職は、あなた自身を守るための正当な権利です。 その権利を適切に行使し、スムーズに次のステップへ進むために、まずは退職の意思を正式に伝える方法を知っておきましょう。
退職届と退職願の違い
実際に退職を決意したとき、まず知っておくべきなのが「退職届」と「退職願」の違いです。
| 書類の種類 | 意味合い | 適したケース |
|---|---|---|
| 退職願 | 「退職させてください」というお願い・相談 会社の承諾が必要 | 円満退職を目指し、退職時期や条件について相談したい場合 |
| 退職届 | 「〇月〇日に退職します」という正式な届出 会社の承諾不要 | 確実に退職を決めて、正式に退職を届け出る場合 |
確実に辞めたいときは「退職届」を提出してください。
「退職願」だと、会社側が承諾せず退職交渉が長引く恐れがあります。民法第627条では、労働者に「退職の自由」が認められているからです。
雇用期間の定めのない雇用契約なら、退職届を提出してから2週間を経過すれば、会社の承認がなくても法律上、雇用契約は終了します。
専門家プロファイルでは、転職の専門家である転職コンサルタントの西田 正晴さんが、以下のような退職トラブルに関する質問に回答しています。
【質問(要約)】

6月に退職を伝えて承諾を得たものの「後任が決まるまで」と退職日を確定してくれません。家庭の事情で9月には退職したいのですが、訴訟リスクや嫌がらせを考えると強硬手段は避けたいです。どうすれば穏便に退職できるでしょうか。
【回答】

(前略)
就業規則の「退職日の2ヶ月以上前に届け出」の規定そのものが労働基準監督署が認めない内容だと推測しますので、退職日前1ヶ月の事前通告が優先されるはずです。厚生労働省管轄下の「総合労働相談コーナー」(勤務先企業が所在する都道府県)にご相談ください。面談でも電話でも相談可能です。役所に相談していることで事業責任者(経営者)へのプレッシャーとなります。
(中略)
以上の対応をしたら、8月末の退職日を最後に出社しないでください。すべては役所である「総合労働相談コーナー」と相談してから対応すると退職日までに通報しておけばよいです。退職時に企業が退職者に渡す書類を出さない時も「総合労働相談コーナー」の担当者にご相談ください。その事業責任者(経営者)そのようなことはしないと私は推測します。
(後略)
今回は、退職の意思を伝えたものの、スムーズに退職日を確定できないケースをご紹介しました。退職届や退職願に関する法的な知識があっても、実際に会社と交渉する際には様々な問題が起こりえます。
ご自身の状況に合わせて具体的なアドバイスが欲しい場合は、専門家プロファイルで相談してみることをおすすめします。
自己都合と会社都合の判断基準
自己都合と会社都合の違いは、失業保険の受給に大きく影響します。
パワハラによる退職が「会社都合」として認められると、失業保険の給付制限期間(原則1ヶ月)がなくなります。7日間の待機期間後すぐに手当を受け取ることができます。
給付日数も自己都合より長くなることが多く、経済的な負担を軽くできます。
ただし注意が必要です。退職届にパワハラが原因だと書いても、自動的に会社都合にはなりません。
会社側は、ほとんどのケースで「自己都合」として処理しようする傾向があります。
「会社都合」を認めてもらうには、退職届の書き方とは別の準備が欠かせません。暴言の録音、侮辱的なメール、医師の診断書といった客観的な証拠を集めてください。
退職後に会社から離職票が届いたら、証拠を持ってハローワークへ行きます。そして「実態はパワハラによる退職なので、会社都合として認定してほしい」と異議申し立てを行ってください。
精神的苦痛による退職届の書き方とテンプレート

退職届に何を書けばいいのか、どう書けば法的に有効なのか、迷っていませんか。
退職届の書き方は、あなたが「会社都合退職」を目指すかどうかで大きく変わります。まずは正しい書き方を知ることが大切です。
ここでは、具体的な書き方と例文を確認していきましょう。
- 退職届の基本フォーマットと必須項目
- 「一身上の都合」で済ませる書き方と例文
- 体調不良・うつ病を理由にする場合の例文
- パワハラを明記する場合の書き方と注意点
法的に有効な退職届を作成すれば、確実に退職することができます。
退職届の基本フォーマットと必須項目
退職届の書式はシンプルです。以下の6つの項目を記入してください。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 表題 | 「退職届」と記載 |
| 提出日 | 会社に提出する日付(郵送の場合は投函日)を記載 |
| 宛名 | 会社の最高責任者(通常は代表取締役社長)の氏名を記載 |
| 本文 | 退職の意思と退職予定日を明記 |
| 所属・氏名 | 自身の所属部署名と氏名を記載 |
| 押印 | 氏名の横に認印を押す(シャチハタは不可) |
用紙は白い便箋やコピー用紙で、筆記具は黒のボールペンを使用します。書き終えたら白い封筒に入れ、表に「退職届」、裏に自身の「所属・氏名」を書いて提出してください。

