兄弟仲悪いままで大丈夫?介護・相続で揉めないために知っておきたいこと
「子どもたちが顔を合わせるたびに喧嘩ばかり…」「兄弟なのに連絡も取り合わない」そんな状況に、親として心を痛めていませんか?
親の高齢化が進むにつれ、介護や相続の問題が現実味を帯びてきます。今は表面上穏やかでも、将来どうなるか不安を感じている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、兄弟仲が悪くなる根本原因から具体的な対処法、将来起こりうる相続トラブルへの備えまで解説します。
兄弟関係の改善が難しい場合の距離の取り方や絶縁という選択についても触れていますので、自身や家族の状況に合わせた対応策を見つけてみてください。
兄弟不仲の原因1位は相続トラブル|他の原因も紹介

兄弟不仲の原因として、婦人公論の読者アンケートでは「相続」が1位に挙げられています。
相続や介護といった大人になってから直面する問題だけでなく、子ども時代からの確執が尾を引くケースも少なくありません。
ここでは、兄弟関係が悪化する背景を4つの視点から整理します。
- 相続・介護がきっかけで関係が悪化する
- 上の子と下の子で競争心理が生まれやすい
- 毒親環境で不仲になりやすい
- 親が健在なうちは表面化しにくい
それぞれの要因を把握して、自身の家庭状況と照らし合わせてみてください。
相続・介護がきっかけで関係が悪化する
兄弟不仲の原因1位は相続トラブルです。親の財産をどう分けるか、介護の負担を誰が担うかといった問題は、それまで表面化していなかった不満を一気に噴出させます。
2位は介護、3位はもともと不仲、4位は金銭問題という結果でした。
「自分ばかり介護を押し付けられた」「遺産の分け方が不公平だ」といった感情は、金銭的な損得だけでなく、子ども時代からの扱いの差への不満と結びつきやすいのが特徴です。
上の子と下の子で競争心理が生まれやすい
親からの期待や関わり方は、上の子と下の子で自然と異なります。
長子は「お兄ちゃんなんだから」という言葉とともに責任や我慢を求められがちですが、下の子も親の関心を求めて上の子をライバル視し、比較による劣等感を抱くケースは少なくありません。
兄弟関係は、親の愛情をめぐる競争関係でもあります。
「弟ばかりかわいがられる」「兄と比べられてばかり」といった体験は、子どもの心に「自分は愛されていない」という感覚を植え付けます。
親から比較を受けた子どもは自己肯定感が低下しやすく、競争心理や劣等感は大人になってからも兄弟間の距離感に影響を与え続けます。
「あのとき認めてもらえなかった」という記憶は、何十年経っても消えないこともあるでしょう。
専門家プロファイルでは、行政書士・メンタルケア心理士の吉田美如さんが、親からの比較によって自信を失ってしまった女性からの相談に回答しています。
【質問(要約)】

親から姉と比較され認められずに育ち、夫からも否定され続けて自己肯定感が持てません。その影響で娘の幸せすら素直に喜べない自分を責めてしまいます。過去のトラウマや家族関係に悩み、自分を変えたいのですが、心の持ち方を教えてください。
【回答】