「一身上の都合」で済ませる書き方と例文
円満退職を優先し、会社都合退職を特に目指さない場合は「一身上の都合により」と記載する方法があります。
この書き方は、退職手続きをスムーズに進めたい場合に適しています。ただし注意点があります。
退職届に「一身上の都合」と記載すると、原則として自己都合退職として処理されます。 会社都合退職を目指す場合は、次の見出し「パワハラを明記する場合」を参考にしてください。
【テンプレート:縦書きの場合】
| 退職届 私儀 このたび、一身上の都合により、誠に勝手ながら2025年〇月〇日をもって退職いたします。 2025年〇月〇日 (あなたの所属部署名) (あなたの氏名) 印 (会社名) 代表取締役社長 (社長の氏名)殿 |
退職日は、提出日から2週間後以降の日付を指定してください。
体調不良・うつ病を理由にする場合の例文
パワハラが原因でメンタル不調(うつ病や適応障害など)の診断を受けている場合、「体調不良」や「療養」という言葉を使う方法もあります。
プライバシー保護の観点から、具体的な病名を記載する必要はありません。
【例文1:体調不良を理由にする場合】
| このたび、体調不良により業務の継続が困難なため、2025年〇月〇日をもって退職いたします。 |
【例文2:療養を理由にする場合】
| このたび、療養に専念するため、誠に勝手ながら2025年〇月〇日をもって退職いたします。 |
医師の診断書は、ハローワークで会社都合認定を主張するための証拠として、必ずコピーを手元に保管してください。
退職届と一緒に提出する必要はありません。
パワハラを明記する場合の書き方と注意点
会社都合退職を目指す場合は、退職届にパワハラが理由であることを明記してください。

「一身上の都合」と書くと自己都合扱いになるため、会社都合退職を主張したいなら、退職理由を具体的に記載する必要があります。ただし、書き方には注意が必要です。
【推奨される書き方】
| このたび、職場環境におけるハラスメント行為により就業の継続が困難となったため、2025年〇月〇日をもって退職いたします。 |
| このたび、上司からのパワーハラスメントにより精神的苦痛を受け、業務の継続が不可能となったため、2025年〇月〇日をもって退職いたします。 |
ただし、感情的な表現や個人名を挙げた非難は避け、事実を冷静に記載してください。
退職届に書いてはいけないことは?
感情的な表現や、特定の個人への過度な非難は避けてください。
| NG表現 | 推奨される表現 |
|---|---|
| 「〇〇部長は人間のクズです」 | 「上司からのパワーハラスメントにより」 |
| 「精神的に病んでしまいました」 | 「精神的苦痛を受け」 |
| 「会社の対応は最悪でした」 | 「職場におけるハラスメント行為により」 |
事実を冷静に、簡潔に記載するのがポイントです。
会社都合退職として認められるための方法