(前略) 「認めて欲しい人から認められず自分はダメなんだと何でも否定的になっています。」とありますように、ご自身でも原因がおわかりのようですね。 もともとのお母様とのご関係も、少なからず影響していらっしゃるのでしょうけれども、(中略)認めて欲しいのは子供だけでなくて、大人だからこそ、さらには身近な間柄だからこそ、お互いの頑張りを認め合うような関係でありたいですよね。
(中略)
ご家族以外の場で、hanababakoさんを認めてくれて、褒めてもらえたりする機会があると良いのではないでしょうか。 それから、過去に抱いていらっしゃった様々なお気持ちを、何も言わずに聞いてくださるようなお友達がいたら、辛かったことなど、吐きだしてみるのも良いかも知れません。
(中略)
ご自身を含め、ご主人や娘さんがすぐに変わることがなくても、hanababakoさんに変化があれば、ご家族はきっと気がつくはずです。ご家族の関係が変わるきっかけを、hanababakoさん自身でつくりだせると良いのかも知れませんね。
親からの偏愛や兄弟間での比較による心の傷は、大人になっても深く残るものです。もし、過去の家族関係が現在の生活や人間関係に影を落としていると感じるなら、専門家に相談して気持ちを整理してみるのも一つの方法です。
毒親環境で不仲になりやすい
親の偏愛や不平等な扱いは、兄弟間に強い劣等感や葛藤を生み、関係に悪影響を及ぼします。
毒親環境で育った子どもは、以下のような経験をしがちです。
- 兄弟間で極端な格差をつけられ、一方だけが責められる
- 親の機嫌を最優先し、兄弟同士で支え合う余裕がない
- 「お兄ちゃんなんだから我慢しなさい」と年上の子に過度な負担を強いられる
親からのえこひいきを受けた子どもは、そうでない子どもに比べて落ち込みや不安、敵意を抱きやすいことが、心理学の研究でも指摘されています。
標的にされた兄弟を助けたくても、自分も攻撃されるのが怖くて見て見ぬふりをしてしまう。
「あのとき何もできなかった」という罪悪感は大人になっても残りやすく、兄弟と顔を合わせたときに気まずさを感じる原因になることもあります。
参照:Newsweek日本版|研究者も驚いた「親のえこひいき」最新研究
親が健在なうちは表面化しにくい
親が健在な間は、兄弟同士の付き合いが比較的円滑に進むことが多いようです。
親の手前、あからさまな対立は避け、表面的な関係を維持しているケースが見られます。
親という「緩衝材」があるうちは問題が見えにくくても、親の死後に「実家をどうするか」「介護費用は誰が立て替えたか」といった話し合いが始まると、それまで抑えていた不満や確執が一気に表面化します。
「うちは大丈夫」と思っていた家庭ほど、親亡き後の変化に戸惑うケースが多いのです。
大人になってから兄弟不仲になる5つの理由

子どもの頃は仲が良かった兄弟でも、大人になってから関係が悪化するケースは珍しくありません。結婚や親の介護といったライフステージの変化に伴い、お金や価値観の問題が兄弟関係に影を落とします。
大人になってから不仲になる主な理由は以下の5つです。
- 相続や金銭をめぐるトラブル
- ライフスタイルや価値観のズレ
- 親の介護負担に対する不公平感
- 配偶者や子どもの介入による複雑化
- 成功や収入の格差
自分の状況に当てはまる項目がないか、一つずつ確認してみてください。
1. 相続や金銭をめぐるトラブル
「ベンナビ相続」が相続経験者1,558人を対象とした調査では、トラブルになった相手として最も多いのが「自分の兄弟」で約50%を占めています。

金銭トラブルの背景には以下のような要因があります。
- 遺産分割における不公平感
- 親の借金を誰が負担するかという押し付け合い
- 実家の売却方針をめぐる意見の相違
お金の問題には、親子関係の心理的影響を反映する側面があります。
関係が悪化している場合でも、弁護士を介して冷静に協議を進めれば手続きを円滑に終えられる可能性があります。
2. ライフスタイルや価値観のズレ
子どもの頃は同じ家族の価値観を共有していた兄弟でも、大人になると人生の選択は大きく分かれます。結婚、キャリア、住む場所、子育ての方針など、それぞれが異なる環境で異なる価値観を育んでいくからです。
たとえば地方に残り家を守る側と、都市部で暮らす側の間で意見が食い違うケースです。「家を継ぐべき」という伝統的な価値観と個人の生活を重視する考え方が、相続や介護の場面で衝突することもあります。
こうした価値観のズレは、どちらが正しいという問題ではありません。「同じ家で育ったのに、なぜこんなに考え方が違うのか」と感じるのは自然なことです。お互いの違いを認め、適度な距離を保つことが、長期的に良好な関係を維持するコツといえます。
Yahoo!知恵袋では、親からの愛情や待遇の差に対する不満、大人になってからの経済格差や金銭感覚のズレなど、兄弟間で生じるさまざまな悩みの声が見られました。

兄と弟(私)の兄弟格差をいつまでも引きずってしまう私…… 私は現在大学2年生です。 家族は両親と、2つ上の兄と4人家族です。 両親の仕事が順調で、息子二人とも 私立の中高一貫校に通わせてもらいました。 そのおかげもあって、二人とも受験に成功し、 兄は都内の私立大、私は都内の国立大に進学しました。
これまで幸せに暮らしてきたのですが、 私はいまだに兄弟格差を吹っ切れません。 兄弟仲はとてもよく、 両親との関係もいまどき珍しいくらい良好です。
本題に入ります。
小さいころから兄はいわゆる「手のかかる子」でした。 一方私は兄が母と戦っているのを見て、 「俺はああならないようにしよう」 と子供心に思っていたんでしょう。聞き分けのいい子供だったんですね。
はっきりとは覚えていませんが、あまり両親に甘えられなかったのだと思います。 当時は両親の仕事もてんてこ舞いで、母は兄にかかりっきりだったので。
勉強・スポーツに関しても、日常生活に関しても、 兄は「しかられてもめげない努力タイプ」、私は「天才肌のおりこうさんタイプ」 というのが長い間の親の認識でした。
しかし、私の中ではそうではありませんでした。 幼いころから、親の中での愛情が「兄>私」であることには 薄々感づいていて、 私としては愛情が少ない分勉強やスポーツで 兄に負けたら自分の居場所が家に無い、と結構必死でした。
金銭面に関しても、 兄は短期の海外留学に、現在の下宿生活・学費など、 学業面での支出が大きいですが、 私は留学も行きませんでしたし、気を使い予備校も特待生制度を利用して 通っていました。大学も国立に入りましたし。
特に最近、私が大学に入ってから(特に兄が実家を出てから) 格差を実感することが多く萎えてしまいます。 母の「お兄ちゃんは~~なのに」発言連発がむかつきます。
なんだかんだで、私は兄へのコンプレックスを克服できてないようです。 単純に親の愛情がもっと欲しかったのかも。
人間的に兄のほうが見た目もよく、優しいです。 私はご覧のとおりひねくれて育ちましたw
このコンプレックスを克服したいです。 両親にも、昔から見えないところで空気を必死で読んで 家族の仲を取り持ってきた苦労をわかって欲しいです。 母が父の内助の功なら、私は母の内内助の功くらいだと思います。
もう大学生だし、ここまで育ててもらって十分なので、 うじうじ気にすることじゃないと理解してます。
ただ、ここで突き放してしまうと、一生親にとって 「頭でっかちの次男」で終わってしまうのが悲しいです。
なにかお叱りの言葉をいただければと思います。
長文失礼しました。
引用:Yahoo!知恵袋

高校生男です、家での兄弟格差がハンパないです。なんでそうなったかわからないです。僕になくて弟にあるものは部屋、服、自由です。そんな兄を見て弟はどう思うのでしょうか?
引用:Yahoo!知恵袋

兄弟で世帯収入に格差があるとき、どうしてますか。
私は3兄弟で兄と弟がいます。皆結婚していて、子供のいる家庭です。 兄は非正規雇用で奥さんは出来高制の内職みたいなことをしています。 私夫婦と弟夫婦は、フルタイムの共働きです。子供はどこもそれぞれ2人います。 うちと弟夫婦の世帯収入は、兄のところとはかなり開きがあります(兄夫婦300万、弟夫婦1200万位、我々1800万 収入は実家の母からの情報で、兄弟間では一切話はしません)
そんな状況で困るのが、一族行事です。今までは実家で食事することが多かったのですが、親も年でなかなか大変になってきました。
子供たちで企画しようにも、兄のところは長男ですが、一切そのような仕切りをしません。 じゃあ、うちと弟で決めてしまおうかと思うのですが、例えば外で食事するにも、兄のところはどの程度の出費なら許容範囲なのか、わからないし聞けません。温泉旅行にでも行きましょう、なんておいそれと言えません。節目節目のお祝いも、本当はみんなで合同でやればいいのでしょうが、お金の相談が面倒で、個人的にやってしまいました。
お正月の親族の集まりも「銀行に行かれなかった」などと言って子供たちへのお年玉を持ってこない年や、持って来てても誰かが出すまで最後まで出さないという感じです。だからといって、生活が苦しいとか言うそぶりは見せず、どちらかというと外車やブランドものを好む家族なので、まったく理解不明です。
兄弟家族で収入格差がある場合、みなさん親族行事などどうしてますか。。。
引用:Yahoo!知恵袋
育ってきた環境が同じでも、進学や就職、結婚を経てそれぞれの生活基盤ができると、どうしても収入や生活スタイル、価値観にズレが生じてしまうものです。
家族だからこそ許せない感情や割り切れない思いがある場合は、専門家プロファイルでカウンセラーなどの専門家に相談し、気持ちを整理してみてはいかがでしょうか。
3. 親の介護負担に対する不公平感
親の介護が必要になったとき、兄弟の中で一人だけが負担を背負う状況は珍しくありません。同居している主な介護者の多くが、悩みやストレスを抱えています。
不公平感が生まれる背景には、経済的な余裕がない側が費用負担を強いられることや、役割分担の曖昧さなど、以下のような要因があります。
- 仕事を辞めて介護に専念する兄弟と、遠方に住んで関与しない兄弟
- 経済的に余裕のある側が費用を負担し、その不満が蓄積
- 「自分ばかりが犠牲になっている」という精神的な孤立感
介護の負担は、単なる時間や労力の問題ではなく「自分の人生を犠牲にしている」という感覚を生みます。
早い段階で役割分担を明確にし、時間的負担を金銭で調整するなど、公平性を保つ工夫が必要です。
専門家プロファイルでは、弁護士の岡田 晃朝さんが、親の介護をめぐる姉妹間のトラブルについて回答しています。
【質問(要約)】