パワハラが原因で辞めるなら、経済的な負担を軽くするためにも会社都合退職を目指すべきです。
しかし、退職届に「パワハラ」と書くだけでは不十分です。
ここでは、会社都合を勝ち取るための具体的なステップを確認していきましょう。
- まずは社内の相談窓口(ハラスメント窓口・人事部)を活用
- パワハラの証拠を効果的に集める手順
- 医師の診断書の取得方法と活用法
- 会社都合退職認定の最新判例と判断基準
- 「会社都合退職」の認定はハローワークへ
- 弁護士の無料相談を活用する
戦略的なプロセスを踏めば、会社都合退職として認められる可能性が高まります。
まずは社内の相談窓口(ハラスメント窓口・人事部)を活用
社内のハラスメント窓口や人事部に相談した記録を残しましょう。
相談は必ずメールなど形に残る方法で行ってください。口頭で相談した場合も、直後に要点をまとめたメールを送り記録化します。
「〇月〇日に人事にメールで相談したが、改善されなかった」という事実は、会社がパワハラを認識していた証拠になります。
パワハラの証拠を効果的に集める手順
客観的な証拠を揃えることが最も大切です。
証拠がなければ、ハローワークも会社都合とは認定できません。集めるべき証拠は、主に以下の3点です。
| 証拠の種類 | 説明 |
|---|---|
| 音声記録 | 上司の暴言や脅迫的な発言を、スマートフォンのICレコーダー機能などで録音。自分が当事者である会話の録音は、相手の許可がなくても法的に有効な証拠となる |
| メール・チャット履歴 | パワハラ的な指示や侮辱的な内容が書かれた業務メール、チャットの履歴を保存。スクリーンショットや印刷をして、個人のデバイスに保管 |
| 医師の診断書 | 精神的苦痛を客観的に証明する証拠 |
いつ何をされたかを時系列で詳細に記した日記やメモ、同僚の証言なども補強材料になります。
医師の診断書の取得方法と活用法
心身に不調を感じたら、すぐに心療内科や精神科を受診してください。
医師には症状だけでなく、「仕事で上司からどのようなことを言われているか」を具体的に伝えます。診断書を発行してもらう際は、「職場のハラスメントによるストレスが原因」など、業務との因果関係を記載してもらってください。
医師の見解はハローワークでの判断に大きく影響します。診断書は退職交渉や会社都合認定、労災申請など、さまざまな場面で使える武器です。
専門家プロファイルでは、行政書士の松本仁孝さんが、ハラスメントが原因で退職した際の失業手当に関する、以下のような具体的な質問に回答しています。
【質問(要約)】

職場のモラハラが原因でうつ病と診断され、退職しました。自己都合退職として処理されましたが、医師の診断書はあります。失業手当を申請する際、ハローワークに事実を話すべきでしょうか。また、話した内容が元の職場に伝わらないか心配です。
【回答】

(前略)
医師の診断書がありますので、 体調不良であったにもかかわらず、 勤務させられていたことなどを考慮すれば、 正当な理由による自己都合退職の判断基準に該当して、 特定理由離職者となる可能性があるように考えています。
あくまでも、ハローワークが、 最終的に該当するかを判断することになりますが、 正直に話せる心身の状態だと感じられるのであれば、 話されてもいいように思えます。
国民健康保険の被保険者ということですので、 こくほからは傷病手当金の支給はないとお考えください。
正当な理由がない自己都合退職の場合には、 3か月の給付制限期間があります。 給付制限のない特定理由離職者として、 求職の申込みや受給期間の延長申請の手続きをされて、 しっかりと、心と体の状態を整えられたほうがいいと思っています。
ハローワークに体調不良による退職であるとお話になられた場合には、 特段、勤務先にそのお話が伝わることはないと思います。 自己都合退職から会社都合退職になるのであれば、話は別になりますが、 自己都合退職に変わりはありませんし、正当な理由の有無の判断ですので、 ハローワークが勤務先に伝える必要がないと考えているからです。
ただ、1日あたりの勤務時間や、 失業等給付に係る算出の基礎となる給与額が、 書き換えられていることをお話になれば、 ハローワークが事情を聴取するために、 勤務先に連絡するものと考えております。
心身の疾病状況にもよりますし、 どの程度の書き換えがあったのかはわかりませんが、 勤務先に連絡されるのが嫌だとお感じならば、 医師の診断書を見せて、補足説明をされていきながら、 心身の疾病による自己都合退職であることのみを話されて、 給付制限期間のない特定理由離職者になることを、 優先されてもいいように思っております。
体を大切にされて、無理をせず、 心身が良好な状態になることを優先する。 そのようなスタンスで、総合的に、 考えてみられてもいいと思っております。
少しでも、お役に立てていれば、幸いです。
このように、医師の診断書は退職後の失業手当の申請手続きにおいても重要な役割を果たします。 しかし、個々の状況によって最適な対応は異なります。もし同じような悩みや、退職に関する手続きで不安なことがあれば、専門家プロファイルで専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
会社都合退職認定の最新判例と判断基準
パワハラによる会社都合退職が認められる基準を、代表的な判例事例をもとに整理しました。
| 判断基準 | 説明 |
|---|---|
| 継続性 | パワハラが一度だけでなく、長期間かつ継続的に行われていること |
| 客観性 | 被害者の主張だけでなく、録音やメール、同僚の証言など客観的な証拠が存在すること |
| 因果関係 | パワハラが原因で精神疾患の診断や退職につながっていること(医師の診断書などが有効) |
| 重大性 | 指導の範囲を超え、人格否定や侮辱的な言動など悪質であること |
参考:労働判例・命令年間総索引
精神的に辛い状況で証拠を集めるのは困難を伴いますが、あなた自身を守り、失業給付などで不利にならないためにも、録音データやメール、医師の診断書といった証拠を冷静に確保することが重要です。
「会社都合退職」の認定はハローワークへ
パワハラによる会社都合退職を目指す際、「まず労働基準監督署(労基署)へ相談すべき」と考えるかもしれません。
しかし「会社都合退職」の認定手続きと、それに伴う失業給付の相談を行う場所は、労基署ではなくハローワーク(公共職業安定所)です。
労基署の主な役割は、長時間労働や残業代未払いといった「労働基準法違反」を調査・指導することです。残念ながら、パワハラそのものを取り締まる直接の権限はなく、労基署が「パワハラの事実がある」と公式に認定することもありません。
もちろん、労基署への相談記録は、ハローワークで異議申し立てをする際の「補助的な材料」にはなり得ます。
ですが、あなたの目的が「会社都合退職」の認定を受けることであるなら、相談先はハローワークです。録音、メール、診断書などの客観的な証拠を揃え、ハローワークで「異議申し立て」を行いましょう。
弁護士の無料相談を活用する
会社が退職をなかなか認めてくれない場合や、集めた証拠で慰謝料請求まで可能なのか知りたい時など、会社との交渉が難しくなりそうであれば、専門家を頼るのが賢明です。
法テラス(日本司法支援センター)は、こうした状況での選択肢の一つです。 収入などの条件を満たせば、一つの問題につき3回まで無料で弁護士に相談できます。
例えば、集めた証拠(録音・メール)で会社都合退職が法的に認められるか、パワハラによる精神的苦痛として慰謝料を請求できるか、未払いの残業代も合わせて請求したい、といった具体的な疑問を弁護士に直接ぶつけることができます。
こうした疑問を専門家に確認することで、あなたの要求が法的にどれだけ通用するのか、明確な見通しが立ちます。一人で抱え込まず、専門家のアドバイスを得ることも検討しましょう。
円満退職を実現するための実践ステップ

退職の意思を固めたものの、具体的に何から始めればいいのかわからず不安に感じていませんか。
パワハラが原因であっても、手続き自体は冷静かつスムーズに進めることが、あなたの負担を最小限にします。まずは、退職日を迎えるまでの具体的な行動を知ることが大切です。
ここでは、実践的なステップを確認していきましょう。
- 上司への退職意思の伝え方とタイミング
- 退職届の提出方法|手渡し・郵送・メール
- 引き止められた際の対処法と断り方
- スムーズな引き継ぎと有給消化のポイント
- 退職代行サービスを使うべきケースと選び方
手順通りに進めれば、混乱することなく確実に退職できます。
上司への退職意思の伝え方とタイミング
円満退職を目指すなら、伝え方に配慮が必要です。
繁忙期を避けて落ち着いて話せる時間帯を選び、個別に時間を取ってもらってください。
そして「これまでお世話になりましたが、一身上の都合により、〇月〇日をもって退職させていただきたく存じます」と丁寧に伝えてください。
パワハラについて言及する必要はありません。理由を執拗に聞かれた場合は「家庭の事情でして」「体調面の理由でして」など、簡単な説明に留めます。
引き継ぎについても「できる限り協力させていただきます」と前向きな姿勢を示すと、手続きがスムーズに進みやすくなります。
ただし、精神的に困難な場合は無理をする必要はありません。
退職届の提出方法|手渡し・郵送・メール
退職届の提出方法として一般的なのは、直属の上司または人事担当者に手渡しする方法です。
出社が困難な場合や受け取り拒否の恐れがある場合は「内容証明郵便」に「配達証明」をつけて郵送してください。
- 内容証明郵便:いつ、どのような内容の文書(退職届)を送ったかを郵便局が証明するもの
- 配達証明:相手がいつそれを受け取ったかを証明するもの
この2つを組み合わせることで、会社側が「受け取っていない」「退職届だとは知らなかった」と言い逃れするのを法的に防ぐことができます。
退職の意思表示が会社に到達してから2週間経過すれば、会社の承認がなくても退職は成立します。
引き止められた際の対処法と断り方
「人手が足りない」「今辞めるのは無責任だ」といった引き止めには、「申し訳ありませんが、退職の意思は変わりません」と繰り返し伝えてください。
民法第627条によって労働者には「退職の自由」が保障されており、会社側が退職を法的に拒否できません。
引き止めが執拗で脅迫的な場合は、会話を録音してください。強い態度で撤回を求められても、応じる必要はありません。
スムーズな引き継ぎと有給消化のポイント
可能な範囲で引き継ぎに対応すると、退職手続きが円滑に進みやすくなります。
業務マニュアルや引き継ぎ資料を作成できれば理想的ですが、精神的に困難な状態なら無理をする必要はありません。簡単なメモ程度でも構いませんし、メールで送付するだけでも十分です。
自分の心身の状態を最優先してください。
有給休暇の消化については、退職届を提出する際に希望を伝えます。「最終出社日を〇月〇日とし、残りの期間は有給休暇を消化させていただきたく存じます」と書面で明確に伝えてください。
有給休暇の消化は労働者の正当な権利であり、会社は原則として拒否できません。事前に上司と相談できる状態なら調整してもよいですが、困難な場合は書面での通知だけでも問題ありません。
専門家プロファイルには、転職コンサルタントの西田正晴さんによる、以下のような有給休暇の取得に関する相談事例が掲載されています。
【質問(要約)】