独居の父は地域包括支援センターを拒否。姉妹ともに介護が難しい状況ですが、妹から「長女が面倒を見るべき」と強く迫られ、眠れないほど追い詰められています。話し合いもできず解決の糸口が見えないため、法的な観点からどのように対処すべきかアドバイスをお願いします。
【回答】

実際にどちらが、現場に行って介護すべきという法的な義務はありません。
経済的には、以下の規定があります。
民法 第877条 『直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養する義務がある。家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる』
家庭裁判所に調停を起こしてみることは検討できます。実態としての面倒をみるには経済的な側面も含まれるでしょうので、その点も伝えて家庭裁判所に調停を求めることは検討できます。
介護の役割分担について兄弟間で冷静な話し合いが難しい場合、第三者や法的機関の介入を検討するのも一つの手段です。
負担の不公平感に悩んだら、専門家プロファイルで弁護士などの専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
4. 配偶者や子どもの介入による複雑化
兄弟だけで話し合っていた頃は冷静だったのに、配偶者が介入した途端に対立が深まるケースは少なくありません。
遺産分割協議で兄の妻が「長男なのだから多く受け取るべき」と主張して話し合いが進まなくなったり、介護貢献を主張した妻に他の兄弟が反発したりする例もあります。
親世代にできる対応は以下の3つです。
- 配偶者に「当事者同士で話し合いたい」と伝え協議の場への同席を避ける
- 感情的になりそうなら専門家を間に入れる
- 子どもたちに対立の詳細を話さず次世代への連鎖を防ぐ
配偶者の意見を完全に無視するのではなく、あくまで「決定権は当事者にある」という線引きを明確にしておくと、協議がスムーズに進みやすくなります。
5. 成功や収入の格差
大人になってから、兄弟間の収入や社会的地位に差が生まれることは珍しくありません。
この格差は劣等感や嫉妬を生む傾向があり、帰省のたびに「兄は高級車で来たのに、自分は…」と比較してしまうなど、関係悪化につながる可能性があります。
弟を持つ長女は妹を持つ長女と比べて年収が約16%低いという研究結果もあります。
成功した兄弟への嫉妬は「自分の人生がうまくいっていない」という不安の裏返しです。 心理学の視点では、それぞれの状況を認め合うことが嫉妬心を和らげる助けになります。
格差は不仲の原因になりやすいため、無理に親密さを求めず、お互いの立場を尊重する姿勢が良い関係を保つことにつながります。
参照:PRESIDENT WOMAN Online|弟のいる長女のほうが文系を選びやすく年収が16%も低い
親の死後に起こる兄弟間のトラブル例と対策