17年勤めた会社を、残業強要や「パートに格下げする」との暴言を理由に退職します。この暴言に対する慰謝料は請求可能でしょうか。また、「前例がない」として有給休暇の消化を上司に拒否されているのですが、どうすれば良いか教えてください。
【回答】

(前略)退職するに当たっての有給休暇の消化については、残り日数すべての消化を申し出れば勤務先は拒否できないことになっています。買取も違法ですので、できません。「今までに前例が無いので有給休暇を消費してからの退職は認めない」という上司の言葉は完全に違法行為になります。
事前に勤務先の所在する都道府県の「総合労働相談コーナー」に電話または面談でご相談ください。「総合労働相談コーナー」は厚生労働省の一部で、女性相談員もいます。役所ですから、ご要望の回退を得られないときは別の「総合労働相談コーナー」の相談員にご相談ください。ご希望の回答がありましたら、その担当者の名前を控えておいて、勤務先とのトラブル発生に指導官庁として仲裁を依頼してください。労働基準監督署から社長または人事総務責任者に連絡は直接いくことになります。解決しない場合、軽くて改善命令、厳しくて1週間の営業停止処分になると思います。
有給休暇の消化は労働者の正当な権利ですが、相談事例のように会社側とのトラブルに発展することも少なくありません。退職時の引き継ぎや有給消化についてお悩みの方は、専門家プロファイルで専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
退職代行サービスを使うべきケースと選び方
「自分では退職を切り出せない」「上司の顔を見るのも声を聞くのも怖い」 そう感じるほど追いつめられているなら、無理に自分で伝える必要はありません。
退職代行サービスは、まさにそうした状況で有効な選択肢です。
サービスの利用は「逃げ」ではなく、あなたの「命と心を守る選択」です。2〜3万円の費用でこれ以上心が壊れるのを防げるなら、決して高い金額ではありません。
ただし、業者選びには注意が必要です。 退職代行には「一般企業」「労働組合」「弁護士」が運営する3種類があります。
もし、未払い残業代の請求や有給休暇の消化といった交渉が必要な場合は、法的に交渉権を持つ「労働組合」か「弁護士」が対応するサービスを選んでください。
退職後の手続きと転職活動の進め方