親が亡くなると、それまで潜在的だった兄弟間の感情や不満が一気に表面化します。葬儀での役割分担から遺産分割まで、話し合いの場面ごとにトラブルが発生しやすくなるのです。
親の死後に起こりやすいトラブルと対策は以下のとおりです。
- 葬儀で表面化する兄弟間の序列問題
- 相続で揉める相手の約半数は兄弟
- 生前から準備できる相続対策
将来のトラブルを防ぐために、今から知っておきましょう。
葬儀で表面化する兄弟間の序列問題
親が亡くなり悲しみの中で進める葬儀は、兄弟間での意見対立が起こりやすい場面です。
喪主を誰が務めるか、費用の負担割合をどうするかといった問題で「長男だから当然」「介護したのは私なのに」といった主張がぶつかるケースが見られます。
悲しみの中で役割の奪い合いや押し付け合いが起こると、その記憶は長く残るもの。喪主と施主の役割を兄弟で分担し、事前に誰が何を担当するか明確にしておくことで感情的な衝突を防げます。
相続で揉める相手の約半数は兄弟
ベンナビ相続の調査によると、相続経験者の約5人に1人がトラブルを経験しており、兄弟間でのトラブルが半数を超えています。


兄弟間の対立が多い背景には、親からの生前贈与や介護負担の差があります。
「自分だけ大学費用を出してもらえなかった」「兄だけマイホーム資金を援助された」という長年の不満が、遺産分割の場で一気に噴出するのです。
2023年民法改正による遺産分割ルールの変更点
2023年4月施行の民法改正により、相続開始から10年が経過した後は、特別受益や寄与分といった個別事情を主張できなくなり、原則として法定相続分による分割となりました。
改正前は「親から生前に援助を受けた」「介護で貢献した」といった事情を無期限に主張できましたが、10年を過ぎると考慮されなくなります。
親が元気なうちの遺言書作成や生前贈与の記録を残すといった準備が、これまで以上に必要です。
生前から準備できる相続対策
兄弟間の相続トラブルを未然に防ぐには、親自身が生前から準備を整えておくことが一番です。
遺言書の作成は、相続トラブルを防ぐ基本的な対策です。誰に何を渡すかを明記しておけば、遺族間の認識のズレを減らせるでしょう。
また、生前贈与の活用もおすすめです。暦年課税の場合、年間110万円以下なら贈与税はかからず申告も不要なため、計画的に財産を分ければ不公平感を軽減できます。
家族会議を開いて財産の分け方や介護の方針を事前に話し合っておくことも、親の死後に「聞いていない」という感情的な対立を防げます。
話しにくい話題だからこそ、親が元気なうちに切り出すことが大切です。
参照:国税庁|No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)
専門家プロファイルでは、相続手続きに詳しい行政書士の松本 仁孝さんが、以下のように疎遠な兄弟がいる場合の遺産分割に関する相談に回答しています。
【質問(要約)】

亡くなった父の遺産である土地建物を相続し、建て替えたいと考えています。母と兄は賛成していますが、長年疎遠な姉がおり、協議が難航しそうです。姉との話し合いを避けて手続きを進めることは可能か、またその際の流れや費用について教えてください。
【回答】

(前略)
被相続人であるお父様の土地・建物についてですが、 遺産分割協議が調わないと、処分することができません。 取り壊すこともできないと考えております。 その事は同時に、相続人の地位を有している、 お姉様との合意が必要になることを意味しています。
お姉様との合意を取り付けることがむずかしい場合、 まず、3人の相続人のあいだで合意された事項について、 遺産分割協議書を作成されてみてはいかがでしょうか。 相続人が4人ですので、4通作成する必要があります。 署名し、印鑑登録された印影のある印鑑で押印して、 相続人それぞれの印鑑登録証明書を添付しておきます。
その後から、お姉様に対して、 委任状を持参した者から、あらかじめ作成しておかれた、 遺産分割協議書の内容を説明してもらい、同意してもらいます。 その際に、署名捺印と印鑑登録証明書を添付してもらえれば、 遺産分割協議が調うことになります。
お姉様に対して、相続分を代償分割する必要性や、 その相続分の金額についても、あらかじめ話し合われて、 お墓をお建てになる費用分担やお姉様の寄与度などを考慮して、 遺産分割協議書の一項目に記載しておかれたほうがいいと思います。 具体的な金額は、採用する評価方法にも依存しますが、 ご質問内容を拝見した限りでは、 50万円を上回らないのではないかと感じ取っております。
それでも協議が調わなければ、 申立人3名で、相手方をお姉様1名とする、 遺産分割調停を申し立てられればいい。 そのように考えております。
少しでも、お役に立てていただければ、幸いです。
兄弟間での遺産分割は、過去の感情的な対立だけでなく、連絡が取れないといった事情で手続きが停滞することもあります。
自身の状況に合わせたスムーズな解決策を見つけるために、一度専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
兄弟不仲を修復するための改善策3つ

兄弟仲が悪化した場合でも、無理のない範囲で改善していく方法はあります。
ここでは、3つの改善策を紹介します。
- 少しずつ連絡を取り直す
- 専門家を交えて話し合う
- 距離を保ちながら付き合う
状況に応じて、取り入れやすい方法から試してみましょう。
1. 少しずつ連絡を取り直す
疎遠になってしまった兄弟と再び連絡を取るなら、心理的なハードルが低い方法から始めましょう。「連絡したいけど、何を話せばいいかわからない」と悩む方も多いはずです。
LINEやメールなら相手も自分のペースで返信でき、お互いに負担が少なくなります。
最初のメッセージは深刻な話題を避けて「最近どう?」といった軽い挨拶程度にとどめるのがコツです。
- 共通の思い出や昔の話題から入る
- 季節の挨拶や誕生日のメッセージを送る
- 親や親戚の近況など、関心を持ちやすい話題を選ぶ
相手の反応を見ながら距離感を調整してください。無理に頻繁な連絡を求めないことが長続きのコツです。
2. 専門家を交えて話し合う
兄弟だけで話し合っても感情的な対立が続くなら、第三者の専門家に入ってもらう方法もあります。
当事者同士では「また同じ話の繰り返し」になりがちですが、専門家が間に入ると客観的な視点が加わり、冷静に話し合いやすくなる場合もあるでしょう。
相談先としては、弁護士・カウンセラー・裁判所の調停制度などがあり、それぞれ対応できる範囲が異なります。
| 専門家 | 対応できること |
|---|---|
| 弁護士 | 遺産分割や金銭トラブル |
| カウンセラー | 感情的な対立の緩和 |
| 調停制度 | 裁判所が仲介役となり合意形成を支援 |
専門家を選ぶ際は、相続や家事分野での実績があるかを確認してください。早めに相談すれば将来的な法的手続きへの準備もスムーズに進められます。
3. 距離を保ちながら付き合う
関係修復を試みても改善が見込めないなら、無理に歩み寄らず一定の距離を保つのも現実的な選択です。
「兄弟なのだから仲良くしなければ」という思いが、かえて自身を追い詰めてしまうケースもあります。
距離を保ちながら付き合うには、以下のような方法があります。
- 冠婚葬祭では必要な挨拶のみ交わし、深い会話は避ける
- 連絡は親を介するか、事務的なメールに限定する
- 介護や相続については、弁護士や司法書士などの専門家を間に入れる
自分の心の安定を優先し、負担のない範囲で関わる姿勢が長い目で見ると無理のない付き合い方といえるでしょう。
兄弟との絶縁を選ぶ判断基準

兄弟との関係が修復困難なほど悪化した場合、絶縁も一つの方法です。無理に関係を続けることが、かえって自分を苦しめてしまうこともあります。
絶縁を検討する際に知っておきたい内容は以下のとおりです。
- 絶縁を選んだ人の心境
- 親が存命中に起こる困り事
- 疎遠になることで得られる精神的安定
自分の状況と照らし合わせて、判断の参考にしてください。
絶縁を選んだ人の心境
兄弟との絶縁を選んだ人の多くは、長年の我慢が限界に達した末の判断でした。
「もう十分頑張った」「これ以上は無理だ」という思いに至るまで、何度も関係修復を試みてきた方がほとんどです。
親の介護を一人で担ったのに感謝されなかった、相続で一方的に譲歩を求められたなど、改善されない状況の中で自分の人生を守るためにやむなく距離を置こうと選択しています。
過度なストレスを感じる場合は、無理に関係を続けるよりも、距離を置くことで心の健康を守れる場合もあります。
親が存命中に起こる困り事
親が健在なうちは、兄弟関係の悪化が親自身を巻き込み、家族全体の問題に発展しやすくなります。
介護方針や財産管理をめぐって意見が対立すると、話し合いが進まず親の生活や健康に直接影響を及ぼすこともあるのです。
以下のような困り事も生じやすくなります。
- 法事や誕生日などの家族イベントで気まずい空気が続き、親に気を遣わせる
- 兄弟間の不仲が親の心労となり、精神的な負担をかける
疎遠になることで得られる精神的安定
兄弟との関係に長年悩まされてきた人にとって、疎遠になることで得られる精神的な安定は想像以上に大きなものです。
「また何か言われるのでは」という緊張感や金銭的な要求から解放されれば、日々のストレスは大きく軽減されます。
連絡のたびに感じていた緊張や不安がなくなり、自分の人生に集中できる時間と心の余裕が生まれます。
「縁を切るなんて薄情だ」と自分を責める必要はありません。関係を断つことは逃げではなく、自分を守るための前向きな判断です。
専門家プロファイルでは、弁護士の葛井重直さんが以下のような質問に回答しています。
【質問(要約)】