退職後に、どのような手続きをすればいいのか、不安に感じていませんか。
無事に退職が決まったら、次にやるべき「事務手続き」と「転職活動」の準備を始めましょう。
ここでは、やるべきことを整理して確認していきましょう。
- 失業保険の受給条件と申請手続き
- 健康保険・年金の切り替え方法
- 【例文付き】転職面接での退職理由の伝え方
公的な手続きから着実に進めれば、安心して次のステップに進めます。
失業保険の受給条件と申請手続き
パワハラが理由で退職した場合、ハローワークで「会社都合」として認められると、失業保険の受給で大きな優遇が受けられます。
「会社都合」なら、自己都合退職の場合に設けられる2〜3ヶ月の「給付制限」がありません。7日間の待機期間が終われば、すぐに手当の受給が開始されます。
| 比較項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職(特定受給資格者) |
|---|---|---|
| 受給条件(雇用保険) | 離職前2年間に12ヶ月以上 | 離職前1年間に6ヶ月以上 |
| 給付制限 | あり(待機7日+2〜3ヶ月) | なし(待機7日後すぐ) |
申請手続きは、会社から「離職票」が届いたらすぐに始めましょう。
ハローワークに離職票を持参して求職の申し込みを行う際、必ずパワハラの証拠(録音、メール、診断書など)を提示してください。「自己都合ではなくパワハラによる会社都合退職である」と異議申し立てを行います。
会社都合と認められるかは、この手続きと証拠提示にかかっています。
退職後の健康保険・年金の手続き
退職すると、翌日から会社の社会保険(健康保険・厚生年金)の資格を失います。空白期間ができないよう、速やかな手続きが必要です。
健康保険の手続きは、国民健康保険に加入するか、家族の扶養に入るかで手続き先と期限が異なります。
健康保険の手続き
| 選択肢 | 手続き先 | 期限 |
|---|---|---|
| 国民健康保険に加入 | お住まいの市区町村役場 | 退職の翌日から14日以内 |
| 家族の扶養に入る | 家族の勤務先 | 速やかに(家族の会社へ要確認) |
年金の手続き
年金も、会社員(第2号被保険者)から「国民年金(第1号被保険者)」への切り替えが必要です。
「国民健康保険」へ切り替える場合は、役場の窓口で健康保険の手続きと同時に国民年金の手続きも行えます。
家族の扶養に入る場合は、年金も扶養(第3号被保険者)となるため、自分で役場へ行く必要はありません(家族の勤務先が手続きします)。
精神的苦痛で退職届けを書く際のよくある質問
ここでは、精神的苦痛を理由に退職する際によく寄せられる質問について解説します。
はい、法律で認められています。
労働者には「退職の自由」が法律(民法第627条)で保障されています。退職の理由は問われません。
会社の承認がなくても、退職届を提出してから2週間が経過すれば、法的に雇用契約は終了します。
「退職ハラスメント」の略です。
退職を申し出た社員に対して、会社側が嫌がらせをしたり、退職を妨害したりする行為を指します。「今辞めたら損害賠償を請求するぞ」と脅す、退職届の受理を拒否する、有給休暇の取得を認めないなどがこれにあたります。
ヤメハラに遭ったら、労働基準監督署に相談してください。
「体調不良で退職します」とシンプルに伝えてください。
具体的な病名を言う必要はありません。「私事ではございますが、体調不良のため退職させていただきます」で十分です。
詳細を聞かれても、「医師から療養に専念するよう指示がありまして」などとぼかして構いません。
会社が受理を拒否しても、法的には2週間後に退職できます。
最も確実な対処法は、「内容証明郵便」に「配達証明」をつけて、退職届を会社(本社の人事部宛てなど)に郵送することです。会社側は「受け取っていない」と言い逃れができなくなります。
郵便が到着した時点で退職の意思表示がなされ、そこから2週間経過すれば、退職は法的に成立します。
まとめ
この記事では、パワハラの精神的苦痛による退職届の書き方と、会社都合退職を目指すための具体的なステップについて解説しました。
パワハラによる退職でも、退職届は「一身上の都合」と書けば十分です。
退職の意思を伝えてから2週間経過すれば、会社の承認がなくても法律上、雇用契約は終了します。会社都合退職を勝ち取るには、「録音」「メール」「医師の診断書」などの証拠を集め、退職後にハローワークで異議申し立てを行ってください。
上司に伝えられない場合は、内容証明郵便での郵送や退職代行サービスも選択肢です。
あなたの決断は「逃げ」ではなく、自身の心と未来を守るための行動です。
もし個別の法律的な疑問や手続きの不安が残る場合は、幅広い専門家が回答する専門家プロファイルの無料Q&Aを活用して、労働問題に詳しい専門家に気軽に相談してみてはいかがでしょうか。
信頼できる専門家があなたのサポートをしてくれるはずです。