父が亡くなりましたが、17年間音信不通の姉が不動産の遺産分割協議に応じません。母が高齢のため負担のかかる調停は避けたいのですが、不動産の名義変更ができないと火災保険などに支障が出ます。母に負担をかけずに解決する方法はあるでしょうか。
【回答】

この場合、協議で解決できなければ調停によるのがやはり順当な方法と思われます。
(共有持ち分のままの相続登記なら、保存行為として姉の関与なくできると考えられますが、姉の持分が残ってしまうので、問題の解決になりません。)
「高齢、体力、ストレス」等のため、母上を調停に関与させたくない、というのが主たる理由であれば、いずれも母上のご意向にもよりますが、代理人弁護士を選任してご本人の調停手続関与を最低限にするとか、あるいは、貴殿が母上の相続分を譲り受けて、母上は家裁の排除決定を受けて調停から離脱し、貴殿と姉とで解決する、という方法があり得ると思います。
引用:専門家プロファイル|遺産分割協議ができず、不動産の名義変更が出来ません
兄弟との関係を断つことで精神的な平穏が得られる一方で、相続などの法的手続きが必要になった際には、当事者間での解決が難しくなることもあります。
複雑な事情を抱えたまま手続きを進める必要がある場合は、専門家プロファイルで信頼できる専門家に相談することをおすすめします。
兄弟仲が悪い原因に関するよくある質問

最後に、兄弟仲が悪い原因に関するよくある質問に回答します。疑問をお持ちの方は参考にしてください。
家庭内で日常的に対立や緊張が続くと、子どもは不安や孤独感を抱きやすくなり、自己肯定感の低下につながります。
親が兄弟を比較したり不平等な扱いをしたりしている場合、子どもは抑うつや敵意を経験しやすくなるでしょう。
ただし、親が子ども一人ひとりに公平に接し適切に関われば、悪影響を減らせます。
自分の兄弟関係が良くなかった場合、無意識のうちに子育てへ影響を与えることがあります。
親から比較されて育った経験があると「自分の子には同じ思いをさせまい」と過保護になったり、逆に「兄弟は平等に」と意識しすぎて個々のニーズを見落としたりすることも。
過去の経験を客観的に振り返り、目の前の子どもと向き合いましょう。
「なぜ連絡を取らなくなったのか」を冷静に振り返ってみましょう。感情的な対立が原因なのか、自然と疎遠になったのかで対応が変わります。
再び連絡を取りたいなら、メールや手紙など直接対面しない手段から始め、誕生日や年賀状など負担の少ないきっかけを利用するのがおすすめです。
修復が難しければ必要最低限の連絡にとどめる方法もあります。
スピリチュアルな視点では、兄弟仲の悪さは「魂の成長のための試練」として捉えられることがあります。
不仲という状況は自立心や許しの心を育むための学びの機会であり、精神的に成長するためのきっかけかもしれません。
こうした視点を「解釈の一つ」として持てば、感情的な苦しみから少し距離を置き、より広い視野で状況を見つめ直せます。
まとめ
この記事では、兄弟仲が悪くなる原因と対処法について解説しました。兄弟不仲の最大の原因は親の偏愛や比較にあり、相続トラブルで揉める相手の約50%が兄弟という調査結果も出ています。
「無理に仲良くする必要はない」と知ることで、心の負担は軽くなります。距離を置きながら付き合う方法や、弁護士などの専門家を交えて話し合う方法も視野に入れてみてください。
兄弟関係や相続の悩みは、幅広い分野の専門家が回答する無料Q&Aが充実した専門家プロファイルを活用すれば、あなたの状況に合わせたアドバイスを得られます。
気になることがあれば、ぜひ質問してみてください。

